第175話マルコの禁断の方法
ゴムド
「お主…一体何を考えておる…この村はユウキ殿が……え?」
マルコは ゆらゆら揺れながらゴムドの前に行き そして その場で ビシッと直立し 腰から90度曲げ ゴムドに頭を下げ叫んだ
マルコ
「お願いします!5分でも…いえ10分…いや!1時間でも構いません!戦ってください!お願いします!」
ゴムド
「……は?」
ゴムドがキョトンとする中 異変に気付いたアルマが笑いながら ゴムドに寄っていく
アルマ
「ギャハハハ!おもろい兄ちゃんやなぁ!言ってることハチャメチャやで! ええやん その訳分からんとこ嫌いやないで じじぃ ちょっとぐらい手合わせしてやったら?どうせ 本気でつぶし合うって訳やないんやろ?」
ゴムド
「これ!アルマ!簡単に言うな!」
マルコ
「ですよね!アルマさん!あー…よかったぁ…僕の気持ちわかってくれる方がいてくれて……しかも!こんな可愛い方が味方に付いてくれるなんて僕はなんて幸運なんだぁ!」
マルコは ゴムドの言葉を遮るように話し さらに わざとらしくアルマを褒める
アルマ
「か…かわいい?……うちが?……もう!兄ちゃん口が上手いな!!」
アルマは 照れながらマルコの肩をバンバン叩く
ゴムド
「………上手く乗せられおって……こやつとは ただ単純に戦いたくないんじゃ…」
ゴムドは 小さくため息をついた後 鬼子たちが担当場所を決めている場所をチラッと見る すると 集まっていた鬼子たちと兵士は 皆 ぼーっとゴムドたちのやり取りを見ていたようだった
ゴムド
「………何をしておる?担当箇所は 決まったのか?」
鬼子
「………!!あ!も!申し訳ございません!…ま…まだ 決まっておりません…」
ゴムド
「……それで?後 どのくらいかかるのだ?」
鬼子
「そ…そうですね……あと…2…30分もあれば…」
ゴムド
「30分?全く進んでいないのではないか?配置決めも重要な事 しっかり集中せよ」
鬼子
「も!申し訳ございません!」
ゴムドは 鬼子たちに注意した後 何気に3千の兵の方を見渡す すると 3千の兵のほとんどの者と目が合う しかし 兵たちも気まずいのか すぐに 目を逸らした
ゴムド
「………全く…そういえば お主 名を聞いていなかったな…」
マルコ
「マルコって言います!」
ゴムド
「マルコか……正直 お前の相手などしたくないが……ここまで注目が集まってしまってはのう…断れば 士気にかかわる…か……ふー…わかった 致し方ない……10分じゃ…10分間 相手をしてやろう」
マルコ
「ええー!?10分!?……そ…そんなぁ…出来れば…30分ほど」
ゴムド
「10分じゃ それ以上相手出来ん」
マルコ
「そこをなんとか!」
マルコは 両手をパシッと揃え 懇願する
ゴムド
「……10分と言うておろう…」
ゴムドは 見向きもせず断る
マルコ
「………むぅ…あ!じゃあ!間をとって 20分!」
マルコは 片手をピースサインにして お茶目にウィンクした
ゴムド
「10分じゃ!!これ以上言うなら もう 相手はせん!!」
ゴムドは 大声を張り上げ怒鳴る
マルコ
「ああ!嘘です!嘘です!10分でいいです!」
ゴムド
「………ふぅ…鉱石を買い付けに来ただけだったのに……一体何でこんなことに…」
ゴムドは めんどくさそうに頭を掻きながら 誰にも聞こえないほど 小さな声でぼやいた
その横で マルコはそーっと後ろを振り向き 小さく両手でガッツポーズをする
マルコ
『やった……やったぞ……ほんとにこんなことで上手くいくなんて………ユウキさん…サヤカさん……ありがとう!!』
実は マルコは馬車から飛び立つとき ユウキに呼び止められていた