第166話 副長復活
サヤカ
「……えっと…誰に……あ!たしか…ヒガンさんでしたね」
ヒガン
「え!?は!はい!」
ヒガンは まさか声を掛けられるとは思っていなく つい 裏声になってしまう
サヤカ
「ごめんなさい 急に声をかけちゃって…でも どうしても聞きたいことがあって ヒガンさん ここ最近 あなたの近くで消滅してしまった方は いませんでしたか?」
ヒガン
「え!?な…なぜ…それを…」
サヤカ
「やっぱり…」
ユウキ
「え…どういうこと?」
サヤカ
「多分 世界樹の実は 消滅した方が近くにいる事を感じるんだよ それで 出されたと思っているんだね」
ユウキ
「……そうなのか?」
ユウキは 手に持っている世界樹の実に語りかける
世界樹の実
「うん そうだよ あのひとのそばに強い念を感じるね で どうするの?」
ユウキ
「ちょっと待って とにかく事情が良く分からない ヒガンさん 一体何があったんですか?」
ヒガン
「……あ…いえ…」
ヒガンは 口が籠る
ゴムド
「……なるほどのう…ヒガン 黙る必要などない 大方 ガムラが関係しておるのだろう」
サヤカ
「ガムラさん?」
ゴムド
「サ…サヤカ殿…あ…いえ…その…わしらは…古い者でして…つい…武でどうにかしてしまうというか…」
ゴムドも ヒガン同様 口が籠ってしまう
サヤカ
「ゴムドさん!最後何を言っているのか聞こえないですよ!……でも なんとなくわかりました ですが ヒガンさん 詳しく教えてください」
ヒガンは 本当に話していいのかわからず ゴムドを見る ゴムドは ヒガンに対し頷く
それを見たヒガンは 意を決して 事の事情を話した
サヤカ
「そ…そんなことが……」
ヒガンから事の事情を聞いたサヤカは つい口を手で覆う
グミ
「……へーっ…なるほどなぁ それで途中から まともな行軍になったって訳か」
ユウキ
「事情はわかった 何はともあれ 間接的に俺たちにも比があるな それで その人をここに戻すには どのくらい力を消費するんだ?」
世界樹の実
「そうだなぁ…今の僕の力は『フルマックス』だからね!…んーっと 5分の1あれば十分だよ」
ユウキ
「……そうか…なら…」
ユウキは サヤカに了承を得る為 サヤカを見る
サヤカ
「うん ユウキがいいなら 私は反対しないよ」
ユウキ
「よし じゃあ頼む」
世界樹の実
「はーい 任せて」
世界樹の実は そう言うと 大きく光り輝きだした
サヤカ
「わっ!ま!まぶし!」
あまりにも強烈な光の為 サヤカは目を背ける
ゴムド
「おお!!な!なんという魔力じゃ!!」
ユウキを中心に 黄金に輝く光が発生し 渦を巻く
その後 空を貫くほど 光の柱が現れ 辺りを真っ白にしていく
そして ゆっくりと光の柱は輝きを失っていくと同時に 真っ白になった周辺は徐々に元に戻っていく
ユウキ
「お…おわった…のか…」
ユウキもあまりの眩しさの為 目を瞑っていたが 光が消えていくとゆっくりと目を開ける
サヤカ
「………あ!見て!ユウキ!ヒガンさんの隣!!」
ユウキ
「え?……おお!!」
ユウキは サヤカに言われ ヒガンの隣を見ると 白く輝く人型が浮かんでいた そして 徐々に 人型の白い気体は 姿が鮮明になっていく
副長
「ヒガン様!!………あ…あれ?」
副長は 消された瞬間まで戻った様で 3歩ほど余韻で走り 周りを見渡した後 その場で 首を傾げ立ち尽くしてしまった
ヒガン
「ま…まさか…ほ…本当に…」
ヒガンは 復活をした副長を 目を丸くし見つめた
副長
「ん?あ!ヒガン様!ご無事なのですね!……でも…これは…一体?」
ゴムド
「………クックク…ハッハハハ!やはり!ユウキ殿は凄まじい!わしの力など足元にも及ばぬわ!ハッハハハ!」
ユウキ
「いや これは俺のちからじゃないですよ このちからはこの世界樹の実のちからですので」
ゴムド
「もちろんわかっております たとえ その宝玉のちからだとしても それを持つユウキ殿のちからといっても 誰も異を唱える者などおりますまい!のう!シェル!」
シェル
「はい もちろんです まさに奇跡 このシェル ユウキ殿の命ならば 喜んで引き受けましょう」
シェルはそう言うと ユウキの前に行き 片膝を付き 頭を下げた
ユウキ
「ああ!シェルさん!そんな事しないでください!!」
シェル
「なるほど……ユウキ様は こういった形式はお嫌いなのですね」
ユウキ
「はい 苦手です っていうか…その…良く分からないですし…」
シェル
「分かりました では………ユウキさん 復旧作業の件 手伝わせてもらいますよ こう見えてもちからは結構ある方なので」
シェルは 立ち上がりニコッとユウキに笑顔を見せた
ユウキ
「もっと砕けた感じでもいいけど…でも 本当ですか!ありがとう!シェルさん!」
ユウキは シェルに歩み寄り握手をした