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『ゆびさきでたどったら君のなかにまいご』
迎え火の燈る螺旋形もつきささり星月夜
濃密な闇にナイーヴなことがおこる予覚
細胞という細胞のサイズを測りゆく静寂
有意味と無意味のあいだ揺らぐ様な石榑
わたくしの靴は一歩一歩と不退転の杣道
鏡がわれた瞬間に失する影は君に連なる
ひとりごと柔らかく宙に染みている今宵
三千世界におびただしく石榑はひかるが
それこそはわたくしの鏡だろうかと今宵
だれのために薔薇が星を浮かべているか
だれの陰火が白色矮星として瞳を成すか
だれがわたくしの瞳であるのかと枯れ葉
身を交わしあい身を躱しあいすれ違う糸
いとおしく刻み込むキズアトは廃路線図
ゆびさきでたどったら君のなかにまいご
ひざこぞう久しぶりに抱えて合わせ鏡を
それから迎え火をティッシュ箱に閃かし
幽からしい靴音を聴きわけて君と悟る愛
LOVE
其れだけのはなし