第216話 夢
あまり飛行するのが得意ではないエミリは 峠にある大きな木をピョンピョンと登り 木のてっぺんで 見渡す
エミリ
「………うーん……自然にできた広場を村にした感じだから 死角がいっぱいで ミナがどこに行ったかわかんないや……むぅ…方向は分かってるから 多分 あの辺だと思うんだけど……」
エミリは ミナとアルマが向かったであろう方向を重点的に見つめる
エミリは 狩猟をして生計を立てていたので 待つという行為は それほど苦ではない しかし 一時間以上待ったが アルマの姿はもちろん ミナの姿も エミリには確認出来なかった
エミリ
「………この村の規模からして 迎えに行くだけなら一時間以上かかるなんてありえない!……絶対道草食ってる!!」
エミリは そう確信し 木から降りる
エミリ
『………先に帰っちゃおうかな……うー…でもなぁ…私1人なら問題無いんだけど あの子たちがいるからなぁ……多分 大丈夫だと思うんだけど 万が一ってこともあるし……それに やっぱりゴムドさんとアルマは いざって時に絶対頼りになるよね……うー……』
エミリは 中々帰ってこない2人を置いて 先に帰ってしまおうかと思ったが 結局 待つことにする
エミリ
「………ほんと…まとまりがないなぁ……みんな好き勝手して……もう…」
こうして エミリはイライラしながら スキアの元へ戻る
エミリ
『……もう 充分休憩したでしょ……負荷は デンとリクじゃ足りないよね………そうだ!昔使ったアレがあった アレならさらに大きな負荷がかかるわ………よし…クッククク…』
ゴムドとアルマが帰って来ないイライラを スキアにぶつけようと 早歩きで向かう
エミリ
「さあ!休憩はもう終わりよ!もう充分休めたでしょ!!」
エミリは スキアに近付きながら話す
エミリ
「………ん?」
エミリが そっと覗くと スキアはよほど疲れたのか スヤスヤと寝息を立てており デンとリクも スキアのお腹にもたれ 熟睡していた
エミリ
「………寝ちゃってたか……もう……しょうがないわね…」
エミリは 叩き起こそうと一瞬思ったが ぐっすりと幸せそうな寝顔を見ていたら そんな気がなくなる
エミリ
「………でも ゴムドさんたちが帰ってくるまでよ?」
エミリはそう言うと エミリも指輪から椅子を取り出し エミリも休憩をすることにした
デンは スキアのほんのり暖かいふくよかなお腹にもたれていると よほど気持ちよかったのか うたた寝のつもりが 深い眠りについてしまう
………そして………デンは 夢を見る………
デン
「うわぁ!!速い!速い!!」
どうやら デンは スキアの背に乗り 大空を滑空している夢を見ているようだ
デン
「………ん?……でも…なんで…僕だけ?………うーん……あ…そっか……これは 夢なんだ…」
スキアの背に乗っているのが デン1人だけだったので ここで デンは夢と気付く
スキア
「………そう これは 夢……」
デン
「わぁ!!ス!スキア!?話せるの!?」
スキア
「これは あなたの夢なんだから なんでもありですよ」
デン
「あ…そっか… でも スキアとおしゃべり出来るなんて 夢でも なんだか嬉しいや」
スキア
「そう?それは良かった でも やはりこれはあなたの夢だから……例えば……ほら 周りをよく見て」
デン
「周り?………あれ?……なんだか…ぼやけてる……」
スキア
「そう これはあなたの想像の世界 デンは 上空から見た世界なんて 見たことが無いでしょ?」
デン
「うん 見たことないよ そっか……だから 周りの景色がはっきりとせず ぼやーっとしてるんだ……でも なんだろ……夢の中なのに こんなに意識がはっきりとしているなんて……」
スキア
「………それは……あなたの夢であり あなたの夢ではないから……」
デン
「………え?……どういうこと?」
スキア
「……私は 頼まれたのですよ ここに いざなうようにと……」
デン
「僕を!?……だ…誰に?」
スキア
「………それは………デン……あなたにです…」
デン
「はあ!?ぼ…僕に頼まれたぁ!?」