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黒き妖、再び



歩いていると、桜郎が呟いた。


「………水が欲しいな…」

「……………水ならありますよ…」

「…それは(まこと)か!?」

「はい、目の前に」


俺たちが前を向くと、目の前には水系のモンスターがいた。


「妖ではないか!」

「……蛇…桜郎……下がってろ………この刀を…試してみたいからな…!」


背中から鞘ごと刀を取り、左手で持って構えた。やはりマグネットシーズだと取りやすいな。


「…水系モンスターに……物理攻撃は無効だ……だが…水系モンスターには必ず核がある…それを狙えば一発だ」


俺は水系モンスターが飛びかかってきた刹那、抜刀して一刀両断した。その断面から真っ二つとなった核が見えた。


「よし……流石の切れ味だな…」

「ミノル、右だ!」

「…ッ!」


右側を見ると、もう一匹同じモンスターがいた。そのモンスターは飛びかかろうとしている。


「……助かった!」


俺はそのモンスターも斬ろうとした、その時、上から何者かが落下し、モンスターを踏み潰した。そのモンスターは水飛沫(みずしぶき)と共に弾けた。


「なんだ!?」

「貴様……」


そこには、ボロボロになったモンスターの核を踏み付ける黒霧が立っていた。


「……お前は…!」

「黒霧!?」

「……よくも…あの様な屈辱を…我に味わわせてくれたな……ミノルッ!!」


誰かと思えば黒霧か。確か、俺はこの前コイツを倒してそのあとに、騎士に引き渡したのだったな。


「お前は今頃、魔族用の牢に入れられているはずだろ」

「……まさか…この我を………斬らぬとは……ッ…!」

「なんだよ、死にたかったのか?」

「違うッ!……お前は我を…死なせないように倒した…それが問題なのだ!!」


どうやら黒霧は、自分が斬られなかったということは、自分が[殺す価値も無い弱者]と俺に思われたと勝手に勘違いしたらしい。


「……我が…この我が……弱者だと…?」

「そんな事言ってもねぇし、思ってもねぇよ」

「…………あの時…弱者と嘲笑った事を…後悔する時間も与えず…お前を残酷に殺してやろう」

「人の話を聞け」


黒霧は俺に襲いかかってきた、だが、俺の刀の方が早かったようだ。


「ガフッ!?」

「……万全の状態では無いのにもかかわらず…襲いかかってくるからだ…前よりも遅かったぞ」

「…ッ……」

「ミノル…強いな……」


俺は刀を鞘に入れたまま、黒霧の鳩尾(みぞおち)を突いたのだ。刀がめり込み、黒霧はその場に倒れて霧となった。桜郎はその光景を、目を丸くして見ていた。そんな時、蛇が俺に尋ねた。


「…黒霧は……弱かったか?」

「いや…強いよ…」


[黒霧]


危険度S

ハイゴーストの希少種。一つの種に一匹しか存在しないと言われる希少種の一つ。人と話せる程の知能を持つ。


普段は黒い霧のような姿をしているが、人の記憶を読み取り、姿を変える事ができる。食料を食べなくとも、人の負の感情を一度吸い取れば、一年程は活動できる。


「……戦の時に見ていなかったので…強いか否か分からなかったが…やはり強き妖だったのか…」

「しかし…その強き妖をも倒すとは……ミノル…強いな…」

「…照れるだろ」


俺は頭を掻きながら呟いた。そして、桜郎に水筒を渡した。


「…………喉乾いてるって言ってたろ…?」

「……助かる…」


桜郎は水筒を飲むと、俺に返した。半分くらい飲んでるな、というか、これって俺が口をつけたら間接キスになるのではないか?……まぁ…子供だからいいか…女の子……でもなさそうだし。


「どうかしたのか?……もしや飲みすぎて…」

「いや…なんでもない…………港へ行こう」

「……?…うむ…」


そうして、俺たちは再び歩き始めた。モンスターが大量発生していると聞いたが、道中でモンスターは一向に現れない。まぁ、その方がいいがな。すると、大きな溝とともに港が見えてきた。


「…ミノル……溝を渡る作戦はあるのか?」

「ああ、勿論だ」


そして、溝に近付いていった、その時だった。


「……!」

「この音は…!?」


地面を掘る音が辺りから無数に聞こえる。地面を見ると、トカゲ型のモンスターが飛び出してきた。数は、もはや数えるのも嫌になる程だ。


「……グランサラマンダー…!」


[グランサラマンダー]


危険度D

単体ではそれほど危険性は無い、しかし、集団で行動し、地面から突然襲いかかってくるので、生息地に入った時は細心の注意が必要。


「………この数を…相手にはできないな!」

「それでは…」


俺は目の前のグランサラマンダーを斬っていった。蛇も俺と共に斬っている。


「このまま……溝を渡る…!」

「その…作戦とやらでか!?」

「ああ!」


そして目の前のグランサラマンダーを退け、蛇と桜郎と共に溝へ走った。後ろからは(おびただ)しい数のグランサラマンダーが向かってきていた。












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