第205話 マルコ目覚める
ヒガン
「…………」
ヒガンは マルコの目の前に着き ゆっくりとしゃがむ すると 背中にドンッと アルマが乗っかって来た
ヒガン
「うわっ!!」
アルマ
「そんなビビらんでもええやん うちもおったるから安心しぃ」
アルマは 意地悪っぽく笑う
ヒガン
「ア…アルマさま…」
アルマ
「ほらほら はよせんと ……お?ちょうど良かったやん 仰向けやし しかも だらしなく口ぃポカーンと開けとる 簡単な仕事や……ん?なんや?なにブツブツ言っとるんや?」
アルマは マルコに聞き耳をたてる
マルコ
「………うにゅ……え…ほ…ほんとですかぁ……もちろん…行きまふ…むにゃ…」
アルマ
「……こうやって見ると…まるで子供やな……さっきまで暴れまくってた奴と 同一人物とは思えんなぁ…」
ヒガン
「………で…では…」
ヒガンは 魔力の実ををパキッと割り そっとマルコの口に入れる
マルコ
「………むー…」
マルコは無意識の内に モグモグと魔力の実を噛み 飲み込む すると 同じようにマルコの身体が パァーっと淡く光り出す
アルマ
「「良し!はよ逃げるで!何が起こるか分からんからな!!」
ヒガン
「「は!はい!!」
アルマとヒガンは バタバタとマルコから距離を取って見守る
マルコ
「………うー……苦いぃ………ん?」
マルコはゆっくり目を覚まし 数回目をパチパチさせ 上体もゆっくりと起こし 周りを見渡した
ヒガン
「………普通に起きましたね…」
アルマ
「……まだや まだ安心できへん」
マルコ
「………えっと……僕は………ん?……あああーーっ!!」
マルコは 急に大声を出す
アルマ
「ほらきた!!逃げるで!!」
アルマは一目散に逃げようとするが
ヒガン
「お待ちください どうやら 様子がおかしいですよ」
マルコ
「ぼ!僕の腕が!……!!あ!足も!?」
アルマ
「様子もなにも ブチ切れ寸前やないか!」
マルコ
「………ま……いっか」
アルマ
「………はぁ?……今……まぁええかって言わんかったか?」
ヒガン
「みたいですね あまり気にされていない様です」
アルマ
「……どういうことやねん…知らん間に片手と片足無くなってたんやで…普通 もうちょい気にするやろ…」
ヒガン
「確証はありませんが あの方なら すぐに元に戻せるからではないでしょうか?それよりも 今 マルコ様は現状を理解しておられぬはず 私が おおまかに説明を…」
ヒガンが アルマと話していると マルコは また 大声で叫ぶ
マルコ
「………ああー!!」
今度は 大声で叫ぶだけでなく よろめきながら立ち上がり キョロキョロと見渡し 座り込むゴムドを見つけると 飛んで向かって行く
アルマ
「………な…じぃちゃん!!」
アルマが マルコの行き先がゴムドの元に向かっている事に気付くと ゴムドの元に向かおうとするが ヒガンが止める
ヒガン
「お待ちください!今 ゴムド様の元に向かってはなりません!」
アルマ
「何言ってるねん!!何が起こるか分からんやろ!!」
ヒガン
「ええ!その通りです!ですから ここに留まってください!ゴムド様の実力は あなた様が 良く知っておられるでしょ!!」
ヒガンは 両手を広げ アルマを止める
マルコの次の行動に予想がつかない中 ゴムドの為にも アルマを近付けたくなかった
アルマを
「……くっ」
アルマも そのことが良く分かっていた もし 不測の事態が起きたのなら アルマがいる事の方が 足手まといになる事を
だが 遠目で見る事しかできない事に苛立ち とりあえず 隣にいるヒガンに当たる
アルマ
「………んなこと言われんでも わかっとるわい!!」
アルマは バシッと ヒガンの脛辺りを蹴っ飛ばす
ヒガン
「くっ…と…とにかく ゴムド様に任せ 様子を見ましょう」
こうして ヒガンと半分すねているアルマは ゴムドの様子を見守った
マルコは 転がる勢いで ゴムドの元にたどり着くと 少し言葉を交わした後 大きく頭を下げ 飛んで行ってしまう
ヒガン
「………どうやら いらない心配だったようですね マルコ様は 冷静を取り戻し 元に戻っていたようです」
ヒガンが アルマに話しかけるが もう その場にいなく すでに ゴムドの元に向かっていた
ヒガン
「……!!はやっ!………ふぅ…しかし…いやはや…難しい方だ…」
ヒガンは 小さく息を吐き ゴムドが手を焼く理由を理解した
ヒガン
「……おっと こうしている場合じゃない 鉱山復旧の件 これ以上ゴムド様の手を煩わせないことを伝えねば!!」
ヒガンも アルマを追いかけた
そして 時は戻り 現在………