表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/457

風人と悪神



「……()()を見るのは…二度目か……」

「……………」


風立我生、俺に付与されている魔法?の名前だ。風立ち、我、生きる。どういう意味だ?……まぁ…今はそんな事考えている暇は無い。


「………魔法は使えない筈…!?」

「……アレは魔法であって…魔法じゃない………僕も分からないけど……魔法よりも奥深い………異質の業だ…」


俺は思い切り悪神に斬りかかった、だが、悪神は俺の斬撃を素早く避けた。すると俺の斬撃は少し遠くにある柱を切り裂いた。


「………凄いね…ミノル君…」

「……エラトマ様!」


背後から向かってきた眷属の動きが、スローモーション(歩くような速さ)に見えた。最初は見えなかったのに。


「…遅ぇ……」

「……ッ!?」


俺はゆっくりと向かってくる鎧の眷属を蹴り飛ばし、メイド服の眷属を思い切りぶん殴った。すると二人の眷属は凄い勢いで壁にぶつかった。


「………素晴らしい…!」

「……次はテメェの番だ……早く来い」

「もう来てるよ?」


背後から声が聞こえた、悪神は既に俺の背後へ迫っていたのだ。


「…分かってるよ」

「……!」


俺はそのまま回転斬りをした、すると、突風と共に俺の刃は、半径10mを切り裂く半透明な刃と化した。悪神は飛び上がって避けた。


「…風が……」


刀には、半透明な嵐が渦巻いていた。これが半径10mを切り裂く刃になっていたのか?


「……これは…僕も…少し本気(マジ)になるしかないネー…」

「………………」


悪神は俺の前へ着地して、地面を掴んだ。すると城全体が揺れ始め、悪神の身体を城の破片が包み込み始めた。


「……最終形態ってヤツか?」


そして揺れが収まり、悪神を包み込んでいた破片はボロボロと落ちた。


「レディィィスアァァェェンジェントルメェェンッ!!」


俺の目の前に立っていたのは禍々しい姿の、まるで悪魔、魔人、邪悪な者を形容するような姿の悪神だった。


「……いちいちうるさい奴だな」

「…君のその…生意気な口を……裂いてあげるよ…!」

「……裂かれたら…口裂け()として都市伝説で語られちまうな…!」


その瞬間、悪神は目の前から消えた。だが俺は至って冷静だった。


「………人の背中を見るのがお好きかな?…悪神…!」


俺が背後に刀を振ったが、そこには()()いなかった。


「こっちだよ!」

「ッ!」


上空から悪神が、俺に向かって拳の嵐を巻き起こした。なんという威力だ、この魔法が無かったらミンチだったな。


「……おお!…生きてる!」

「フンッ……身体中が痒いが…千匹の蚊にでも刺されたかな…?」


とか言ってみるが、結構ダメージは大きい。これ以上喰らうのはヤバイな。


「大口なんか叩きなさんな…結構ダメージ入ってるでしょ…?」


すると悪神は溜息をついて、俺の方を嘲笑うかのような顔で見た。


「………君は強くないね……アレに目覚めたのは驚いたけど………ざぁぁんねぇぇん……」

「ほざいてろ」

「じゃあ…僕たちでこの戦いにカタをつけちゃおう…!……長引いてる戦い程…つまらないものはない…」


そう言って悪神の身体を先程の城の欠片が再び包み込んだ。


「まだ形態があんのか……ファンタジーゲームのラスボスかよ…」


城の欠片は龍のような姿を創り出し、咆哮した。


「……神殺し…龍殺し……俺は何を殺そうとしてんだ?」


その瞬間に龍が俺を掴んできた。クソ、力が強い、引き剥がせん。俺がもたついていると龍は俺を投げ飛ばした、俺は城の屋根の部分に叩きつけられ、一瞬呼吸ができなかった。


「…ッ……クソ…」


起き上がり刀を構えた、斬ってやるぜ。しかし龍の攻撃は無慈悲に、そして無情に繰り出された。俺は必死に構えて防御するが、身体には一つ、また一つと傷が増えてきている。


「……死ぬかもな…」


ここまで来てこんなチートモンスターと戦う事になるとはな。だが、俺には【風立我生(ふうりつがせい)】が、帰りを待つ人が、救わなければならない人がいる!


「うぉぉらぁぁああああ!!」


俺は必死に、がむしゃらに、一心不乱に、死に物狂いに、龍の攻撃をガードし続け、スキがあれば攻撃した。もう喋ることはできず、獣のような声しか出せなくなっていた。


『……声も出せず…意識もトびそうだ……』


ここで俺が生き延びて、悪神を斬らなければ駄目だ、人々の為に、生き延びなければ!


『…!』


龍が口に、何か光のようなものを溜めている、それでカタをつけるつもりか。


『上等…』


俺は龍に向かって走っていった、この感じ、アレだ。今まではできなかったアレができそうな予感がする!


「うぉぉぁぁぁ!!」


俺が地面を蹴り、飛び上がった刹那、龍の口から光線が放たれ、俺に命中した。すると、俺の身体は崩壊を始めていた。


















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ