白い邂逅
「…はぇー…」
「へぇ……」
アルトリア…最先端技術を持つ国と聞いていたが、ここまでとはな。機械でできた船が空を飛び、建物もスチームパンク風だ。
「なかなか…進んでいますね」
「…あれが騎士か……武器は剣かと思った…」
街を巡回している騎士はこの前の隊長や騎士みたいな鎧ではなく、機械みたいな鎧を着て、マスケット銃みたいな銃を持っている。
「君たちもうここまで来たんだ!」
俺たちの後ろに巨体の人が立っていた。フードを纏い、顔は見えない。
「…だ…誰ですか…」
「テオス・ホワイト……ゴッドカンパニーの代表取締役さ!」
ホワイトは決めポーズを取っている。しかしはたから見れば巨体でフードを纏った奴が決めポーズをしているので少し恐怖を感じるな…
「…ホワイトか…というか神様って職業だったんだな…」
「そういえばここにいていいのですか?」
「…あ!…そうだよ!…神って世界に入ったり干渉したら駄目じゃなかったか?…社員のお手本となる代表取締役が規則を破るなよ」
問い詰めるとホワイトはしどろもどろになり、慌てた口調で言った。
「…こ…今回は特例だよ!…兄さんに十郎君と梅岡君を見守るだけだって言ったら許可されたんだ!」
「なんだよそれ…」
「それでは…何故僕達の前に姿を現したのですか…?」
するとホワイトは「一旦あのカフェに入ろう」と言った。確かにこんな道のど真ん中に立っていたら邪魔だしな、というかホワイトが怖がられてるし…
……
「…それで?…なんで俺たちの前に現れたんだ?」
「あ…実は…君たちが追ってる悪神の情報を入手したかなと思って…してたら僕に教えてくれない…?……教えてくれたら主神の力で何かしてあげるからさ…」
「…推測ですが…僕達を見守る代わりにあなたも神の情報を集めないといけなくなったのですよね?…だから情報を聞きに僕達の元へ来たのではないですか?」
「え!?…何で分かっ…ゴホンッ!」
なんだよ…それが理由かよ…
「…誤魔化さなくていいよ…要するに情報を集められなかったらブラックにどやされるんだろ?」
「……正解」
……
「お願い…ホントにお願い!…たまには下界の観光させてよ!」
「……それが本心か……分かった…行っていいだろう…」
「やったー!」
「ただし…下界に行くからには…お前にもやってもらいたい事がある」
「…なんでもやるよ!」
「それじゃあ梅岡と十郎を見守る事…そして悪神の情報を集める事……もしできなかったら…」
「……分かってるよ!」
……
「…それで…まさか一つも手がかりが集まらないとは夢にも思わなかったと……」
「それなら残念ながら僕達もまだ手がかりを入手していませんよ」
ちなみにホワイトは悪神が他の神が入ってこれぬよう張っているバリアをブラックに一部分だけ壊してもらって入ってきたらしい。
「…じゃあ…頑張って手がかりを探してくるよ……見つけたら連絡する…」
「お…おう…」
そう言い残し気の抜けたようにフラフラとホワイトはカフェを出て行った。
「…頑張れとしか言えないな……」
「……そうですね」
俺たちもカフェを出ていった。ホワイトが払ってくれたので会うことがあれば何かお返ししないとな。
……
「…それじゃあ鍛冶屋に向かいましょうか」
「あれ?…試験は?」
「あと3時間後なので…鍛冶屋に行って作ってもらっている時に向かえば丁度いいくらいだと思います」
そして俺たちが鍛冶屋に入ると青年と筋骨隆々のおっさんが言い争っていた。
「…これで何度目だ!?…何度言えば分かるんだよ!」
「うるせぇよ!…こっちも頑張ってんだよ!」
「頑張って作った剣がアレか!?…果物切るナイフじゃねぇんだぞ!?」
おっさんは小さいペティナイフのような剣を指差しながら叫んだ。
「…馬鹿にすんな!」
「あの〜…」
「「引っ込んでろ!!」」
「す…すいません!!」
二人は声を合わせて叫んだ。俺は思わず後退りしてしまった…
「お取り込み中にすいません…ここがエミライト・スミスさんの鍛冶屋ですよね?」
十郎が二人に問いかけると二人は静かになり、俺たちの方を向いた。
「…も…もしかしてお客さんですか…?」
「はい」
…
「申し訳ない!」
おっさんは俺たちに頭を下げた。そしてムスッとしている青年の頭にゲンコツした。
「痛ぇな!」
「お前も謝るんだよ!」
「俺悪くないだろ!…そっちが文句言ってきたから…!」
「んだと!?…この…」
「まぁまぁ…!」
俺は二人を引き離した。するとおっさんは改めて謝った。
「…すまん………痛って!」
「すいませんだろ!」
おっさんが再びゲンコツした。青年は囁くように謝った。
「……すいません」
「もっと声を出…」
「いえいえ!…もういいですよ!…なぁ!」
「はい」
俺は拳を握って腕を上げるおっさんをなだめた。するとおっさんは腕を下ろした。