第217話 光る者
デンが困惑していると 急に 周りの景色がピタッと止まり まるで 時間が止まったかのようにな感覚に襲われる
デン
「え?…な…なに…これ……ス!スキア!助けて!」
デンは 今まで味わった事のない感覚に恐怖し スキアに助けを求める だが……
デン
「ねぇ!スキア!スキアったら!」
スキアに助けを求めるが スキアからなんの返事もなく 顔が見える位置まで 四つん這いになって向かって行く
デン
「………スキア?………うそ………スキアも……止まってる………」
デンは時間の感覚が良く分からなくなる 長いような 短いような それでいて時間が止まってるような 良く分からない感覚……
デン
「ねぇ!スキア!…………スキア……返事…してよ…………あ!そうだ!これは 夢だったんだ!………起きろ…………起きろ!起きるんだぁ!!」
デンは 夢であることを思い出し 目を覚ますように 自分のほっぺをぎゅっとつねる
デン
「いたた………駄目だ……痛いだけだ…どうしたら…………ん?………なに……この音……音じゃない……話し声?………だれ?誰かいるの!!」
デンが 涙目でほっぺをさすっていると 小さな音が聞こえ よく耳を澄ませると 話し声に聞こえた
???
「…………っ!…………!………」
デンには ほとんど聞き取れなかったが ここで人の声とわかり すがる思いで助けを求める
デン
「いるんでしょ!!ねぇ!助けて!助けてよ!」
???
「………ちょ………ま………みつ………」
デン
「………聞こえた!!ここだよ!ここ!!」
デンは 可能な限り大きな声で叫ぶ すると ビシッと音が聞こえ デンの前に 真っ白な 一本の光る線が現れる
デン
「…………な…なに…これ………」
デンが恐る恐る近付き 見ていると 少しずつだが 中央あたりから膨らんでいく ただ 自然に広がっていく感じではなく 強引に無理やり広げられていく感じに見えた
デン
「………この中に……いる…の……」
デンは怖がりながらも 中央から広がっていく様子を 前のめりになりながら見る すると 突然真っ白に光り輝く手らしきものが バッと出てきた
デン
「うわっ!!」
デンは 手が出てくる事など 想定していなく 完全に意表を突かれ 尻もちをつく
???
「………ぐぬぬぅ……」
そして その手はグイグイと広げていき もう片方の手も出てきて 扉を開けるように 強引に広げていく
デン
「…………だれ?………誰なの?…………うわっ!ま!眩し!!」
中央部分が 膨らんでいくにつれ どんどん光が洩れて もう デンには 直視出来なかった
???
「………よし………開いた!!」
背の低い方の???
「………まったく強引ね……もうちょっと 他に方法がなかったの?」
???
「しょうがないだろ? やったことないんだからさぁ とりあえず繋がったんだから 結果オーライだ」
デン
「人の声!!……だ…だれ?誰かいるの!?」
デンは眩しくて 目を閉じたまま問う
???
「俺は……ん?あ!ごめん!ごめん!」
光る者は デンが目を閉じているのに気付くと 光を弱める
背の低い方の光る者
「どう?もう眩しくない?」
背の低い方の光る者は しゃがみながら デンに優しく語りかける そしてデンは ゆっくりと目を開ける
そこには うっすらと光る人の形をした者が 2人いた
光る者
「…………うん……この表情は……」
光る者は デンに近付き デンの顔を見つめる
背の低い方の光る者
「…………ええ……大丈夫みたい」
光る者
「おっと そうそう 自己紹介がまだだったな 俺は ………だ よろしくな」
デン
「………え?…なんて?」
光る者
「ん?だから………だ」
光る者は 首を一度傾げながら もう一度答える だが デンには 名前の部分だけ 雑音にかき消され聞こえない
背の低い方の光る者
「だから 無理だって言ってたでしょ?」
光る者
「あ……そっか……そうだったな…」
背の低い方の光る者
「そんなことより あまり時間がないよ 早くしないと」
光る者
「わかってるって ゴホン!あらためて…… デン!すまないが あまり説明している時間がないんだ」
デンは 何が何だかわけがわからないが とにかく頷く
光る者
「………そうだ 確かめなきゃ!……えっと…今は……確か……第3鉱山に 内緒で見に行く前夜かな?」
デン
「………え?……違うよ?……えっと……いまは…たしか……そうだ スキアのとこで うたた寝して……」
光る者
「な!?」
背の低い方の光る者
「……ギリギリもいいところね…」
光る者
「………ま…まいったな……くそ…軸がずれてしまった……考える余地なしじゃないか……」
光る者は ウロウロしながら考える その後 独り言を呟きだす
光る者
「…………ああ……すまない………ところで……ほんとうに…いいのか?…………わかった…………が決めた事に従うよ」
背の低い方の光る者
「………いいって?」
光る者
「ああ…… よし!デン!少し強引だが 仕方ない………それと………すまな…い…」
光る者は デンに近付き そっと 頭に両手を乗せる
デン
「……な…なんで謝るの?……それに…なんなの……訳が分からな………うわぁ!!!」
デンは 身体が硬直し 目の輝きがなくなる その後 意識が無くなったのか フラッと後ろに倒れそうになったが 背の低い方の光る者は 分かっていたかのように そっと支えた後 寝かせた