第134話 ユウキとグミの失策
エミリ
「……ね…ねぇ…今…完全に貫かれていたよ…ね…」
ゴムド
「………いくら幽体とはいえ 貫かれたなら 相当なダメージがあるはずじゃ……しかし…」
エミリ
「……あの緊張感のなさ…ダ…ダメージを受けている感じ…しない…ね…」
ゴムドとエミリが困惑する中 ユウキとグミは 勢いに乗る
ユウキ
「さて とりあえず2匹片づけたな 残り…」
ユウキとグミ
「6匹!!」
ユウキとグミが ズイッと1歩前に出る
しかし 残りのファレーナナイトは 怯む様子なく 6匹は 一斉に横に広がる
グミ
「……流石だな…これだけの戦力差があると感じながら 引く様子なし…か…気をつけろ!こいつら 捨て身で来るぞ!」
ユウキ
「ああ!わかった!」
ユウキは ファレーナナイトの動きに警戒をする しかし ユウキの前には ファレーナナイトは 向かって来なかった
ユウキ
「……え?俺には…来ない?」
ファレーナナイト6匹は ユウキを完全に無視をし 2匹が グミに向かいグミの周りをグルグルと回り出す
グミ
「……ん?何をしてやがる…ふざけやがって……あ!…チッ…遠すぎる…これじゃ 届かねぇ…ま…待てよ……な!?こ…こいつら…俺の動ける範囲ギリギリにいやがる…ま…まさか 俺が動ける範囲を制限されている事を 理解しているの…か…」
ファレーナナイトは 先程の戦いを冷静に観察し グミの動きに違和感を感じ そして直感する この2人は 繋がっていると…
グミが 攻撃をしようとすると すぐに グミの動ける範囲外にサッと移動する
グミは 見事に ファレーナナイトにしてやられる事となった
グミ
「あ!くそ!届かねぇ…おい!ユウキ!こっちだ!もっと右だ!」
ユウキ
「え?今度は右?」
ユウキは パタパタと移動する
グミ
「あー!違う!俺から見て右だ!」
ファレーナナイトは グミの周りを高速で動く グミには見えているが ユウキには ほとんど見えていないので ユウキは ワンテンポ遅れて動く その為 グミの動きは制限され ファレーナナイトに攻撃出来ずにいた
そして 気が付けば ユウキはグミの真横に誘導されてしまった形になってしまう さらに 誘導されたのは ユウキだけではなかった
アルマ
「おーい!ユウキ うちらと離れすぎや」
ユウキとグミは 思っている以上に アルマの声が遠くから聞こえ ハッとする
グミは ファレーナナイトを攻撃するため 少しずつアルマから離れていき 気が付けば ゴムド達と引きはがされてしまう
ユウキ
「……な?し…しまった!」
グミ
「これが狙いだったのか!!」
ユウキとグミは慌ててゴムド達がいる場所へ戻るが その前に 4匹のファレーナナイトが 先頭のアルマを無視し 2匹が エミリとサヤカ もう2匹がゴムドとミナに 襲い掛かる
先にエミリ側ついた2匹がエミリを襲う 2匹は 前後に並び 一糸乱れぬ行軍で進む
エミリには 1匹しか来ていないと錯覚するほど 正確に行軍する
エミリ
「舐めるな!あんたの弱点は知ってるんだよ!」
エミリは 一回り大きな魔法の矢を 先頭の頭に目掛けて放つ
エミリが 一回り大きな矢を放ったのは 理由があった
前方のファレーナナイトを倒せたとしても 次の矢を放つ前に 後方に控えているファレーナナイトが 先に襲い掛かってくることは明白 しかし 後方のファレーナナイトは目視確認が出来ない程 完璧な行軍のため 一撃で仕留める事を諦め 2匹同時にダメージを与え 2匹がばらけ スピードが落ちた所を ねらい打つ戦法をとった
しかし エミリの思惑通りいかない
先頭のファレーナナイトは避けない 全く避けようとしないのだ
エミリ
「ま…まさか…避けないの!?」
エミリの放った大きな矢は 途中で10個の球に変わる その10個の球を 先頭のファレーナナイトは 身体を広げ 全て受け止める 更に 全弾被弾した先頭のファレーナナイトはボロボロになりながらも 怯むことなく 目を赤く光らせたまま エミリの目の前まで迫る
エミリ
「!!う…うそ…ぜ…全弾受けたのに 怯みもしないの!?」
だが 先頭のファレーナナイトはここまでだった 目の前まで迫ったファレーナナイトだったが 赤い目が真っ白に変わり 片翼が壊れた戦闘機のように エミリの横を通りすぎ 地面に落ちる
エミリは ここまで迫って来るとは 思っていなく 先頭のファレーナナイトの壮絶な動きにあっけにとられてしまう
そして その一瞬の隙間 後方のファレーナナイトは エミリの横を猛スピードで通りすぎる
後方のファレーナナイトの狙いはサヤカだ 後方のファレーナナイトは両手を槍状に変えながら サヤカに襲い掛かる
アルマ
「!!あかん!サヤカ!!」
アルマは 一足早く気付き サヤカに向かって叫ぶが…
サヤカ
「………え?」
サヤカの胸に目掛けて 突き刺さる瞬間だった
アルマの叫び声が虚しく響く中 ファレーナナイトの槍は 無情にも胸を貫いた……