第181話 マルコの手合わせ
ゴムド
「……さてと では行くか アルマ」
アルマ
「……ああ わかっとる」
アルマはそう言うと ゴムドの肩に乗る
アルマ
「初めは様子見や 速さが足らんかったり 力が足らんと思ったら その都度変更していくで」
ゴムド
「うむ 権限は全てアルマに渡す 好きなように戦え」
アルマ
「………ふん」
ゴムドが肩に乗っているアルマに声をかけるが アルマはそっぽを向いたまま 素っ気なく返事をした
ゴムド
「……まったく…何をイライラしておる…」
アルマ
「うっさい!行くで!」
アルマは力強く声を出す するとアルマの髪が伸び ゴムドの身体は二回り大きくなり雄叫びをあげた
そして ゴムドは両足に力を込めジャンプをし 結界の中に入っていった
そして 結界の中心で お互い対峙する
アルマ
「………覚悟はええか…兄ちゃん…」
マルコ
「ええ!もちろんです!!」
マルコは満面の笑みで答える
アルマ
「……なんや…その…ヘラヘラした顔は!?馬鹿にいてんのか!?」
マルコ
「え!?ああ…すみません でも別にこれは馬鹿にしているわけではなくて…」
マルコは 恥ずかしそうに 頭を掻きながら答える
アルマ
「だったら そのヘラヘラした顔をやめーや!」
アルマは怒りに任せて マルコに向かい 大きく右手を振りかぶり 殴りつけた
マルコは 意表を突かれる形となり まともに殴られ 吹っ飛んで行く
アルマはすぐに追いかけ 追い打ちをかける
マルコはアルマの怒涛の猛ラッシュを ほぼ全ての打撃をまともに受け続けた
副長
「おお!さすが拳武帝!圧倒しておりますな!」
ヒガン
「ああ そうだな しかし マルコ様がこのままやられっぱなしにはなるまい ねぇ シェル様」
シェルは ヒガンに話しかけられるが 見向きもせず じっと上空を見つめ戦況を見守っていた
そして 上空を見つめながらシェルは ボソッと呟く
シェル
「………やはり あの差は埋まらない……一体…どうなさるおつもりなのか…」
場面は変わり 上空の戦いでは 未だゴムドがマルコをとらえており 一方的にゴムド側が攻めていた
端から見れば ゴムド側が圧倒的有利にしか見えないだろう しかし…
アルマ
『……くっ…な…なんや…この殴り応えの無さは……まるで全て空振りしているような…妙な感覚……ま…まさか…こいつ…打撃無効か!?』
アルマは あまりの手ごたえの無さに 気が焦り 大きく振りかぶった右の一撃が 完全に空振り ゴムドの身体が流れてしまう
アルマ
「し!しまっ!」
マルコ
「およ?これは!チャンス!!」
マルコは そのスキを逃さず ゴムドの脇腹をヒョイと殴りかえした
3メートルをゆうに超えるゴムドの身体だ 誰がどう見ても マルコのか細い腕のパンチが効くとは思えない だが……
アルマ
「ふん!そんな攻撃!うちのじじぃに効くはずがな……!?じじぃ!?」
アルマはすぐに態勢を戻そうとするが ゴムドの身体は膠着しており 動かなくなっていた
マルコはそのスキも見逃さず 回し蹴りを入れる
凄まじい衝撃音とともに 今度は ゴムドの大きな身体が吹っ飛んで行く
マルコ
「よーし!今度はこっちの番だ!!」
マルコは 意気揚々と吹っ飛んで行くゴムドを追いかける しかし 少し進んだところで ドンッという爆発音とともに マルコは黒い炎に包まれた
マルコ
「黒炎?……なんで?」
マルコは 自分にまとわりつく黒い炎を 手で乱暴に払いながら 周りを見渡した すると 黒い炎の塊が いくつも浮遊していた
マルコ
「……いつの間に…わ!あそこにも……参ったな…全然気付かなかったぞ…」
マルコは 周りを見渡しながら呟く そうこうしているうちに マルコの上空にある黒く燃える炎の玉が マルコ目掛けて一直線に向かってくる
マルコはすぐに気付き ヒラリと避けるが 意思を持っているかのように 再び マルコに向かってきた
マルコ
「えー…追尾式!?……厄介だな…ん?…ってことは…もちろん…他も?」
それを皮切りに無数にヒラヒラと浮遊していた黒い炎の玉が 一斉にマルコに襲いかかってきた
マルコ
「……ですよね でも!こういうの 実は結構得意なんだよね」
マルコは無数に襲いかかってくる黒い炎の玉を まるでダンスを踊っているかのように ヒラリヒラリと 華麗に避けていく
さらに ただ避けるだけでなく 黒い玉の軌道を予測し お互いぶつかり合うように避けていく
黒い炎の玉は お互いぶつかり合い どんどんと消滅していく そして あれほど無数にあった黒い炎の玉は 残り一つとなる
その最後のひとつを マルコは右手で受け止め 握りつぶし 辺り一面を黒い煙が舞う
マルコ
「さて これが最後の一個だね………え!?」
黒煙が収まっていき マルコの目の前の視界が戻る中 狼型に変わったゴムドが 鋭利な爪を伸ばし マルコの身体を切り裂く寸前だった
マルコ
「な!?そ!それが本命か!」
マルコは 大きく目を開く 最後の黒炎を難なく打ち消した事で マルコは少し油断をしていたのであろう アルマが操るゴムドの一閃は マルコの左肩から 斜めに大きく切り裂いた
しかし すぐにマルコの身体は修復し 何事もなかったかのように戻る
アルマは その事はわかっているかのように 何も動揺することなく 次の一撃 次の一撃と襲いかかっていく
今度は 力でねじ伏せていくスタイルではなく 速さを活かした攻撃に変え マルコを中心に四方八方から縦横無尽に 現れては消え 消えては現れを繰り返し マルコの身体を切り裂いていった