2日目 その3
日がだいぶ沈み、 私はシャワーを浴びて疲れを癒しました。
因みに、 この船にシャワーは始めから乗って居たかはわからないのですが、 後付けで載せた後のようなものがありました…
「はぁ、今日は色々とあって疲れた…」
溜息をつき、 今日あった事を脳内で振り返ります。 始めに、 船を操作した事から始め、 次に生死を分ける海賊との戦闘を行い、 これを被害もなく戦術的勝利に収めその海戦後の海域を20ノットで航行して突っ切りました。 その海域を脱出してる途中、 砲撃戦とアナウンスにより強制的に起こされたヘレナさん達に質問攻めをされ大変でした。 ですが、 ショールスさん(赤髪の残念美人?)が窓からその戦闘を見て居たようで『乗組員といいこの船といい素晴らしいものだ』と、 褒めて居ました。 因みに、 そのショールさんは私の代わりに周囲を警戒しているようです。 今は疲れているので、 物凄く助かります…
「はぁ… 肩がこる… やっぱり胸が重い…」
シャワーを止め、 しれっと貧乳の方々に喧嘩を売ってしまいそうな事を口にしながら部屋から出ました。
『今日はゆっくりと寝よう。 流石に、 戦闘で疲れているだろうし、 何よりもう体力はないでしょ?』
「はい… もうクタクタです」
自室で身体のない彼とちょっとした話をしていました。 え? 得体の知れない、 しかも男性を部屋に入れていいのって? 彼自身人間の体にあまり興味を持っていないらしいです。 なので、 多分大丈夫でしょう(多分)。 それに、 彼の前に居ると安心感を感じますし…
『だろうね、 今日はもう寝なさい。 何かあったら、 体がもたないよ』
「…はい…… あの、 一つ聞いて良いですか?」
『どうした?』
「貴方の事を今度から何と呼べば良いですか…?」
『そうか……… まぁ今のところは『サポーター』とでも言っておこうか』
「サポーター… 了解です…」
私はベッドで横になり、 眠りにつきました…
『…今日も夜の海は静かで綺麗だな…』
夢でしょうか…? 見た事がない軍艦の艦橋内? に白く透き通る様な長髪の綺麗な女性が夜の水平線を眺めて居ました。
『だけど、 残念だ。 目標を見つけてしまった… 静かではなくなるな…
敵を捕捉… 照準合わせ…』
夢… でしょうか…? かなり遠くに見覚えのある船体が見えました。 その船の方向に今見えてる1番・2番砲塔の砲身をを向けました。 島風に搭載されている砲より大きく、 さらに言えば砲塔は3連装砲と言えるものでした。 島風に当たったら大穴が開きそうです。
『装填完了、 1番・2番砲塔撃ち方始め!』
彼女は右腕を前方に振りかざしそう言うと、 艦首側に搭載された計6本もの砲身から重く強い砲撃音と黒煙を吹かせました。
それと同時に、 私は目を覚ましガバッと上半身を起こしました。 なんとなくですが、 嫌な予感がします。
私は寝間着のまま、 司令室へ向かうことにします。
『ちょうど良かった…!』
司令室に向かう途中、 サポーターさんが慌ただしい声で私に呼びかけました。
「サポーターさん、 どうしたのですか!?」
『実は…… 島風さん! 何かに捕まって!』
彼は何かを言おうとするも、 話を中断して指示をしてきました。 私はまさかと思いながら、 それを従いました。 すると、 何かが着弾する音がいくつも聞こえてきて、 それと同時に船体は大きく揺れました。
「キャッ!? こ、 この揺れは!?」
『多分敵からの砲撃だろう… だが、 命中はしてない様だが』
「敵!? まさか、 近付かれたの!?」
『いや、 これは帆船の艦載砲よりも遠い、 ましてや帆船ですらない…』
「え… それって…」
『多分これは君と同じ能力を持ったものだ…』
同じ能力…? それって… と言おうとしました。 ですが…
『すまないが、 今は考え事をしてる暇はない。 早く行こう』
「….は、 はい!」
今の私には考える時間は無いようです。
司令室に着くと、 既にショールスさんは待機していました。
「遅い!」
「す、 すみません!」
暗くてよく分からなかったのですが、 どうやら怒っていたようです。
「…本当は説教をしたい所だが、 今はそれどころではない…
説教は後だ」
「りょ、 了解です」
説教をされると思っていましたが、 流石に今はしないようです。
私はすぐに舵輪に手を触れました。
『あの船体… サイズは巡洋艦だろう…
多分速力は30ノットを優に超えている筈だ…
島風さん! もう機関は作動している! 最大戦速で引き離すんだ!』
「了解です!」