第163話 書簡の内容
投稿するペースがた落ちになっちゃった
ヒガン
「がっ!」
思わずヒガンは声が漏れてしまうが ゴムドは また ゆっくりと足を上げ もう一度踏みつけた後 足を振り上げ ヒガンの横っ腹を蹴り上げた
転げ回ったヒガンだったが すぐに体制を戻し その場で片膝を付き頭を下げる
この光景に最も驚いたのは もちろん ユウキとサヤカだ 特にサヤカは こんなことが起こるとは思っていなく サヤカの目は完全に瞳孔が開いていた
ユウキ
「………くっ…」
ユウキは平静を装っていたが 両手は震え 今にも立ち上がりそうになっていた
そのユウキの様子を見ていたグミは…
グミ
『………あーぁ…こりゃ…ユウキたちには持ちそうにないな…』
ユウキはグッとこらえる ゴムドもやりたくてしているわけではないと わかっていたからだ だが それでも ユウキの範疇はすでに超えていた
しかし ゴムドはまだ止まらない
転げ回った先で 片膝を付いて頭を下げているヒガンに ゴムドは冷酷な顔でゆっくりと歩を進める
ヒガンの前に立ったゴムドは 無造作に左手でヒガンの髪を掴み 右手を大きく振りかぶった
そのまま 全く表情を変えないまま 左手で掴んだ髪をグイッと引っ張り 顔を強制的に上げさせ 振りかぶった右手を振り下ろす
グミ
「やめろ!!ゴムド!!」
グミは大きく叫ぶ
ゴムドの拳は ヒガンの顔に当たる手前で止まる
グミ
「我が主人は そのような行為を許してはいない!下がれ!ゴムド!」
ゴムドは一時の間を空けた後 もう一度ヒガンの顔を上げ 覗き込んだ
ヒガン
「ひっ…」
その後 左手で掴んでいた髪を離し ゆっくりとユウキに向き直り 一礼をしたあと 突き刺していた大剣の元に戻った
そして…
ゴムド
「……此度の遅延 及び 傲慢な行軍 帝都兵としてあるまじき事 しかし ユウキ様は 全て許すとのこと この慈悲 ありがたく思え 将よ 名を名乗れ」
ヒガン
「はっ!私の名は ヒガン と申します 此度の…」
ゴムド
「質問にだけに答えよ」
ヒガン
「はっ…も…申し訳ございません…」
ゴムド
「ヒガン ここへ派遣させた方は アモン王子であろう 何と命を受けて来た?簡潔に申せ」
ヒガン
「はっ 当初はファレーナアントの殲滅と聞いておりました ですが 道中 閻恐王からファレーナアントの殲滅は終了したとの事 現場に着いたのち ユウキ様 そしてゴムド様の命を聞けと」
ゴムド
「……えんきょうおう?」
ユウキ
「ガムラさんのことですよ」
ゴムド
「ガムラ?そうだったのですか……ふん…あいつには分不相応の名だな…いえ 失礼しました 今 こちらに座っている方が ユウキ様 そして 私がゴムドだ」
ヒガン
「はっ 承知しました」
ゴムド
「他にいう事はあるか?」
ヒガン
「はっ アモン王子よりユウキ様へ書簡を預かっております」
ゴムド
「書簡?そういうものは早う出せ」
ヒガン
「申し訳ございません…」
ヒガンは 震える手を押さえ 書簡を取り出し両手で掲げる
ゴムドはユウキを見る ユウキにはよくわからなかったが 雰囲気的に頷いてみる
ゴムド
「かしこまりました では失礼して」
ゴムドは ヒガンから書簡を受け取りその場で広げる ゴムドは読み上げる前に ざーっと目を通した
ゴムド
「…………なっ!?」
ゴムドは2度瞬きをし もう一度よく見る もちろん内容は変わらない それほどこの書簡の内容は逸脱していた その後 大きく目を開き ユウキを見る
ユウキ
「?」
ユウキには 何故ゴムドがこちらを見たのかよくわからず つい 首を傾げてしまう
ゴムド
「あ……も…申し訳ありません…では…」
ゴムドは 全員に聞こえるように書簡の内容を声高らかに読み上げていく 所々 用語やら 遠回しのいい方やらで ユウキには半分ほど理解出来なかったが 要約すると ガムラの言っていた通り この村を帝都の直轄にする旨のことだった そして ゴムドが二度見した内容に入る
ゴムド
「……である また ここオロス村に住む全ての者 例外なく帝都民 即ち 準一等民とする なお オロス村を代表とする者の指名権 及び 決定権は ユウキに一任する ただし これらの書状内容の有無 及び 変更等 全権全てユウキの決定に従う事 以上」
グミ
「………マジかよ…すげぇな…」
グミはボソッと呟く
サヤカ
「ね…ねぇ…グミちゃん何が凄かったの?いまいち良く分からなかったんだけど…」
サヤカは 小さな声でグミに語りかける
グミ
「簡単に言うなら この村の住人 鬼子たちは 帝都に住む者の同等にするって事と 村の代表者いわゆる村長だな それを直轄にするにあたって 一度決め直さなきゃいけないみたいなんだが それをユウキが決めろって言ってる まあ それよりも 最後の一文…これがやばい…」
サヤカ
「村長を決め直すって言われても どうせユウキは 今の村長にお願いすると思うけど?最後の一文?」
グミ
「ああ 簡単に言うと 散々色々書いてるけど 全てユウキの好きにしていいぞって書いているんだ 書かれた内容のようにしてもいいし しなくてもいいって事だ」
サヤカとグミが こそこそ話をしている時 3千の兵も少しずつざわめき始めた
ゴムド
「……!!おい!静まれ!無駄話をするな!」
ゴムドは ざわつく兵を叱咤する
しかし…
3千の兵の前列から2番目にいる兵士が ゆっくりと立ち上がりながら 切り出した
兵
「………私…は…ユウキという名を…聞いた事などない!!」