第131話 第3鉱山 中間点へ
ミナ
「では まず どこに向かいますですか?」
ゴムド
「……うむ…そうじゃな…まずは この鉱山の中心に向かうとするかのう どうじゃな?ユウキ殿」
ユウキ
「そうですね わかりました」
こうして 入口から問題はあったが 一行は 第3鉱山の中心地に向かう
その道中で ミナから 第3鉱山の内部を大まかに教えてもらう
この鉱山は 大きく分けて 4つに分かれており 今から向かう中心地は ちょうど4つの区間の中間点にあたる場所だ
ミナ
「……あ!見えました!あの大きな扉の先が 大広間 ちょうど中間点です」
サヤカ
「……ふぅ…結構歩いたけど 結局 ファレーナアントに出会うことなかったね……やっぱり 第3鉱山は そこまで 異常発生してないのかな?ねぇ?エミリ?」
エミリ
「………ううん…そうじゃないよ…サヤカ…この先…私でも分かるくらい反応があるよ…それも…」
サヤカがエミリを見ると 真剣な表情で エミリは扉の先を見ていた
ミナは 扉が見えたので 前を歩いていたゴムドの前に行こうとするが ゴムドは ミナを止める
ミナ
「え?」
ゴムドは 自分の髭を触りながら 優しく話しかける
ゴムド
「少しお待ちを ミナ殿………この先 大広間というからには 大きな空間になっておるんじゃろ?」
ミナ
「あ!はい そうです!ゴムドさんの大きさでも充分余裕があります それに ちょっとした休憩所もありますよ!」
ミナは 笑顔で答える
ゴムド
「なるほどのう 思った以上に広い空間のようじゃな………ただ そこに…異常な数の反応がある…不用意に飛び込めんでのう 入る順番を決めねばならん もちろん 最初に入る者は 必ずや戦闘になろう」
グミ
「なら 俺が先頭に行くぜ!」
ゴムド
「何を言っておる 先頭はわしじゃ お主は最後尾で 主を守るがよい」
グミ
「はぁ?やだね せっかくきたんだ 先頭はゆずらねぇよ」
グミは 短い腕をブンブン回しながら答える
ゴムド
「……はぁ…わかったわい…では 先頭は鬼神に任せるとするかのう…では わしは最後尾で後方を確保しよう」
ユウキ
「じゃあ グミが先に入るなら 明光鉱石持って入れよ」
グミ
「いやだって言ってるだろ 両手が塞がっちまう それに 光源なんて必要な……ん?そうだ!おい!明光鉱石持ってんだろ?純度の高いやつ くれよ」
グミは ゴムドに話しかける
ゴムド
「……明光鉱石の純度の高い物は 大変貴重じゃ」
グミ
「別にそんな事聞いてねぇよ 持ってんだろ?」
ゴムド
「………まったく…」
ゴムドは ため息混じりの声を出した後 ブレスレットから パチンコ玉ほどの白い球体を出し グミに投げる
ゴムド
「ほれ 明光鉱石純度99%の最高品じゃ」
グミは 投げられた明光鉱石を 遠慮なく口に放り込んだ
グミ
「……へぇ…こりゃすげぇな…これなら…」
グミは 明光鉱石を口に含むと グミの身体全体が光り出した
ユウキ
「うお!グミが光ってる!正しく動く提灯!!」
グミ
「ちょうちん?…まぁいいか…これなら ユウキは見えるだろ よし!ユウキ!2人で行こうぜ とにかく数を減らすぞ その木剣でバンバン叩き落とせよ!」
ユウキ
「ああ!………ん?ちょ…ちょっと待って…そ…そんなにいんの?」
グミ
「おう!いるぜ!数千はいるんじゃね?だから 一気に襲い掛かってきたら 流石に全ての攻撃は防げないからな サヤカは問題ないが エミリと特にミナがやばいからな ミナを無傷で守れるくらい数は減らさなきゃな」
アルマ
「ほな うちも入ろうっと」
アルマは ひょいひょいと前に出てくる
ユウキは 少し心配そうにゴムドを見る しかし ゴムドは何も気にしている様子はなかった むしろ 当然という顔にも見えた
ユウキ
『……ゴムドさんが止めると思ったけど……ということは…アルマさんの実力は充分にあるということか…ミナさんには ゴムドさんが横に付いているから問題ないな…』
ユウキ
「……じゃあ アルマさん 3人で行きましょうか」
アルマ
「まかしとき うちの近くなら実力以上に出せるからな」
ユウキ
「実力以上?……どういう…」
アルマ
「ええから ええから すぐにわかるて 行こ 行こ」
ユウキは 疑問に思いながらも 中心地に向かう扉の前に立つ
ユウキ
「……よし!」
ユウキは 木剣を抜き 扉をそーっと開ける その隙間から 我先にとグミが中に入る ユウキも扉を全開に開けず ゆっくりと中に入り その後 アルマが入り 扉を閉める
グミ
「おっほぉー…いるいる!」
ユウキ
「え?どこに?」
グミ
「そっか 見えねぇのか ほらよ!」
グミは スッポトライトのように 天井を中心に照らす
ユウキ
「おお!天井高い!……こりゃ広い…な…ん?なんだ?あれ?」
ユウキは 天井が高く 広々とした空間に驚いた後 天井を見つめる 天井には 岩肌とは違う黒く煤けた状態になっていることに気付く そして 天上全体を見ると 一部だけではなく 隙間なく黒く煤けていた
ユウキ
「……なぁ…グミ…もしかして…あの黒くすすけてるとこって…」
グミ
「ああ そうだ あの黒い部分…全部 ファレーナアントだ」
ユウキ
「……あの黒いとこ…全部…」
グミ
「……お?気付かれたな 来るぞ! 一匹でも多く ぶった切れよ!」
天井の黒い煤に 赤く光る斑点が出てくる それを皮切りに 静かな水面に 一滴の雫が落ちたように 赤い斑点が広がっていく
そして 耳を塞ぎたくなるような 不快な羽音が響き渡る
その不快な羽音に顔をしかめるユウキ その後 不快な羽音が止まり つかの間の静寂に包まれた後 天井の煤が ずるりと落ちてくる
一斉にばらけたファレーナアントは ユウキ達に向かって行った