第199話 乱入者
シオンは 突然扉が開くほんの一瞬前に気付き すぐさまバロンの後ろに立ち 戦闘態勢をとっていた
アモン
「…………お前……何してんだ?」
???
「しーっ!!………アモン あんまり大きな声を出すな…」
明らかに挙動不審な男は 扉をすぐに閉めた後 通路に聞き耳を立てていた
シオン
「な!?だ…だれ…」
バロンを庇うように立つシオンは この礼儀作法も知らない無礼な男を警戒する
???
「………よし……行ったな……ふーっ…悪いなアモン 少しでいいから匿ってくれ」
シオンとバロンが警戒する中 男は キョロキョロと見渡した後 ソファーに座り 机にベターッと両手を伸ばす
???
「……聞いてくれよ…アモン あれからずっとだぜ?……休憩もなしで…」
アモン
「………今 大事な話をしているんだが?」
???
「あ…そうなの…いいよ 俺の事は気にしなくて…ちょっと休憩したら 勝手に出ていくからさぁ…」
男は 机にベターッとなったまま話す
アモン
「………そういうことか……お前……逃げてきたな」
???
「逃げたんじゃないって ちょっと休憩しに来ただけだって」
アモン
「………ハァ……シオン 悪いが 扉を開けてくれないか」
シオン
「え?…はい かしこまりました」
シオンは 良く分からないまま 扉をそっと開ける
アモン
「ここにいるぞ!!ユウキは!!!」
アモンは 大きく息を吸い 大声で叫んだ
ユウキ
「な!?おい!アモン!!」
ユウキは ガバッと顔を上げ ソファーから勢いよく立ち上がる
そして すぐに 通路からバタバタと足音が聞こえ ガータが入ってくる
ガータ
「ユウキさん!!一体どこに行ったかと思えば!!こんなところに!!」
ユウキ
「いや 違うんです違うんですよ ちょっと道に迷ちゃって…ハハハッ…」
アモン
「こいつ ただここに逃げて来たんだ とっ捕まえて連れて行ってくれ」
ユウキ
「え!?おい!!アモン!なんてことを!!」
ガータ
「行きますよ!まだ半分も終わっていないのです!!」
ガータは 問答無用でユウキの手を掴み 連れて行く
ユウキ
「あ…う…恨むぞ!アモーン!!」
ユウキの虚しい声が 通路を木霊する中 シオンは そっと扉を閉じる
バロン シオン
「…………」
アモン
「……なんか…すまんな…バロン シオン…」
バロン
「……先ほどの方は…」
アモン
「……あまり気にしなくていい 見ての通り 緊張感の欠片もない奴だ」
アモンは 頭を掻きながら 苦笑いを浮かべ乾いた声で話した
バロン
「は…はあ…そう…ですか…」
バロンとシオンは良く分からず また 顔を合わせ首をかしげた
アモン
「すまなかったな そうそう それで任務なんだが…」
こうして バロンとシオンは任務遂行の為 ある場所へ向かう
バロン
「………しかし…いくらなんでもヒントが無さすぎじゃないか?ほんと 雲を掴むような話だぜ…」
シオン
「…………」
バロン
「……?おい?シオン?聞いているか?」
シオン
「………!!え?何か言いましたか?」
バロン
「どうした?お前らしくないな 何か考え事か?」
シオン
「………アモン様と謁見中に入ってきた方……たしか…ユウキと言われていた…あの方は…一体何者なのでしょうか?」
バロン
「ん?シオン お前も知らないのか?」
シオン
「知りませんよ!アモン王子にあんな粗暴な振る舞いする者なんて 聞いた事ありませんよ」
バロン
「確かにビックリしたなぁ…でも あの感じじゃ普段からあんな接し方なんだろうな…アモン王子も全く気にしていなかったし…」
シオン
「私が アモン王子と会ったのは大体100年以上前になりますが もっと……なんていうか……冷酷で…正直 目を合わせられないほど残虐性がありました でも…今日会ったアモン王子は…」
バロン
「ああ それは俺も思ったよ 多分 アモン王子が変わったのは 途中で入ってきたあのユウキっていう者に出会って変わったんじゃないかって思う」
シオン
「……憶測で物を言うのは 嫌いですが その可能性は高いですね………さあ 無駄話はこれまでです まずは 情報収集です 行きましょうか バロン様」
バロン
「ああ………ん?…そういえば…結局なんの祭りだったんだ?……ま…いっか…って!ちょっと待て!シオン!」
シオンは 町の中心地にズンズンと歩いて行く その後ろを バロンは追いかけた