第169話 マルコの要望
ゴムド
「……なるほど…飢えておるな…」
アルマ
「ん?なんか言った?」
ゴムド
「………しかし…さすがに…アルマ お前の力が必要じゃな…あやつの相手は…」
アルマ
「は?」
ゴムド
「……いや 気にするな…なんとなくじゃ…そう…なんとなくじゃ…」
アルマ
「…なんやそのどこかで聞いた事のあるセリフは……ガムラのじじぃそっくりやで」
ゴムド
「な!う…うるさい!あのじじぃの名を出すな!」
その後 ゴムドは 3千の兵に指示を出し 鬼子達が集まっている村長の家に向かった
その頃 馬車で帝都に向かっているユウキたち…
ユウキとサヤカ
「…………」
ユウキとサヤカは 妙な緊張感の中 2人黙り 目の前に座っているガータを見つめる
ガータ
「……ここは……いや…抜けられませんね……ここは単調になりますが…仕方ありません……あと…ここは…重要…ここだけは時間を取らなければ…」
ガータは 膨大な量の書類を一枚一枚手に取りながら ブツブツと呟く 所々ユウキとサヤカの名が出てくるので あの膨大な書類は 今回の祭典のことなのだろうと容易に想定できた
ユウキ
「………な…なんなんだ…あの量は…も…もしかして…あれ…全部 覚えなきゃならないの…か…」
ユウキは顔が真っ青になりながら呟く
サヤカ
「……多分…それより ユウキ」
ユウキ
「うん?どうした?」
サヤカ
「……なんだか マルコさん…ソワソワしてない?」
ユウキ
「マルコさん?……言われてみれば…どうしたんだろ?」
サヤカ
「…ちょっと聞いてみてよ」
ユウキ
「え?俺が?」
サヤカ
「他に誰がいるのよ」
ユウキ
「わ…わかったよ」
ユウキもソワソワしているマルコが気になったので 馬車の入口で立っているマルコに話す
ユウキ
「あのぅ…マルコさん?」
マルコ
「…………」
マルコは 馬車の窓を見つめたまま ユウキの声をかけるも反応がなかった
ユウキ
「……マルコさん?」
マルコ
「……え?ああ ユウキさん どうかしましたか?」
ユウキの二度声をかけて ようやくマルコは気付く
ユウキ
「…いや 別に特別な用事はないんですけど なんだかソワソワしてるなぁって…それで 気になっちゃって…」
マルコ
「あ…やっぱり そう見えちゃいます?」
ユウキ
「なにかあったんですか?」
マルコ
「……どうしようかなぁ…聞いちゃおうかなぁ…」
ユウキ
「聞く?何を?」
マルコ
「……うん やっぱりどうしても気になる ユウキさん!ひとつ聞いていいですか!」
ユウキ
「はい なんでしょう?俺にわかることなら」
マルコ
「ユウキさんの近くにいた あの身体のごつい人いたじゃないですか」
ユウキ
「身体のごつい人?ああ ゴムドさんのことかな?」
マルコ
「そうそう その方です」
ユウキ
「へー…マルコさんも知ってるんですね」
マルコ
「知っているっていうか 噂程度で知っています 実際は会ったことはなかったんです」
ユウキ
「そうなんですか それで?ゴムドさんがどうかしたんですか?」
マルコ
「…ぶっちゃけどうなんです?そのゴムドっていう方……強いですか?」
ユウキ
「へ?戦闘ってことですか?……うーん…基準が分かんないですけど…多分 強いと思いますよ」
マルコ
「ですよね!強くないわけがない……あの伝説の方ですもんね」
ユウキ
「で!伝説!?」
マルコ
「……あー…だめだぁ…どうしても気になる…ユウキさん!お願いがあります!!」
ユウキ
「…え…ま…まさか…」
マルコ
「はい!そのまさかです!どうしても手合わせしてみたいんです ほんの少し ほんの少しだけ僕に時間を下さい!」
ユウキ
「ええ!?ほ!本気ですか!?」
マルコ
「はい!この馬車が帝都に到着する前に戻ってきます!お願いします!」
ユウキ
「俺は止めませんけど あまり無茶しないで下さいよ」
マルコ
「ありがとうございます!僕がいない少しの間 何もないと思いますが…」
マルコはそういうと サヤカの足元を見つめ
マルコ
「すまないが 少し時間をもらう その間 2人を守ってくれ」
サヤカ
「え?あ…はい」
サヤカは 良く分かっていなかったが とりあえず返事をする
マルコ
「あ!サヤカさんに言ったんじゃ…いえ! では!」
マルコはそう言うと 馬車の扉を開き 来た道へ飛び立っていった