第196話 謁見の間にて
門番
「………ん?これは シオン様 いつ戻られたのですか?」
シオン
「ついさっきですよ それで 私たち アモン王子に呼ばれて来たんですけど」
門番
「え?そうなのですか?確認してきますので 少しお待ちください」
シオン
「ええ お願い」
門番は ペコっと頭を下げ 謁見の間に入っていく
バロン
「………シオン お前って結構顔が広いよなぁ」
シオン
「まあ 昔からいた者は 大体 知っていますね ここ数十年の若い者は知らないですけど」
バロン
「うへぇ…お前…一体いくつなんだよ……でもさ そんなに年月が経ってんのに アモン王子と一度だけ?」
シオン
「もちろん アモン王子の命は 何度も受けていますよ ただ 私だけじゃなく直接受けることなんて 私が知っている限り ありませんでしたよ?……さて おしゃべりはここまでです」
バロン
「……ああ」
そして 先ほどの門番が戻り バロンとシオンは 謁見の間に入ることの許可を貰う
バロンとシオンは 大きく息を吸い ゆっくりと深呼吸をし 謁見の間に続く大きな扉を開けた
シオン
「…………」
シオンは 謁見の間に入り すぐに 周りの状況を把握する
シオン
『………いち…に……3人…あ…ブルカ様か…へー…アモン王子は……やっぱりいない…か…』
シオンは 謁見の間にいる人数を数える 任務を受けるいつもの体制で 少しホッとすると同時に もしかしたら 今回は アモン王子がいるかもと 少し期待していた
バロン
「………なーんだ…いつもと同じ…じゃないか…」
バロンは ボソッと呟く
シオンは バロンを横目で見ながら バロンも自分と同じ気持ちだったと 少し笑みがこぼれた
アモン側近 ブルカ
「バロン シオンだな 話は聞いている こちらへ来い」
バロン シオン
「はっ」
バロンとシオンは いつものように 謁見の間の中間まで進み その場で待つ
ブルカ
「何をしておる こちらへ来いと言ったであろう」
バロン シオン
「え?…は…はい」
バロンとシオンは 戸惑いながら 歩を進め ブルカに近付いた
ブルカ
「うむ ご苦労 して ネドから聞いていると思うが アモン様から直接の命だ」
バロンとシオンは その場で片膝をつく
ブルカ
「だから 直接と言ったであろう 行くぞ」
バロン シオン
「??……え…」
バロンとシオンは 片膝を付いたまま お互い 首を傾げながら 顔を合わせる
バロン
「………どういう……あ!」
バロンは シオンに話しかけようとしたが ブルカは 背を向け どんどん離れていく
バロンとシオンは 慌てて立ち上がり ブルカを追いかけた
ブルカ
「お前たちは この奥まで来たことはあるか?」
バロン
「いえ ありません」
ブルカ
「そうか この奥は アモン王子の個室となっている そこで 命を受けよ」
バロン
『……マ…マジかよ…』
バロンとシオンは また お互い顔を合わせ 神妙な面持ちで ブルカの後ろに付いていった
ブルカ
「………着いたぞ ここだ」
ブルカは 扉をノックする
アモン
「………だれだ?」
ブルカ
「ブルカです バロン シオン 両名連れて参りました」
アモン
「……バロン?シオン?………ああ!わかった 入っていいぞ」
ブルカ
「だそうだ バロン シオン 粗相のないようにな」
ブルカはそういうと 謁見の間に戻っていった
シオン
「え!?………え…」
バロン
「ブ…ブルカ様 せめて 中まで一緒に……あ…」
バロンは 蚊の鳴くような声で ブルカに懇願したが ブルカはもう その場にはいなくなっていた
バロン
「……くっ…お…おい シオン お前 早く開けろよ…」
シオン
「は?な…なんで私が…バロン様こそ 早く開けて下さいよ」
バロン
「ば…馬鹿いうな!見ろよ 緊張して手がまともに動かないんだよ!」
シオン
「そ!そんなの 私も同じです!ほら!早くしないと!」
バロンとシオンは アモンの部屋の扉を どちらが開けるか揉めていると
アモン
「……おい?どうした?早く入ってこい」
バロン
「は!はい!申し訳ありません!!」
シオンは そっとバロンの手を掴み 強引に扉に近付ける
バロン
「あ!ちょ……う…恨むぞ…シオン…」
シオン
「ええ!恨んでもらって構いません さあ 早く!」
バロンは シオンを睨みながら 意を決して 扉を開けた




