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第七階層 陽光



「……心の臓が止まりそうだった…」

「そこまでかよ…」

「桜郎様は目の前で人が死ぬ所を見た事が無いのだ」


俺たちは、ついさっきの戦いの話をしながら上の階へ向かっていた。


「…なんだ……」


上の階へ上がったと同時に、神々しさを感じた、何か、神聖なものがいるような。


「……大部屋からするな…」

「まるで…仏の像でも見ているような…」


俺は隙間から光の漏れている大扉を開けて、絶句した。


「………ッ!!」

「……仏…!?」


大部屋の中には太陽のような輝きを放つ仏が立っていた。だが、俺の世界の仏とは姿が少し違う。


「…なんだコイツは……!」


[曙光の魔物]


危険度S

魔物系と呼ばれる異質のモンスターの種類の一つ、魔物とは何も無い空間から突然現れる謎の多いモンスターである。曙光から生まれたこのモンスターは強烈な光を放ち、目を奪う。長時間見ていると失明する可能性があり、近付くと火傷する可能性もある。


「………その魔物系とやらの弱点や詳しい事は載っておらぬのか?」

「確か…スマコのモンスター読み取り機能は王達が神と共に作ったものだ……王達が更新しないと反映されない…」


だから今は、魔物系の情報が載っていない。要するに弱点も生体も分からない状態で戦うわけだ。


「………近付くと火傷…」


曙光の魔物は人体を燃やす光を放っている、ということか。ちょっと待て、だとしたら簡単に倒せないか?


「…ミノル……どうした…」

「いや…試したい事がある」


俺は倉庫から、手鏡を取り出した。それを見た蛇は、俺のしようとしている事を察したようだ。


「……あの光を反射させるのか…」

「ああ…自分の光に焼かれろ…!」


そして、俺は手鏡を曙光の魔物に向かって向けた。その瞬間に稲妻のような光の槍が飛んできて手鏡は割れた。


「…マジかよ……」

「………光の槍だと…?」


鏡で反射させようとすれば、攻撃してくる。だが、これで()()()()


「……鏡を壊すという事は…鏡で人を焼く光を反射されたら…自分も()()()()()()()からだ……自分の光を浴びても大丈夫なら鏡を壊さないだろ…?」

「…ふむ…それでは……どうにかして光を跳ね返さないとな…」


問題はどうやって光を跳ね返すかだ。曙光の魔物が自分の光を浴びれば自分もダメージを喰らう事は分かったが、跳ね返さなければ倒す事はできない。


『…どうするか……何か…鏡以外で跳ね返す方法…』

「落ち着いて考えろ……お主なら…何か良い作戦を思い付く筈だ」


今までと違ってなかなか作戦が思いつかない。一体どうすりゃいいんだ?


「……クソ…服が焦げてきた……一旦出るぞ!」

「うむ…!」


俺たちは大部屋の中から廊下へ出た。そして、眩しいから顔の前で光を遮っていた右腕を見ると服の表面が少し焦げていた。


「…やばいな……あの光は…」

「どうする……」


大部屋の外で、俺たちはどうしようか考えていた。そんな時に、桜郎が冗談混じりで言った。


「……斬られようが…突かれようが……叩きつけられようが………それでも割れない鏡が欲しいものだな…」

「…()()()()()()()()()()……ですか……」

「何をしても…つまり……決して壊れない鏡…か………ん?…ちょっと待て…」


その時、俺は少し笑ってしまった。それを見て桜郎と蛇が不思議そうに見ている。


「どうした…?」

「……そこまで面白かったか?」

「いや……まさかこんな当たり前を忘れていたとはな……こんな事を忘れていた自分が可笑しくて…」


笑いながら俺はら作戦を桜郎と蛇に話した、すると二人は「あぁ…」と声を出した。


「…成る程……確かにそうだな…」

「……その作戦に最適な魔札はこれだ」

「よし……それじゃあ行くぞ!」


そして俺たちは再び大部屋の中へと入っていった、相変わらず曙光の魔物は眩い光を放っている。


「………自らの光に包まれな…」


俺は魔札を展開した、すると目の前に何処からともなく、水の壁が出来上がった。壊れない鏡、それは()だ。


「…水壁の魔札……炎矢などから身を守るものだが………ここで使う事になるとはな…」


光が反射され、曙光の魔物の身体から黒い煙が出てきた。曙光の魔物は光の槍を飛ばすが、水の壁には効かなかった。


「……………!!」


そしてわ曙光の魔物の身体が燃え始めた。


「……壊れない鏡とは…水か………」

「…水は己を写し出す……そんな事を忘れていたとは…」

「………………」


曙光の魔物が燃え尽きると、大部屋は暗くなった。


「結構…暗いな…」

「………まさかここまで暗かったとは…」

「暗闇恐怖症の人にとっては最悪だな」


俺たちは薄暗い大部屋を出て、先へ進んだ。


















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