第224話 帝都へ帰還
エミリの元に急ぐ一行……
その道中……
アルマ
「………なあ?」
ゴムド
「ん?なんじゃ?」
アルマ
「ひとつ気になったんやけど キツネの兄ちゃんは 一体何で あのセダーとか言う奴を取り入れたんや?あいつにそこまでする価値があるとは思えへんねんけど?」
ゴムド
「さあな……わしにはあやつが何を考えておるのかわからん…… だが 奴は利用価値があると思ったのは確かじゃ 考えられることは……そうじゃな……何かの糧になるとふんだか……」
アルマ
「………ふーん…」
その頃 セダーを連れたシェルは ボグの元に向かっていた
セダー
「へへへ……確か…シェルさんって言ったよな ありがとうな おかげで助かったぜ」
シェル
「クックク……かて?そんないいものではないですよただのエサ……エサに過ぎないんですよ…」
セダー
「へ?……何て言った?」
シェル
「……ん?いえ 別になんでもないですよ そうそう 今すぐは無理ですが あなたの犯した罪 なんとか根回ししてなかったことにしてあげますよ 協力してくれればですが……ね…」
シェルは セダーを見ながら優しく答える
だが……セダーは 虚ろな目でボーッとしたままだった……
シェル
「……おや?……随分 早いですね……まあ…なんの抵抗力も無かったですし 仕方ないか……」
セダー
「…………あれ?……俺は……??…何か言いました?」
シェル
「いえ何も……さあ 行きましょうか…クックク…」
場面は変わり ゴムド一行は ようやくエミリの元に集まった……
エミリ
「………ふーん 確かにそんなのいたね」
ゴムド
「すまぬ 随分と待たせてしまった では ともに参りましょう」
エミリ
「うん それはわかったけど……そこの人たちは?」
ヒガン
「申し遅れました 私 ヒガンと申します 私も一度帝都に帰らねばならぬゆえ 同行させて頂く事になりました 我々の事はお気になさらず 後方に付いて行くだけですので」
ゴムド
「この者は この村に派遣された近衛兵の将 エミリ殿 一度見ておるはずなんじゃが?」
エミリ
「そうなの?うーん…記憶にないや わたし 興味ないこと残らないんだよね」
ゴムド
「さ…左様か……ま…まあ とりあえず後方に控えさせれば安全も確保出来る故 損はないと思うんじゃが?」
エミリ
「あー…その辺は ゴムドさんに任せます さあ!リク!デン!スキアに乗って!出発よ!」
リクは ワクワクしながら スキアの翼からよじ登る その後ろをデンもよじ登っていく
ゴムド
「では ヒガンたちは後方 わしが右翼側 アルマは左翼側を守れ よいな」
アルマ
「ええー……嫌や うりもスキアに乗りたい!!」
ゴムド
「わがままをいうな ここから帝都までの距離程度 お前なら なんの苦ではないであろう」
アルマ
「ちゃう ちゃう そういうことやないんや 気持ちの問題 気持ちの問題なんや」
ヒガン
「でしたら 私が右翼側に行きましょう 後方は 私の部下3人で守らせます よいな」
3人の部下は 強く頷く
ゴムド
「そうか……うむ まあ アルマが真ん中にいて自由が利く方がよいか………アルマ 何か異変があれば すぐに動くんじゃぞ?わかったな」
アルマ
「へへっ やた! 大丈夫 大丈夫 何かあればすぐに動くから」
アルマは そう言うと 軽くピョンッとジャンプし スキアの背にヒラリと降りる
エミリ
「ふぅ……ようやく帰れるぅ……あ!ほら 何してるの?ミナも早く乗って!置いてっちゃうよ」
エミリは ミナが動かないので 促す
ミナ
「………ありがとう でも ミナはこの村にいるよ」
アルマ
「ええー!!ミナ!こうへんの!?」
アルマは驚き 叫ぶ エミリも また ミナは当然来ると思っていたから 目を丸くする だが エミリはミナの真剣な眼と合うと 冗談を言っているとは思えない
エミリ
「………そっか まだしなきゃいけないことがあるんだね……ミナが決めたのならしょうがない……うん わかった」
ミナ
「エミリ……ありがと それと ユウキさんとサヤカに……ううん やっぱりいいや いつか この村に来た時にする!!」
エミリは 何も言わず頷き パッとスキアの頭の上に乗る
ゴムド
「……名残惜しいが そろそろ参るか………オロス殿 ここには仕事で使う鉱石を求めにきただけだったが あなたと出会えて良かった この仕事片付いたら わしも ここに来てよいであろうか?」
オロス村長
「もちろんですとも!!首を長くして待っております!!」
エミリ
「ミナ!すぐにユウキさんとサヤカ連れてくるからね!じゃあね!」
ミナ
「うん!!」
アルマ
「もちろんうちも来るからな!!」
ミナ
「うん!!待ってる!!」
エミリがスキアに合図を送り スキアが大きく羽ばたく
するとスキアを中心に 円が広がっていくように徐々に薄くなっていく
ミナとオロスは 消えていくスキアに向かって大きく手を振る その姿を見たデンとリクは慌てて 大きく手を振るが もうその時には ミナには見えなくなっていた
そして 一陣の突風が吹き スキアたちは帝都に出発した
オロス村長
「…………ミナ 何故 ついて行かなかった?」
ミナ
「…………」
オロス村長
「………ユウキ様とサヤカ様は わざわざ帝都から迎えにくるほどの方だ……もう この村に足を運ぶことは出来ないんじゃないか?」
ミナ
「……そんなことないです 絶対……会いに来てくれるです……」
オロス村長
「………そうか……だったら もう 泣くな……」
ミナは いつのまにか涙が流れていた そのことに気付くと バッと涙を拭い スキアたちが向かった方向を見る そして この村をさらに良くすることを誓った……