見たことのある景色
蛇と俺が蹴り破った扉の奥には森が広がっていた、一体どうなってるんだ?
「…外見は廃屋なのに…」
「どうなってんだ…?」
俺たちはその森に入った、やはり地面は土で周りには木々が生い茂っている、どう見ても森だ。
「…!?……なッ!?」
「どうした!?」
「……入り口が消えた…!?」
さっき俺たちは廃屋の入り口から森に入ったが、その入り口が綺麗さっぱり消えていた。
「クソ…マジかよ」
「………兎も角…先へ進んでみるとしよう」
「……ああ」
俺たちは森の奥へ進んでいった。そして、少し歩くと崖があり、先へ進めなくなっていた。
「……行き止まりか…」
「あれは…村か?」
「村?」
桜郎が指差した場所を崖から見ると、村らしきものがあった。
「あそこへ行ってみてはどうだろうか」
「………距離も…この場所からも然程遠くはないな」
「よし、それじゃあ行ってみるか」
この森でぐるぐる回るくらいなら、村に行った方がいいかもな。俺は崖にフックを付けて、ロープを垂らした。
「……このロープで降りよう」
「………便利なものだな…」
桜郎はロープを見ながら呟いた。
「…桜郎様……某の元に…」
そう言って蛇が手を差し伸べたが、桜郎は自信満々に言った。
「このくらい!…一人で降りて見せよう!」
そして、ロープを持って一人で降りようとした、その瞬間。
「うわ!」
桜郎は足を滑らせ、崖の下へ落ちた。しかし、どうやら落ちる前に崖に掴まっていたようだ。
「…桜郎様!」
「……ッたく…」
俺は桜郎の手を掴んで、引っ張った。桜郎は混乱しているような表情を浮かべていた。
「……か…かたじけない」
「………桜郎様…お怪我は…」
「大丈夫…だ…」
そして、心配する蛇の元へ歩み寄って蛇に言った。
「…やはりお主がいないと私は駄目だな…」
……
ロープで下まで降りた、蛇は桜郎を左腕で抱いているので右手だけで降りなければならなかったが、すんなりと降りてきた。
「すごい腕力だな」
「………桜郎様をお守りせねばならぬからな」
そして、俺は引っ掛けていたフックとロープを回収した、村はもう目と鼻の先だ。
「……よし…村に行こう」
「…うむ」
「…………」
俺たちは村に向かって歩いていった。すると桜郎が俺のフックを見ながら言った。
「…その道具……見せてくれないか?」
「ああ、いいぜ」
俺がフックと、繋がっているロープを渡すと桜郎は目を輝かせて見ていた。
「凄いな……」
「このフックとロープ、これは魔法が付与されたフックとロープなんだ。フックはどんな物質にも引っかかり、自動的に手元に戻ってくる優れものだ」
「へぇ……」
「桜郎様、村が見えてきました」
フックの事を俺が桜郎に説明している間に村の入り口まで来ていた。
「…………」
雰囲気は日本の村みたいだ。そして、村は結構広く、村人達は畑を耕している。
「…!……アンタら…よそ者か?」
一人の村人が俺たちに気付いた、そして、俺たちの近くへ歩いてきた。
「何しにここへ?」
「…迷ったんだ」
「そうか……それじゃあまぁ…とりあえずついてきな」
俺たちは村人のオッさんと共に、大きな家に行った。中は広く、畳部屋に老人が一人座っていた。
「……村長…どうやらこの人達が道に迷ったようで…」
俺たちはこれまでの経緯を話した。村長は俺たちを眺め、桜郎を特にじっくりと見ながら言った。
「………そうか…大変だったな……森を歩いていたのなら疲れてるだろ…その村本の家で休んでいくといい…外も暗いしな……明日になったら森の出口へ案内しよう」
「……恩に着る」
「よし、それじゃあついてこい」
俺たちはオッさんに案内されて家に行った。家の中にはラジオやら、テレビやらがある。ちょっと待て、もしかしたら……
「……この部屋を使ってくれ」
「ああ、ありがとう」
俺たちは部屋に荷物を置いて休んだ。部屋にはダルマやテレビなど、俺のいた世界のものが溢れていた。
「……見たことのないものだらけだな……ここはどこなんだ…」
「………そうですね…」
「テレビやらラジオはアルトリアにあるからいいが、建物や家具、雑貨さえ俺の元いた世界のものだな…」
疑問に思った俺はスマコを起動した。スマコを見て桜郎が言った。
「…スマコとかいうやつか……レギス殿が持っていたな」
「ああ、これでここがどこか調べる」
桜郎や蛇はスマコの存在をレギスから教えてもらったからか知っていたようだ。
そして、俺はスマコでこの場所をマップ調べ、絶句した。スマコを覗き込む桜郎と蛇も驚愕の表情を浮かべている。
「なんだと……!?」




