プロローグ 亡くなった後 本番でした
享年87歳 今 一人の男性が臨終の時を迎える
この男性の名はユウキ
ユウキは 息子2人 孫3人 ひ孫2人に見送られ 順風満帆の内に生涯を閉じようとしていた
医師
「……良くあの病気で1年も…本当に良く頑張りました…あなたのお孫さん達もみなさん来てますよ…」
ユウキ
「………サ…サヤカ…は……」
医師は この歳にもなっても名前呼びしているユウキを驚きと同時に とても 羨ましく思った
医師
「……残念ながら サヤカさんも…ここ数日が…峠になります…」
ユウキは その言葉を聞くと 力なく 小さく頷いた
医師
「………みなさん 外にいらっしゃいますので 呼びますね…」
医師は 近くにいる看護師に 小さな合図を送り 外に待機している家族を呼び寄せた
ゾロゾロと入ってくる家族の中で ひと際おじいちゃん子だった孫の一人が駆け寄ってきて 遅れて2人の孫が寄ってくる
孫
「…お…じいちゃん…うぅ…」
声にならない声で ユウキの手を握りしめる
ユウキ
「……よ…く…来てくれたね…あり…がとうな」
ひ孫
「ねぇ おじいちゃん天国に行っちゃうの?」
ひ孫の母
「おじいちゃんは まだ行かないよ…おじいちゃんはまだ 行っちゃ駄目だよね…」
ユウキは 小さく頷き 口角を上げ 小さく微笑み
ユウキ
「……フフ…あ…安心しておくれ…じいじは天国には行かんよ…」
孫一同
「……おじいちゃん!!」
ユウキ
「…じいじが…い…行くのは… 地獄 じゃ…」