第171話 エミリの直属兵?
ゴムド
「エミリ殿ぉ!な!なにをしておられるのですかぁ!!」
エミリ
「え?いやぁ…それがね 1人怪我を隠して参加してた人がいてね 怪我人にさせる訳にはいかないでしょ?それで 1人足りなくなっちゃったの まあ それで どうせもうする事もなくなっちゃったし私も参加しようかなって」
ゴムド
「いけませぬ!ユウキ殿にくれぐれもよろしくと頼まれておるのです!」
エミリ
「あ!そうだ!……そういや ユウキさんは?サヤカもいないし?」
ゴムド
「あ…実は…」
ゴムドは エミリに事の経緯を話す
エミリ
「そうなんだぁ…先に帰っちゃったんだ…そっか…ユウキさん…最後までいたかったはずなのに……なら!なおの事私が最後まで見届けなきゃ 帰った時 ユウキさんにいい報告してあげないと」
ゴムド
「多分そういう事なんでしょう ユウキ殿もエミリ殿に最後まで見届けてもらいたいと思っているはずです ですが 何も鉱山の復旧作業に参加する必要はありませんぞ それに 鉱山内を理解していないと…」
エミリ
「それは大丈夫!ゴムドさんも見たでしょ?鉱山内の地図」
ゴムド
「地図?……ああ 村長の持っていた地図ですな 見ましたぞ 繊細に書かれ 細かいところまで丁寧に書かれており まこと素晴らしい地図であった その地図がどうかされたか?」
エミリ
「あれ 書いたの私だよ」
ゴムド
「……え?…あの地図を?……エミリ殿が?……ハッハハハ ご冗談を あれほどの地図 一朝一夕で出来るものではありますまい」
ミナ
「本当ですよ ゴムドさん」
ゴムド
「お ミナ殿 そうなのですか!?……うーむ…あれほどの地図を……ならば 鉱山内を理解しておるということですな……しかし それはわかりましたが…」
アルマ
「むりむり エミリの性格じゃ一度言い出したら聞かんって それに エミリの率いる部隊が一番統制とれとるやん」
ゴムド
「……た…たしかにそうじゃが……仕方ない… しかしエミリ殿 くれぐれも無茶だけはしないで下され」
エミリ
「もちろん!無茶はさせるけど無茶はしないわ!ね!みんな!」
兵士たち
「はい!エミリさまに危険な目など合わせません!」
エミリ率いる50名の兵士は 口を揃え 完璧にシンクロし叫んだ
この情景を見たゴムドは これ以上何も言えず 仕方なく承認するしかなかった
ただ この完璧に統制の取れたエミリの部隊の士気は 初めこそ 周りは引き気味に見られていたが 次第にいい意味で 少しずつ飛び火していく
ゴムド
『……むぅ…エミリ殿の率いる兵士の士気が 周りにいい影響が出始めておるな……そのおかげか ギクシャクした部隊も少しずつ打ち解け始めておる…切り札を用意しておったのじゃが……これ以上わしが手を入れてもさほど意味をなさんか…』
アルマ
「お!なんかええ感じやな!みんなやる気満々やん」
ゴムド
「うむ ここまで士気があがるとは思わなんだ これほど高ければもうあまり意味をなさんかもしれんが せっかく用意したからな」
アルマ
「用意?」
ゴムド
「そうじゃ 実はのう…」
ゴムドは アルマにコソッと耳打ちをする
アルマ
「はぁ!?何言ってんのや!!」
ゴムド
「急に怒鳴るな せっかく作ったんじゃ 日の目を浴びないのはもったいない それで アルマ 兵士に話しておく必要がある あの高台に行き 全兵聞く態勢にしておいてくれ」
アルマ
「はぁ?なんでうちが」
ゴムド
「わしは今から用意せねばならん 手が空いておろう 何事も経験じゃ それともアルマ 出来ぬというか?」
アルマ
「別にそれぐらい出来るわ!……ったく…しゃあないな…」
アルマは渋々了解し 頭を掻き 少し照れながら 高台へ向かい 3千の兵に向き直る
アルマ
『……エミリだって50人の兵をまとめたんや……うちだって…これぐらい…』
アルマは その場で大きく深呼吸をする
アルマ
「はーい!ちょっとええかな?こっち見てくれる?」
アルマは 大きく叫ぶ しかし……
兵
「……ん?なんだ?」
兵
「さあ?良くわからん……それより もう少し 鉱山内の事聞いておこう」
兵
「……そうだな」
アルマの声は 3千の兵に届いたが 話し方が話し方なので あまり重要とは認知されず ほとんどの兵が聞き流した
アルマ
「……?おーい!聞こえとるやろ ちょっと話きき!!」
アルマは再び大きく叫ぶ しかし 数人の兵がアルマをチラッと見たが また 鬼子たちと話し出した
アルマ
「おい!話聞けや!!うちは気は長くないで!!!」
それでも兵たちは ワイワイガヤガヤと アルマを無視する
アルマ
「………いい加減に……」
アルマはうつむき プルプル震え 気味の悪い闘気がアルマを包んでいく
すると アルマの背中から 赤紫の半透明な細いイバラが 何本も生え うねうねとうごめいていた