第100話 視界が悪いなら 手を叩こう
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ユウキ
「え!え!な!なんだこれ!おい グミ これは どうなってんだ?…って グミ!!」
グミの方向を見ると 地面に落ち うずくまって 明らかに様子がおかしい
グミ
「ち…ちから…が…抜けて…い…く…」
ユウキは このままだと グミが危険と判断し グミとユウキが繋がっている紐を手繰り寄せ グミを身体の中に入れた
ユウキ
「おい!大丈夫か!俺の中なら 平気か!?」
グミ
『……あ…ああ ユウキの中なら 大丈夫みたいだ…ふぅ…やばかったぜ…で…ユウキは 平気なのか?』
ユウキ
「身体は 別になんともないが 真っ暗で 前が見えない……と…とにかく この空洞から出よう」
ユウキは 手探りで 世界樹の外へでる
サヤカ
「ユ…ユウキ だ…大丈夫?な…なんだか すんごいことになってるよ?」
ユウキの身体には 世界樹の実から出ているであろう黒い風が ユウキを中心に 渦を巻いていた
ユウキ
「身体は 大丈夫だけど…ま…前がほとんど見えない…」
サヤカ
「……うん 見たらわかる…と…とにかく 橋を渡ろうよ いつ 消えるか分からないし…でも どうしたら……あ!そうだ!私が 手を叩くから そっちに向かって歩こうね!」
ユウキ
「……なんだか 赤ん坊みたいだが…今は 贅沢を言っている時じゃないし…わかった サヤカ頼む」
パン…パン…パン…
サヤカが リズム良く 手を叩く
その後ろを 黒く渦巻いた物が フラフラしながら 音の鳴る方へ 進んでいく
傍から見れば かなり 滑稽だが 2人は真剣だ
サヤカ
「…あ!そこ 木の根っこがあるよ 気を付けて!」
ユウキ
「え!?ど…どこ…」
ユウキは すり足で 木の根っこを探す
ユウキ
「あ…あった…」
ユウキは そっと足を上げ なんとか 歩き出す
サヤカ
「…うーん なにか いい方法は……そうだ!木の根っこがあったりしたら 手を2回叩くわ!それなら 分かりやすいよね!」
ユウキ
「………いや その時は 口で言ってくれよ…滅多にあるもんじゃないだろう?」
サヤカ
「…それもそうだけど……手拍子でも 分かる方がいいよ それに そっちのが面白いし…」
サヤカは ボソッと呟く
ユウキ
「ん?何か言ったか?」
サヤカ
「あ!ほら!声だと 届かない事あるんだよ?」
ユウキ
「…うーん…なんだか 遊ばれているような……ま…まあ わかった」
サヤカ
「そう?よし リズム良く行こう!!」
サヤカは 時折 八分音符を 混ぜながら 手を叩く
八分音符を 叩くたびに 黒い渦が ビクッとなる その後 すり足で近づいてくる黒い渦
ユウキ
「……あ…あれ?な…なんにもないけど…」
サヤカ
「ご…ゴメン 木の枝だったわ……」
サヤカは ユウキの動きを見て イタズラをしたが あまりにも 純粋にひっかるので さすがに 悪い気がしてきた そして 真面目に手拍子をしだす
サヤカ
「もうちょっとで 橋だよ」
橋まで 近付くと 世界樹の実から発生している 黒い風の勢いが少し弱まっていく
ユウキ
「……お!少し弱くなったかな?……うん 時々 視界を遮るけど これなら問題なさそうだ」
しかし サヤカは相変わらず 手を叩きながら ユウキを誘導する
サヤカ
「…はい!…はい!…はい! こっちですよぅ…はい!…はい!」
ユウキ
「サ…サヤカ?も…もういいよ…視界は 歩けないほどじゃなくなったからさ」
サヤカ
「え?そうなの?ちょっと 楽しくなってきたのに…あれ?グミちゃんは?」
ユウキ
「グミは 俺の中にいる どうも この風は グミには 悪影響があるみたい」
サヤカ
「グミちゃんは 大丈夫なの?」
ユウキ
「ああ とりあえず 俺の中なら 問題ないそうだ そういえば 魔法が使えなくなるんだったな サヤカも 使えないのか?」
サヤカ
「そういえば そうだったわね………あれ?」
サヤカは 手のひらに 火の玉を出す
ユウキ
「え?サヤカは 魔法が使えるのか?……うーん…ってことは 持っている者だけ 影響があるってことかな」
グミ
『ユウキ 俺は 全く使えなくなったぞ 浮遊もできねーし…』
ユウキ
「そうなの?俺と繋がっているからか?……駄目だ…いくら 考えても分かんないもんは分かんないし……とにかく 任務完了したし 帰るか」
サヤカ
「そうね みんな 帰りを待ちわびているはずだよ」
ユウキは 黒い風を纏いながら 世界樹を後にした
ユウキとサヤカが 草原を抜ける頃 世界樹が大きく揺れ動く
世界樹の異変に気が付いたヴィルシーナは 世界樹の上空に現れる
ヴィルシーナは ゆっくりと下降し 世界樹の根元に 降りる
ヴィルシーナ
「……そう…近づいているのですね…ずっと 繰り返してきたことなのでしょう…しかし…随分と早いですが……違う?…なれど 仕方のない事です…それも 摂理として 受け止めねばなりません あなたも わたしも…千年の悠久の時を超え わたしとは 違う わたしが あなたに宿ります だから 今は ゆっくり その時が来るまで…」
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