第138話 クイーンの触手
ユウキは まだ生きている鬼子たちに近づこうとするが グミが間に入り止める
グミ
「ユウキ 不用意に近づくな もしクイーンに感付かれたら どうなるか分からねぇ」
ユウキ
「まだ生きているんだ!速く助けないと!」
グミ
「ああ 分かってる 奥に転がっている奴らは全滅だが 手前の奴らは まだ 生きている だが…」
ユウキ
「だが?だがなんだ?」
グミ
「よく見ろ クイーンと触手が繋がってるだろ?クイーンには意識がないが 攻撃を受けたりしたら 触手から吸収するはずだ それも 瞬く間にな そうなれば 繋がっている者の命は なくなるぞ?」
ユウキ
「………だったら 触手から先に切ればいいんじゃないか?」
グミ
「そうだな それが一番良い選択だろ ただし 助けられるのは……そうだな…切られたと同時にクイーンの急激な吸収が始まるから…せいぜい2人…もしくは3人ってとこか…」
ユウキ
「さ…3人?……残りは…」
グミ
「………全員助けるのは 難しい 比較的若い3人を 確実に助けよう ミナ それでいいか?」
ミナ
「………はい 構いません…よろしくお願いします……」
エミリ
「ちょ!ちょっと待って!!」
グミ
「なんだ?どうした?」
エミリ
「……もし 触手を同時に すべて切断出来たらどう?」
グミ
「すべてを同時に?………うーん…魔法が使えれば出来そうだが…物理のみは現実的じゃないな…まぁ…もし 出来れば 全員助けられるかもしれないが…」
エミリ
「だったら!……私なら…同時に切断できる!」
グミ
「弓矢で同時に?……だが 触手だけじゃ駄目だ 大元…クイーンも同時に討たなければならない エミリ…お前の力じゃ クイーンを一撃で倒せないぞ それに やはり 後ろの鬼子たちは ギリギリの状態だ 切られたショックでそのまま命を落とす方が高い」
エミリ
「…………」
サヤカ
「……私は エミリに賛成する……助けられる可能性が低くても…少しでも可能性があるなら!」
エミリ
「……サヤカ…」
ユウキ
「……ゴムドさんは どう思いますか?」
ゴムド
「……うむ わしは 鬼神と同意見じゃ 触手を切れた瞬間に 回復魔法を使わんといかんからのう…わしは せいぜい5人同時に回復させるので限界じゃ……鬼神よ お主は 何人同時に回復出来る?」
グミ
「俺は 10人が限界だな それ以上は少し遅れちまう……もし 全員を助けたいなら 俺とゴムドは 回復に回る事になる フォローは出来ないぞ やはり 確実に3人を…」
アルマ
「かーっ!いきなり 言い訳からかい!全員助けてハッピーエンド目指すべきやろ! エミリ!うちの加護エリアなら いつも以上に力を出せるはずや こんな夢も希望もないじじぃの戯言なんて気にせず やってみ!なあ!ユウキ!」
ユウキ
「アルマ サヤカは エミリの意見に賛成か…」
ユウキが 悩んでいると ミナが近付いてくる
ミナ
「……ユウキさん ミナはユウキさんの決定に従います もし……みんな 助けられなくても…大丈夫です…だって…ユウキさん達が来てくれなかったら 被害は鉱山閉鎖だけじゃなく みんな 餌食になっていてもおかしくなかったですから……」
ユウキ
「……ミナさん…」
グミ
「俺は 正直どっちでもいいぜ 好きにしな どうするんだ?ユウキ?」
ユウキ
「……ああ わかった…」
ユウキは 一度目を閉じ すぐに目を開く
ユウキ
「……この状況…多分…グミとゴムドさんの意見が正しいと思う…」
サヤカ
「!!……ユウキ…」
アルマ
「なんや!?ユウキ!見損なったで!」
ユウキ
「最後まで聞いてくれ グミの意見が正しいってだけで それを選ぶとは言ってない グミ!触手の数は何本だ?」
グミ
「えっと……3…うん…37本だ」
ユウキ
「……37本か…エミリ!37本の触手 そして クイーン 同時に出来るか?」
エミリ
「うん!出来る!」
ユウキ
「………よし いい返事だ エミリ!頼んだ!」
ユウキは エミリに微笑む
ユウキ
「アルマ!エミリのフォローしてくれ」
アルマ
「任しとき!」
ユウキ
「それと サヤカも エミリの隣にいてやってくれ それと ゴムドさん……すみません…多分…あなたの意見が正しいとは…思いますが…」
ゴムド
「よいよい ユウキ殿なら その選択をすると思っておりましたぞ」
ユウキ
「ありがとうございます では ゴムドさんとグミには 回復をお願いします」
ゴムド
「うむ!任せてくれ」
グミ
「ああ 分かった」
ユウキ
「……よし 後は…エミリ」
エミリ
「……うん 分かった」
エミリは 力強く頷き 一歩前に出ようとすると ミナが近付いて来る
ミナ
「あ!あの!」
エミリ
「ミナちゃん?」
ミナ
「……エ…エミリ…頑張って…」
エミリ
「………初めて名前で呼んでくれたね」
ミナ
「……あ…」
エミリ
「私も…よそよそしくするの止めるよ……頑張るよ!!ミナ!絶対成功してみせる!」
ミナ
「………エミリ…うん!頑張って!」
サヤカ
「あー!何で2人で盛り上がってるの!私も入れてよ!」
エミリ
「えー…どうしよっかな…どうする?ミナ?」
ミナ
「…うーん…そうですね…」
サヤカ
「そんな事言うなぁ!入れろぉー!」
アルマ
「あ!楽しそう!うちも入れてぇ!」
ワイワイしながら 4人はこの一時で大きく距離が縮まっていった