第159話 標的はリク
ロポス
「……わかったな 今日はエミリ様がいらっしゃったから許すが 本来ならばこうはいかんぞ 別にお前たちが嫌いだから言っているのではない お前たちが大事だからこそ…」
ロポスは 子どもたちを その場で座らせ クドクド説教をしていた
エミリ
「あ!村長 ちょっといいかな?子供たちに聞きたいことがあるんですけど」
ロポス
「え?あ…はい」
子どもたち
「………エミリお姉ちゃん…」
エミリ
「さあ 立って!ひとつ 質問いいかな?」
子どもたち
「?」
エミリ
「単刀直入に聞くよ あなたたち みんな鉱山内の道知ってる?」
子どもたち
「!!!」
ロポス
「エミリ様 子どもは 鉱山内は立ち入り禁止ですよ」
エミリは ロポスの発言を無視し じっと子どもたちを見る
ボグ
「………し…知らない…」
ボグは 目線を逸らしながら答える
エミリは ボグと目線を合わせる為 ボグの目の前にしゃがみ じっと見つめた
ボグ
「!!な!なに!?エミリお姉ちゃん?」
エミリ
「……嘘だね ボグ 知ってるんでしょ?」
ボグ
「…し…知らないって言ってるだろ…」
エミリ
「…ふーん…あくまで 白を切るつもりね…」
エミリは ボグを見つめ ニヤッと笑う
ボグ
「な…なにを…」
エミリは パッと両手を広げ そのままボグを抱きしめた
ボグ
「!!わっ!!」
エミリ
「さあ!正直に言うのだ!ボグ!このまま締め上げちゃうぞ!」
エミリは満面の笑みでボグを ギュッギュッと抱き締める その度にボグの顔は みるみる真っ赤になっていく
エミリ
「………ん?…あ…ボグ? ごめん そんなに苦しかった?」
エミリは どんどん真っ赤になっていくボグに気付き 慌ててパッと手を放す
ボグ
「はぁ……はぁ……」
エミリ
『……うーん…間違いなくこの子たちは 鉱山内の事知ってると思うんだけど…このまま ボグを問い詰めても 駄目みたいだね……うーんと…この中で一番 口を滑らせそうなのは……』
エミリは 5人を見渡す すると 3人は目を逸らしたままだったが 1人だけ 勝ち誇っている子がいた
リク
「フッフフフ……エミリお姉ちゃん そんな事しても 鉱山の事知っているなんて 誰も言いませんよ?諦めて下さい」
デン
「!!!リ!リク!?…何言って…」
エミリ
『あ……この子だ…扱いやすそう…』
レム
「リク……そんな言い方したら…」
カル
「デン!!リクを喋らせるな!!」
カルはこのままリクに喋らせると 悪気無く全てを暴露してしまうことに気付く だが エミリはすぐさまリクの前に行く
エミリ
「へー…そっか じゃあリク君も 鉱山内の事知らないんだね?」
リク
「ええ もちろんです 鉱山には子供は入ってはいけませんからね」
リクは 腰に手を当て 堂々と話す
カル
「デン!早くリクを止めろ!」
リク
「ん?カル 何を心配してるんだい?僕が 口を滑らせる訳ないだろ?」
カルは リクの発言を聞いた途端 天を仰ぎ 大きくため息をつく
エミリ
「そうなんだ でもリク君 なんでも知ってそうだけど?」
リク
「……え?…フッフフ…流石ですね そうですよ 僕はなんでも知ってますよ」
エミリ
「へー…じゃあ 村に誰がどこに住んでいるとかも知ってるの?」
リク
「もちろんです 誰の家がどこにあるか全て知っていますし どの道を通れば最短で着くかも理解しています 非効率なことは嫌いなんですよ」
エミリ
「わあ!リク君!凄いね!」
リク
「こ…こんなことで褒められるほどではありませんよ それに こういうのは得意な方なんですよ 一度通れば勝手に頭に入っちゃうです 困ったものです 昔 鉱山内に内緒で行った時 ざっと通っただけでほとんど理解してしまいました まあ 流石に鉱山内をたった一度では難しかったので 何度か行って全ての鉱山内を把握しましたよ」
リクは さらにふんぞり返りながら 自信満々で話した
カル
「リク!お前!何言って!!」
リク
「ん?なんだいカル? 君も一緒に行ったじゃないか それに 僕が書いた地図も渡してるだろ?もう忘れたのかい?」
このリクの発言により エミリに抱きつかれ放心状態のボグ以外の3人は諦め デンが代表して話し出した
デン
「……ハァ…そうです エミリお姉ちゃん 僕ら5人とも 鉱山内の道は 全部知ってるよ…」
リク
「……ん?……あーっ!デン!僕らは知らないで通さないとダメだろ!!」
リクがデンに詰め寄ろうとするが カルが間に入り リクのほっぺを両手で引っ張る
カル
「あんたが全部話したんだよ!!」
リク
「ふぇ?なにいってふんあい?」
レム
「まあまあ カル どうせエミリお姉ちゃんは知ってたみたいだったし 遅かれ早かれバレてたよ」
レムがカルをなだめていた時 わなわなと震えながら ロポスが一歩一歩近付いてくる
ロポス
「…な…なぜ…お前たちが鉱山内の坑道を知って…」
エミリは すぐに子どもたちと村長の間に入る
エミリ
「まあまあ村長 とにかく鉱山内の道案内出来る人足りていないんでしょ?わざわざ怪我人を出すくらいなら この子たちのほうがいいですよ」
ロポス
「た…確かに 人が足りていないのは事実ですが…しかし…いくらなんでも子供では…」
ミナ
「大丈夫ですよ ゴムドさんは道案内出来ればいいって言ってたじゃないですか」
ミナはそう言いながら前に出て来た
デン
「あ!ミナお姉ちゃん!」
ミナ
「それよりも 本当に知っているかの方が大事です みんなこっち来て」
デン
「え?……はい……」
デンはトボトボとエミリの元へ カルはため息をつきながら リクはほっぺたを擦りながら レムは未だ放心状態のボグの手を引っ張りながら エミリの元へ向かった