第143話 2人を止める方法
ユウキ
「ゴ…ゴムドさん!ど!どうしたんですか!!」
ゴムドは ユウキを見ることなく 上空に吹っ飛ばしたガムラを 追いかけて飛んで行く
意表を突かれたガムラは 上空で体制を整えるが 整えきる前に ゴムドが追いつき 拳を振り上げ ガムラに振り下ろした
まともに喰らったガムラは 地上に激突しそうになるが 地上スレスレで 体制を戻す
ガムラ
「シシシッ!久しぶりにおうた仲間に 随分と手荒い歓迎じゃな!ゴムド!」
ゴムド
「!!誰もお前を仲間だと思っておらんわ!!」
ゴムドは 怒り心頭のまま ガムラを追う ガムラも また 迎え撃つため 上空に飛んで行く
そして 肉弾戦が始まった
ユウキ
「な…なんだ…一体…どうなってんだ…」
ユウキが わけがわからなくなっていた時 グミは冷静に戦闘を見ていた
グミ
「……ゴムドの奴…まだ 本当の力を隠してたのかよ…」
サヤカ
「な…なんで こんなことになってるの…」
ユウキ
「……分からない…どういうことだ…」
ユウキだけでなくサヤカも困惑する中 診療所の扉が バーンと開き アルマが慌てて出てきた
アルマ
「な!なんや!?一体!」
ユウキ
「ア!アルマ!!ゴムドを止めてくれ!!」
アルマ
「ユウキ!どういうことや!」
アルマは 走ってユウキに近付く
ユウキ
「俺にも分からないんだ!ガムラさんを見た途端 ゴムドさんが…」
アルマ
「………じじぃ…」
サヤカ
「アルマ!ゴムドさんを止めて!!」
アルマ
「………無理や……ああなってもうたじぃちゃんは………もう…止まらん…」
ユウキ
「な!?」
グミ
「………!!…くっ!ま…まずいぞ…とにかく!村人を鉱山でもどこでもいいから 避難させろ!!」
グミは振り向き様に叫ぶ
ユウキ
「避難?どういうことだ?グミ」
グミ
「第3鉱山でもあっただろ!ゴムドの闘気だ!あのときと比べものにならない程だ!まだ 地上には到達していないが どんどん膨れ上がってきている すぐに 村全体を覆うぞ!そ…そんなことになれば…地上にいる者全員…とにかく 急げ!!」
サヤカ
「ちょ!ちょっと待って!診療所には 身体を動かせない人もいるんだよ!」
グミ
「くっ…分かっているが…残念だが運び出す時間はない!動ける者 全員に知らせて 鉱山に行け!」
ユウキ
「グミ!防ぐ手立てはないのか!防げなくても 時間稼ぎも出来ないのか!?」
グミ
「無理だ!あの闘気は俺の能力を遥かに超える!結界を張った所で 一瞬で割れちまう!」
サヤカ
「そ…そんな…」
サヤカは ガクッと項垂れる…
サヤカ
「………やめて…」
サヤカは 首が項垂れたまま 声にならない声を出す…
サヤカ
「………やめなさい…」
サヤカは ゆっくりと首を上げ 空を見つめ 呟いた
グミ
「……ど…どうした?サ…サヤカ?お…おい…」
グミは サヤカの異変にいち早く気付く
アルマ
「……ぐっ…な…なんや…この…魔力は…ど…どこから…サ!サヤカ!?」
サヤカ
「やめなさい!」
サヤカの声は決して大きくはなかった しかし 波のように広がる声は 小さくなることはなく 村全体に広がっていく そして 見境なく戦っていたゴムドとガムラにも届き ゴムドとガムラの時間を強制的に止めた
ガムラ
「な!なんじゃ!これは!?」
ゴムド
「がああ…う…動けぬ………はっ!?わ…わしは…一体……これは…サ…サヤカ殿!?」
アルマ
『……と…止まった……いや…ちゃう…止まったんやない…止められたんや…』
ゴムドとガムラが止まったのを確認した後 アルマは 恐る恐るサヤカを見つめた
ガムラ
「……ここらで お開きじゃ…のう…ゴムド」
ゴムド
「……ぐっ…」
ゴムドは サヤカのいる方向に振り返ると サヤカは 未だ 鋭い眼光でゴムドは見られていた
ガムラ
「……襲いたければ 襲うがよい わしは もう抵抗せんよ…これ以上 あのお嬢ちゃんを 怒らせたくないからのう…シシシッ…」
ガムラは ゴムドに背を向け ユウキとサヤカの元へ向かった
ゴムド
「……それは わしも同じじゃ…」
ゴムドもまた 拳を下ろし ガムラの後を追った