第147話 ガムラの昔話
ガムラ
「……そうじゃな…時は 遥か昔 数百年…いや…数千年になるのか…当時の我らは すでに その名を轟かせておった そして 先々代の獄帝に見出されたわしらは 力の象徴として ゴムド 魔の象徴として わしを それぞれに任命した わしは 当時から 自分の興味のない事には 何とも思わなかったが ゴムドは違った 奴は 大いに喜び その名に恥じぬよう 鍛錬に鍛錬を重ね どんどん力をつけていった」
ユウキ
「……ゴムドさんらしいなぁ…皆の期待に答えようとしたんだな…」
ガムラ
「そうか?……わしには分からん感情じゃな すでに 当時のゴムドに勝てる者などいなかったが ゴムドは さらに 上を目指していった しかし 残念ながら 成長は誰しも限界がある 才能溢れるゴムドも 例外ではなかった」
ユウキ
「え?……ゴムドさん 自分の限界まで鍛えたの?……それって物凄い事だと思うんだけど…」
ガムラ
「そうじゃ ゴムドは己の限界まで鍛え 周りからも称賛された 正しく 力の象徴 だとな……しかし たった一人だけ ゴムドを 力の象徴 とは認めなかったんじゃ…」
ユウキ
「……誰が認めなかったんだ?……まさか…ガムラさん?」
ガムラ
「わしは 認めるもなにも そんなこと興味などないわ」
ユウキ
「だったら 誰が?」
ガムラ
「…シシシッ…それはのう…ゴムド自身じゃ 自分の限界まで達した事を認めず 自分の限界さえも超える為 日々の鍛錬は熾烈になっていった」
ユウキ
「おお!自分の限界を超える…いい響きだ……」
ガムラ
「まあ 聞こえはいいがのう…そんな簡単に限界など越えられぬ そんな簡単に超えられたなら それは 限界ではなかっただけじゃ ゴムドは違う 奴の能力は どれもこれも頭打ち しかし あ奴は それでも鍛錬をやめなかった……それから どのくらいの時が経ったか……ある日 ゴムドは わしを訪ねて来たのじゃ 己の限界を超えたい 知恵を貸してくれとな」
ユウキ
「へーっ…ゴムドさんが相談に?…ってことは 当時は仲が良かったんだ…」
ガムラ
「シシシッ…別に仲が良かった訳ではない 当時の奴は プライドの塊みたいなもの 日々の鍛錬など誰にも見せてはおらん ただ 当時のゴムドが相談できる存在が 唯一 わしぐらいしかおらんかっただけじゃろう まあ わしも限界を超えるということは興味があったしのう そこで わしは 本当にゴムドの能力が限界に達しているのか調べる必要があった そのことを伝えると 嫌々ながらも承諾し わしは奴の身体を調べた その時 わしは 本当に驚いた さっきも言ったが 自分の限界を超える事は簡単ではない まして 自分の不得意の分野まで鍛えるとなると さらに厳しい じゃが 奴はそういった部分も限界まで 成長していた」
ユウキ
「それで?もったいぶらずに どうやってガムラさんは ゴムドさんの限界を超えさせたの?」
ユウキは ガイアスの次の言葉をドキドキしながら待つ
ガムラ
「……シシシッ…結論から言えば…無理じゃ…」
ユウキ
「ええーっ!」
ガムラ
「なんじゃその反応は!当時のゴムドと同じ反応をするな!何度も言うが 限界とは越えられないから限界というんじゃ!」
ユウキ
「う…た…たしかに…」
ガムラ
「シシシッ…お主の反応は 本当にゴムドとそっくりじゃな……まあ 良い…当時 わしも魔の象徴と呼ばれた者じゃ わしにも それなりのプライドはある そこで ゴムドにある提案をした」
ユウキ
「提案?」
ガムラ
「うむ そうじゃな…お主でもわかるように言うと 例えば 速さ10力10とする ユウキよ この力を12にするためには どうすればいいと思う?」
ユウキ
「うーん…それだけの情報で 力を12にするなら 速さを8にして その取った2を 力に足す?」
ガムラ
「そうじゃ」
ユウキ
「………え…でも…そんなこと…」
ガムラ
「その通り 言うは易しじゃな 口では簡単に言えるが いざ それを出来るかと言ったら まず 不可能じゃ しかし わしが考案した 魔法構築 を使えば可能になる」
ユウキ
「魔法こうちく?なんだ?それ?」
ガムラ
「魔法とは いくつかのブロックが重なっておる そのブロック ブロックを区切る事を 魔法構築という ただ どういった構造になっているか 理解しなければならない したがって…」
ガムラはガムラなりに わかりやすく説明しようとしたが 序盤で すでに ユウキは口が半開きになり 全く分かっていないのは 誰が見ても明白だった
ガムラ
「………ふぅ…お主には 見た方が分かりやすかろう…」
ガムラは ため息混じりの声を出しながら 右手に魔力をこめ 氷の塊を出した
ガムラ
「……シシシッ…見よ ユウキ」
ガムラは 氷の塊をユウキの前に出す が ユウキには何が凄いか分からず首を傾げる
ガムラ
「……むぅ…そうか…お前は魔力が皆無じゃったな………お?そこの丸いの お主ならこの凄さがわかるであろう」
グミ
「………ん?氷……いや…氷じゃないな……なんだ?どういうことだ…」
ユウキ
「え?氷じゃない?」