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悪の手先



『……夜目も効くのか…』


最初見た時は暗かったが、今の俺の目は底まで見えていた。


『問題のモンスターはいるかな…?』


しかし、いくら落下中に探そうが、底には何も無かった。


『いないな……』


地面に着地し、辺りを見回しても何もいない。そういえば、この溝は港を囲むようにできている。という事は海に繋がっているはずだ。しかし、海水は流れていない。


『……一度…この溝の先へ進んでみるか…』


俺は溝の右側へ進んだ、上を見ると青空が広がっている。帰る時に大変そうだな。そんなことを考えながら進むと、そこには水の壁があった。


『海水が…浮いている…!?』


海に繋がっている為、溝は海水で満たされるはずだが、海水は固定されている。


『……透明な壁でもあるのか?…いや……水には触れるな…』

「…【空壁】……空気の壁を作り出す中級魔法ですが…………鍛錬すれば海水の侵入も止める事が可能です…」

「誰だ」


俺は声のする方へ向いた、そこには如何にもな魔術師が立っていた。


「……私はただの…魔術師です…」

「…お前か……この溝を作ったのは…」

「いや……それはこのモンスターでしょう」


魔術師は魔素を投げ付け、笑みを浮かべて答えた、俺は刀を構えて再び尋ねた。


「………それでは…お前は…」

「悪神にあなた方(ネズミ)の始末と……桜郎を連れてくるよう頼まれた者です…」

「俺と蛇は…ネズミか…」


コイツは悪神の手先か…だが……それなら俺を見た瞬間に悪神に伝えたのでは……だとしたら逃げられるかも……


「……俺たちは悪神を倒そうとしているが……その事を悪神には伝えたのか?」

「ええ……ですが…あなたがスキル持ちでないと伝えたら………」


“それなら護衛に勝てないだろうし…君でも倒せるだろう……だけらちゃちゃっと殺して桜郎を連れてきて”


「……と仰ってました…」

「…舐められたものだな」


どうやらコイツは悪神の仲間で、悪神討伐に向かう俺と桜郎の存在を知ったが、悪神は俺が弱いと思ったらしい。だから、俺と蛇を殺して桜郎を連れてこいと、コイツに命令したようだ。


「………民間人のいる港に着いた時に……あなたと蛇とやらを殺して桜郎を捕獲しようとしましたが……一人で来てくれて良かった」

「…………」

「いくらスキルを持たないとはいえ…私の場合…二人相手ではもしかすると負けるかもしれません…しかしあなたは一人でここに来た……」


魔術師は杖と魔道書の様なものを召喚し、俺に向かって、溝の外まで聞こえるように叫んだ。


「一人ならよぉ!!……楽勝でぶっ殺せるぜ!!…この馬鹿が!!」

「馬鹿はお前と悪神だぜッ!!」


今の戦闘能力は人間と変わらない状態だから、てっきり悪神は逃げると思ったが、馬鹿な野郎だな。


「…ッ……はやッ…」


俺は魔術師が魔法を発動する時間も与えずに、間合いを詰めて鞘付きの刀で面打ちした。


「ぐッ…」

「…ッらぁ!!」


そして、そのまま魔術師の身体を刀で何度も突きまくる乱れ撃ちに繋げた。


「がふッ!?……つ…つよ…ッ…!?」

「これでトドメよ!」


最後に、思い切り刀を振り下ろし、袈裟懸(けさが)けを食らわせた。まぁ、鞘を付けてるから骨折程度で済むだろうがな。


「……ぐ……ぐく…」

「…それで……誰が弱いんだ?」

「馬鹿な……スキルを持たないのに…何故…」

「この魔法のおかげだよ」


俺は手に入れた魔法【オーバー】を説明した。魔術師はその説明を聞いて目を丸くしていた。


「クッ……そんな…ヤバイ魔法があるとはな……」

『……クソ…こんな危ない奴だったとはな……私も…悪神もコイツの実力を見誤っていたようだ………伝えねば…何とかこの事を…悪神に…!』

「ガッ!?」


そして、面打ちをして俺は魔術師を気絶させた。この魔術師は逃げようとしたからな、おそらく俺が想像以上に強かったから悪神にでも伝えようとした…という所か……


『それで悪神が俺の事を強いと思って逃げたら今までの事が無駄になるからな』


だが、悪神は俺の事を雑魚だと思っている、それは好都合だ。護衛をすぐさま倒し、そのまま悪神を倒す。護衛はギルドのスキル持ちで丁度いい相手だ、スキル持ちでなくとも【オーバー】を発動できる今の俺で倒せるだろう。


『…まぁ……一応…溝の事は解決したわけだし………この事を伝えに戻るか……』


俺は上を見上げた、まぁまぁ高い。だがしょうがない、よし、登っていこう。俺は壁をよじ登ろうと出っ張っている岩を掴んだが、ボコッと音を立てて取れた。


『………マジかよ…』


その時、俺はある事を思い出した。そういえば、身体能力が上昇しているのなら跳躍力も上昇していなかったか?


『……脚に力を溜めて…フンッ!!』


俺は前屈みになって思い切りジャンプした。そう、まるで配管工のように。















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