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拝啓 地獄に行ったけど楽しくやってます  作者: みるきーうぇい
第14章 お祭り 前編
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第208話 エミリのお古弓

ボグ

「これって 弓?………立派な…弓…だけど……」

ボグに渡された弓は 所々キズもあり 色も変色していた

エミリ

「随分古いでしょ?それは 私が弓の修練してた時 ずっと使ってたものなの 古くって 所々剥げちゃってるし ちょっと恥ずかしいんだけど…でも ボグに受け取ってもらいたくて」

ボグ

「え……そんな大切なもの……なんで……オレに…」

エミリ

「だってボグ 戦士になるって言ってたじゃない その弓で的をバシバシ当てる事が出来る様になったら 充分戦士になれるよ」

ボグ

「………うん わかった」

エミリ

「とりあえず 一度 引いてみてよ」

ボグは頷いて 弓を構え グッと引いてみる しかし 半分ちょっと引けるだけで それ以上ボグには 引けなかった

ボグ

「か!かてぇ!!こ……こんなの引けんの!?」

エミリ

「ふふーん ちょい貸してみ」

ボグが エミリに弓を渡すと エミリは得意気に弓を構え 簡単に引っ張る

ボグ

「おおー!す…すげぇ……エミリお姉ちゃん怪力!!」

エミリ

「……それ…あんまり誉め言葉に聞こえないんだけど……」

ボグ

「や…やだなぁ……別に変な意味じゃないよ」

エミリ

「…ふーん まあ…いいけど…とにかく この弓を引くためには 基礎的な能力が不可欠よ わかった?」

ボグ

「うん!わかった!」

エミリ

「…………それと…」

エミリは 無言のまま もう一張の弓を渡した

ボグ

「え?……また弓?………でも……これ…」

エミリから受け取った弓は 先ほど貰った弓と比べると 簡素で弱弱しく見えた

エミリ

「…………うーん…やっぱり ひとつも上がらないかぁ…」

ボグ

「え?」

アルマ

「………それって…もしかして…成長するやつやない?………へー…初めて見たわ…」

アルマは 物珍しいそうに見る

ボグ

「成長?」

アルマ

「せや その素材で出来たもんは 使用者の能力によって見た目も能力も変わっていくんや」

ボグ

「……それって…とっても貴重なものなんじゃ…」

アルマ

「貴重やな ただ さっき言ったように 実力が見えてしまうからなぁ……周りにバレバレになってまうから 嫌がる方が多いかもしれんなぁ…」

エミリ

「そうね 特に 今は真理の眼があるから 自分の能力は数値化してわかるし 今は 昔ほど貴重じゃないかもしれない でも 生命体であるボグは 真理の眼は入れられないの 自分の力って意外と分からないでしょ?でも その素材の弓があれば 自分の実力に応じて姿形が変わっていくの 自分の実力が目で分かるのはいいでしょ?それに……」

ボグ

「………それに?」

エミリ

「ううん 今は必要ないわ とにかくその弓の形態がどんどん変わっていけば あなたはどんどん強くなっていっているって事 どう? やりごたえあるでしょ?」

ボグ

「うん どういう風に変わるのか全然分かんないけど オレ!頑張るよ!エミリお姉ちゃん ありがとう!!」

エミリ

「うん 頑張ってね!じゃあ……次は リクくんだね リクくんには……やっぱりこれだね!」

エミリは そう言うと 地図を描いていた時に リクに貸していたペンを取り出す

リク

「………え……そのペンは…」

エミリ

「見覚えあるでしょ?このペン」

リク

「………そ…そんな貴重なペン 貰えませんよ!」

エミリ

「そうよ このペンは とーっても貴重よ といっても 私のお古なんだけどね でも リクくんなら大事に使ってくれるでしょ?」

リク

「………で…でも…」

アルマ

「ええやん くれるって言うんやったら 貰っとけば」

エミリ

「そうそう それにこのペンなら どんな紙でもほとんど滲まないし 劣化もしないから リクくんの思い描いたものを描けるよ!はい!」

エミリは そう言ってリクにペンを渡す

リク

「………あ…ありがとう……でも!これは借りておきます 絶対自分で新しいペンを手に入れて お返しします!」

エミリ

「そう?分かったわ じゃあそのペン貸しとくね」

リク

「……うん」

リクは 大事そうにエミリに預かったペンを 両手で受け取る

エミリ

「さて 後は……デンくんだね デンくんは なんでも出来ちゃう器用だからさぁ……困ってるんだよね……デンくん 何か欲しいものない?」

デン

「………え……僕は…」

エミリ

「ほら 遠慮せず なんでも言ってみて」

デン

「今は……別に欲しいものなんて……無いです…」

アルマ

「こら こういう時は素直に言わなあかんで エミリが困るくらいのもん言ったれ」

エミリ

「常識の範囲ね もし今は無理っぽくても 必ずなんとかしてみるから とりあえず 言ってみてよ」

デン

「………え……じゃあ……いえ……でも…」

デンは 一度口に出そうとするが 結局口に出せずにいた

ボグ

「どうしたんだ?デン?……うーん お前なら 剣 とかがいいんじゃないか?」

アルマ

「剣?剣なら うちが似合いそうなのやるで」

デン

「いえ 僕は 戦いは好きじゃないです……」

ボグ

「えー…そうなのか…デンなら剣が似合いそうなんだけどなぁ…」

リク

「ふふん ボグ デンはそんな野蛮な事は嫌いなんだよ デン!それなら 僕と一緒にこの世界を作ろう!」

デン

「はぁ?世界を作る?どういうこと?」

リク

「言葉通りだよ この世界を作り変えるんだよ この村でさえ 不便な所が一杯あるだろ?って事は どこもかしこも不便な所ばっかりのはずさ そんなところを一切合切なくすんだ そして 誰もがどこにでも行けるそんな世界を作ろう! デンは 僕ほどじゃないけど 才能は充分ある」

デン

「ハハハ……それは なんだか凄そうだし 壮大な夢だね……」

リク

「だろ?」

デン

「………でも……僕は……いいや…」

リク

「………デン…」

デン

「……ねぇ…エミリお姉ちゃん…僕にも…何か出来るのかなぁ…僕には こう尖ったものが無いんだ…」

エミリは うつむいたまま話すデンに アルマも驚く事を言う

エミリ

「………デンくん じゃあ はっきり言うよ デンくん 君は何も見つからないし 何も出来ないよ」

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