第164話 帝都近衛兵の正体
その頃 帝都では…
アモンはいつものように 机に向かい書類に目を通していた
その時 アモンの机の前に黒い影が現れ ゆっくりと姿を現す
アモン
「………最近…よく来るな…どうした?」
アモンは書類に目を通しながら話す すると 黒い影は はっきりと人の姿となりあらわれた
アモン
「何の用事だ?ハデス?」
ハデス
「どういうことです?アモン様!」
ハデスは 机に手を置き少し声を荒げた
アモン
「おいおい いきなりそんな事言われてもわからんぞ?」
ハデス
「兵の派遣です!」
アモン
「兵の派遣?……ああ ユウキたちへの派遣の話か」
ハデス
「ええ そうです 兵の派遣は別に問題ではありません 問題はその兵です!」
アモン
「……なるほど お前が懸念していることはそれか…」
ハデス
「……帝都近衛兵 たしかに 実力は本物です ほとんどの兵がⅮランクⅭランクで構成されている実力者 中にはBランクの者もいる強力な部隊…しかし そのほとんどが獄帝だけに忠誠を誓っている者 アモン様 あなたでも相当使いにくい兵ですよね それを…」
アモン
「ああ その通りだ しかも今回派遣した連中は その中でも 一際親父にしか忠誠していない我の強い者で構成している」
ハデス
「な!?ユウキ様の近くには 今 あのゴムドがいるのでしょ!?な…なにが起きるか…最悪 3千の兵と戦闘に…そうなれば 敵も味方にも容赦のないあのゴムドです 全兵消滅してしまいますよ!……ま…まさか…アモン様…ここで その3千の兵を…」
アモン
「馬鹿いうな いくらいう事を聞かない兵とはいえ そんなことはしない それに もし ゴムドが3千の兵と戦闘となりそうになったとしても そんな事 ユウキが許さない」
ハデス
「……しかし…」
アモン
「……近い将来 天使どもと全面戦争が起きる……親父が行方不明の今 親父に忠誠を誓っている者の力がどうしても欲しいんだ だが あいつらをまともに動かすことは 今のオレでは無理だ しかし ユウキなら…あいつなら動かせるはずだ」
ハデス
「………ユウキ様の力は絶大です ですが ユウキ様の力は特殊……Bランクていどでは ユウキ様の力はわからないはずです…それどころか 凡愚にしか見えないかもしれませんよ」
アモン
「……凡愚か…だろうな いくら屈強な兵とはいえ ユウキの力を感じる事が出来る者は ほぼいないだろうな…」
ハデス
「でしたら!」
アモン
「まあ見てろ ハデス ユウキならなんとかするさ」
アモンは ニヤッと笑い 何事もなかったように 机に置いてある書類に目を下ろした
場所は戻り ユウキ側
ゴムド
「………なんだと?……貴様…もう一度言ってみろ」
ゴムドは 闘気を纏いながら 一歩前に出る
兵
「……たしかに あんたは強い それはよく分かる だが そこのユウキという者には なんの力も感じぬ 一体どうやってアモン王子にすり寄れたのかわからないが そのような者の命など聞けぬ!」
ゴムド
「………ユウキ殿の力を感じぬ…か……クックク…ハッハハハ!それは お前の力が土俵にすら乗っていないからじゃ!……まぁ…良い お前の様な不安物などいらん この場でわしが消してやろう それから こやつと同じように思う者は立つがいい 全員 わしが相手をしてやろう!」
ゴムドは 更に闘気を上げ 戦闘態勢を取りながら 3千の兵を怒鳴った
すると 先程の立った兵の隣の者が ゆっくりと立ち上がる それを皮切りに ゾロゾロと兵が立ち上がり 気が付けば 3千の兵の約3分の1ほどの者が立ち上がった
ゴムド
「………ほう わしの風を受けても影響の出なかった者たちか…よかろう!さあ!かかってこい!」
ユウキ
「やめてください!ゴムドさん!」
ユウキは勢いよく立ち上がる
ゴムド
「………ユウキ殿…」
ユウキ
「そこの兵士さんの言う通り 俺は別に権力者でもないし たまたまアモンと波長が合ったっていうか…まあ…そんなもんです 戦闘だってたいして強くない それに ここ地獄の事もよくわかっていないし……まあ…正直 俺も悪いんだ…アモンやガムラさん それにゴムドさん達にすごいすごいと言われ たいして何もしていないのに 自惚れてしまっていたんだ…
多分 今俺がしている事は 秩序やらその辺無茶苦茶にしてるんだろうと……しかも 今こうなったのは 鬼子の種族をどうにかしたいとかそんな事じゃなくて ただの好奇心ってだけで ここまで大事にしてしまったんです……ほんと 周りに迷惑かけてるよな…
でも…それでも!ここまで来たなら最後までやりきりたいと思っているのも事実……あ…兵士さんたちには 関係ない話ですよね……
だから 兵士さんたちには 俺のわがままでここまで来て頂いてすみませんでした…あ!もちろんこのまま帰って頂いて構いません 俺からアモンには言っておきますので」
ユウキは 兵士に向かって 深々と頭を下げた
兵士たち
「…………」
兵士たちは ユウキの言葉を聞き静まる そして 少し間を空けた後 最前列の1人がゆっくりと立ち上がった
兵
「………1つ…よろしいですか?ユウキ様」