第220話 熱い握手
ゴムド
「では オロス殿 こんな話を知っておるか?遥か昔 大規模な地殻変動が起こり 今ある鉱石とは 全く異なるものが取れていたらしいですぞ もしかしたら あの失われた古代の鉱石も取れていたのかもしれん」
オロス村長
「その話は聞いた事があります ですが 私は偏屈者でして……鵜呑みに聞けないというか……すぐに疑ってしまうのです どうしても自分で調べないと納得できないというか……まあ…それで 自分なりに色々と調べたのです ですが結局分からなかったんですけどね…ハハハ……
ただ……色々調べた結果 大規模な地殻変動が起こったとはいえ 全ての鉱石が取れなくなったという事は 理屈に合わないと思ったのです」
ゴムド
「……だが 実際 発見されたことはないはず…」
オロス村長
「ええ 地中深く掘り起こしても まず 発見されないでしょう」
ゴムド
「???」
オロス村長
「いや 違いますね そうではなく もしかしたら すでに 私たちは手にしているかもしれません」
ゴムド
「???……オロス村長?…言ってる意味がよくわからないのだが?」
オロス村長
「ちょっと意地悪な言い方になってしまってますね 失礼しました これはあくまで私の持論なのですが 全ての鉱石が取れなくなったのではなく 大規模な地殻変動によって 全ての鉱石が変化したと考えたのです」
ゴムド
「な…なるほど だから 手にしていると申したのか……だが 結局 古代の鉱石は夢物語ということか……」
オロス村長
「いえ まだわかりません もし 私の仮説が正しければ………これは ただの空想でしかないのですが 大まかに説明すると 変化してしまった鉱石の 変化した要因を突き止め その部分を排除することが出来たなら 元の鉱石に戻るのではないかと 考えたのです」
ゴムド
「おお!ならば 失われた様々な鉱石が復活するかもしれないと!?」
オロス村長
「はい!!……と 言いたいところですが…あくまでただの仮説………それに もし 私の理論が正しくても 私の寿命で成し遂げるには……時間が足りませんな…ハハハ……」
ゴムド
「………オロス殿………いや!まだ分かりませんぞ!近い将来 画期的なものが見つかるやもしれませぬ!諦めず 歩き続ければ いつか きっと辿り着く!」
オロス村長
「………ゴムド…さ…ま……」
ゴムド
「……だが……もし……志半ばで倒れたとしても その志は 繋がっていきます いや!わしが必ず繋げていきますぞ!!」
オロス村長
「……あ…ありがと…う…ございま…す…」
ゴムド
「任せて下され!!」
オロス村長とゴムドは お互い涙目になりながら 固い友情の握手をした
その場面に遭遇したアルマとミナ……
アルマ
「……な…なんや……むさ苦しいなぁ……」
ミナ
「……なにあれ……なんで……父さんとゴムドさんが?」
アルマ
「うーん…多分あれちゃう? うちのじじぃ 鉱石ガチ勢やから なんか話合ったんとちゃうかな」
ミナ
「そうなんだ……父さんも鉱石のこと話し出したら 止まんなくなるタイプ…」
アルマ
「……しゃあない…声かけづらいけど……おーい!じじぃ!」
アルマは嫌々ながらも 声をかけないと始まらないので 声をかける
アルマ
「………いっ!?」
アルマが声をかけると ゴムドとオロス村長が振り返る その顔は両名とも 涙目どころか 号泣していた
アルマ
「…き……気持ち悪……」
ゴムド
「な!なんじゃ!アルマか!な!何しに来た!!」
ゴムドは 慌てて涙を手で拭う
アルマは 思いっきり引きながら エミリが待っている事をゴムドに告げた
ゴムド
「そ…そうか……いつの間にかそんなにも時間が……それに 鬼子の子供も2人ついてくると……それならば エミリ殿1人だと心細かろう………わかった 共に帰ろう……では オロス殿 これまでの話 まだ内密ということで……」
オロス村長
「はい わかっております では 参りましょう」
ミナ
「ええぇ…父さんもついてくるの?」
オロス村長
「当たり前だ 友人の見送りだぞ それぐらい罰はあたらないだろ」
こうして 4人は選別所を後にした……
 




