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『改鋏のテンペスト』
塩水が体内を安定させて手編みの内腔を
薄いピンクの冷凍円錐が通り過ぎていく
幽霊か其れかカガミに映った自我の様に
改鋏のテンペストが化野をほどいていく
それだけについぞ肉体はあたらしい衣を
連禱を捧ぐほどに羽織りモールに泥む夕
鯨飲するべく幻想を花綵の島へ汲み上げ
二枚舌をさらにきりさいて百舌の籠あみ
すべてをアクアヴィテへの異口とたのむ
だからこそ世界は歌われなくてはならず
わたくしは雫をたれながす機械ではある
ミリ単位の希望を顕微鏡でながめれば愛
LOVE
其れだけのはなし