目覚め
「オラァッ!!」
俺は刀を縦に振り下ろし、そのまま回転斬りに繋げた、それで斬られたバケモノはバタバタと倒れていく。
「……ッ!」
俺が回転斬りをやめてたその時、辺りが大きく揺れ始めた。ビルもギシギシと音を立てている。すると、目の前の地面の亀裂から黒い波動のようなものが飛び出した、それと同時にビルの光も消えた。
そして、上を見上げるとさっきまで月しか見えない夜空だったが、さっきまでのビルの光とは比べ物にならない程の明るい流れ星や星雲のようなものが広がり、周囲は夜と思えない程に明るくなった。
「……何が起きるんだ!?」
亀裂がどんどん広がると、何かが地面を突き抜けた。その何かは上空に飛んでいき、眩い光を放った。
「…!」
俺は目を開けた、“何か”は静止している。その時分かったが、上空に飛んでいったその“何か”は巨大な、禍々しくも神々しい神のような生物だった。
「………うおッ!!」
神は何本もある腕の一つから、ビームのようなものを撃ち出してきた。それをモロに食らった俺は、服がボロボロになり、皮膚は少し焼けていた。
「…やってやるよ……!」
俺は思い切り地面を蹴り、神の元までジャンプして回転斬りをした、しかし……
「なッ!?」
刃が触れる前、俺は回転をし始めた瞬間に地面に叩きつけられた。クソ痛ぇ……
「うぉぉぉ!!」
幾たび仕掛けようとも、刃を触れさせる事が出来なかった。
「…強いな……」
今の俺は満身創痍だ、これ以上攻撃を食らえば死ぬ。その時に、俺の身体を真っ黒な霧が包んだ。
「…な……今度はなんだ!?」
目の前が真っ暗になった、すると身体の傷はだんだんと回復している、それどころかさっきよりも良くなっていて軽い、まるでマッサージに行った後のようだ。
「……………」
黒い霧が晴れた。その後に俺は横を向き、自分の身体をビルのガラスの反射で見た。なんと俺は黒い鬼のような風貌となっていた。
「……よし…大丈夫か」
俺は神に向かっていった、最初よりも身体が軽く、身体能力がさっきよりも更に向上しているようだ。
「…おッ!」
神は俺に無数の手で、打撃の礫を食らわせた。その爆風で、辺りの地面やら建物やらが壊れていった。
「………効かない…」
そんな攻撃を食らいながら俺は無傷だった。
「……今度は…こちらのターンだな…!」
俺は刀を握って思い切り水平斬りをした。すると、真空の斬撃が神の腕を何本か斬った。
「…!」
すると神は、残った腕でビームを撃ち出そうとしている。
「……いけるか…?」
ビームが撃ち出された瞬間、俺は刀を全力で、そして連続で振った。無数の斬撃が嵐のように飛び交い、神のビームを斬った。
「うおおお!!」
真っ二つになったビームの間から、俺は神に向かって突きをした。突きは貫通し、その勢いで神の後ろにあった大きなビルに刀が刺さった。後ろを見ると神は淡い光の粒となり消えていっている。
「………やったか…」
すると再び、俺の目の前が真っ暗になった。
「……うおッ!?」
起き上がると、そこはテントの中だった。蛇と桜郎が俺の顔を覗き込んでいる。
「……なん…だか………見たことのある光景だな…」
「どうした?…魘されていたが…」
「……声を出すほど…良い夢を見てたのさ…………俺は大丈夫だ…」
「………そうか…」
俺は欠伸をして外へ出た、すると太陽の光が見えた、朝か。
「…さて……そろそろ港へ向かうか…さっさと悪神倒さないと神獣の相手をしてる王達に悪いしな」
「………うむ…」
「蛇…俺たちが寝ていた間にテントの外で寝ずに俺たちを守ってくれていたようだな……感謝する…」
蛇は俺たちが眠っている間、寝ずにテントを守ってくれていた。
「………感謝など無用だ…一度寝れば三日は寝なかろうと平気なのでな」
「……すげぇな…」
そしてテントを片付けて、港へ向かおうとした時だった。
「……ん?」
「どうかしたのか?」
「忘れ物をしたようだ…取りに行ってくる……あの岩の前で待っていてくれ」
蛇と桜郎にそう伝えてテントのあった場所へ戻った。
「……おっ…あった……」
俺は地面に落ちている手斧を取って腰に付けた、腰に付けてる装備を整理してた時に装備し忘れていた。
「…ん?」
戻ろうとした時、近くから何か気配を感じた。俺は気配のした方をみると、そこにはフード姿の男が立っていた。
「……誰だ…?」
「…俺が誰かはどうでもいい……」
男は腰の刀を抜いて、構えた。刀を見た俺は目を白黒させた。
「何故…その刀を……まさか…!?」
「フンッ!」
その瞬間、男は面打ちをしてきた、俺は見切って避けた。
「ふむ……これを避けるとは安心したぞ」
「……気になる事はアンタを倒して聞くとするか…」
俺も剣を抜いて構えた。




