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異世界旅行代理店  作者: 紙野七
第一章 異世界のへそで多様な文化に触れる。交易都市ウェルデン30日間の旅
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1-25 脱出作戦①

「とは言え、ここから出るのは至難の業ですね」


 すんなり手錠を外してしまったので、そのまま脱出も簡単にできてしまうのではと期待したが、そこはまた話が違うようだった。


「武器さえ戻ってくりゃ、こんな鉄格子は一発で壊せるんだがな……」

「そんなことをしたら、衛兵に囲まれてまたすぐ牢の中に逆戻りですよ。本当に脱出を図るなら、穏便に、誰にも気付かれないように出ていくべきですね」


 見たところ、牢の警備はかなり薄かった。いくつか牢が並んでいる廊下の先に、衛兵が二人、暇そうに座っているだけだった。しかし、出口がそっち方向にしかないので、あの二人にも気付かれずに外に出るというのは不可能だ。


「とにかくまずはこの牢の鍵を何とかしないと……」

「鍵はあの衛兵たちがいるところに掛けてあって、牢の中で何かあると、警備隊長のチャブレがそれを使って鍵を開けるようです。さっき隣の牢にいた人が外に連れ出されるのを見ました」


 ちょうど僕が眠りこけている間に、そのチャブレという男がやってきたらしい。


「あの嫌味な野郎か。何としてこっそり鍵を奪うしかないな」

「でも、外に出ないことには鍵を手に入れることもできないんじゃ……」

「一つ、私に考えがあります」


 フェルは何やら自信ありげに言う。そして、まるで僕を仲間外れにするみたいに、少し離れたところでカジと二人でこそこそと話を始めた。内容を聞くため近づこうとしたところで、ちょうど話が終わったのかこちらに戻ってきてしまった。


「では、エトさんにも一つ頼みたいことがあります」


 そう言って、フェルから作業を頼まれる。


「たぶんできると思うけど、そんなのでいいの……?」

「はい。少なくとも、しばらくは時間を稼げるはずです」


 結局詳しいことを聞こうとしても、何故かはぐらかされてしまった。そのせいで作戦の全体像もよくわからなかったが、フェルに言われるがまま、僕は『唯能』を使ってあるものを『創作』する。


「これで準備完了ですね。それでは始めましょうか」

「おう」

「う、うん……」


 こうして詳しい話を聞かされないまま、脱出作戦が始まったのだった。

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