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青年Aの転生



「だ…出せ!!」

『何故こんな事になった……』


牢屋へ入れられている青年は必死に叫んでいた、その声を誰も聞かぬと分かっていても。


『俺は……転移したくてしたわけではないのに……』



……



「……ハロー!…人間」

「ここは…」

「どこだここ…」


青年、仮にAと名付けよう。Aは自分を含む数人の高校生と一緒に宇宙空間のような場所へ立っていた。


『俺は…死んだはず…』


この場にいた高校生は同級生同士で、とある事故で皆、命を落とした者だった。


「君達は…」

「ここはどこだよ!」

「………」


マッチョな青年が目の前に立つ黒髪で昔の学生服を着た青年に叫んだ。


「僕が喋ってる時にかぶってくるな」

「ッ!?」

「ひッ!?」


黒髪の青年がマッチョな高校生を指差した、するとマッチョな青年の鼻、目、口、顔面のあらゆる場所から血が出てきた。それを見たその場にいる高校生たちは驚き、吐く者もいた。


「な…どうなって……」

「う…ウボァァ…!?」

「うわぁ…!!」

「あー…メンド…」


それを見ていた黒髪の青年が手をあげると、周囲の景色がビデオの巻き戻しのように戻っていった。


「……またやっちゃったよ…まぁいいや…………ハロー…人間」

「なんだ…」

「どこだここ…」


そして、巻き戻しが止まると、さっき初めてここに来た状態へ戻っていた、それを見ていた青年Aは困惑していた。


「多分、困惑してるよね」

「なんだよここ!」

「……なんだかラノベみたいだな…」

『…!?……()()()血を吹き出していたマッチョな人が生きてる!?』


青年Aは困惑した、しかし、黒髪の青年は話を続けていたので青年Aはひとまず話を聞く事にした。


「僕は君達でいうところの神という存在だ……悪神とでも名乗ろう」

「神!?」

「……なんだか分かってきたぞ」

「…単刀直入に言うけど君達はね……異世界へ行く事になった」


悪神の言葉を聞いて高校生たちは笑みを浮かべる者もいれば、困惑する者もいた。


「なんだよそれ!…マジでラノベみたいだな!」

「まぁ、そだね。君達は死んでしまったからラノベみたいに異世界転生できる事になった」


悪神は不敵な笑みを浮かべて言った。


「し…しかし……何故…死んだ人の中から私達が選ばれたの?」

「君達は若くして死んでしまった……だからとても可哀想だからね」

「……かと言って俺達を転生させて…どうするつもりですか?」


青年Aは悪神へと尋ねた。すると悪神は無邪気な笑顔で答えた。


「……実験……あ…………」

「実験?」

「口が滑った…」


悪神が手をあげると、周囲の景色がビデオの巻き戻しのように戻っていった。そして少しして止まった。


「し…しかし……何故…死んだ人の中から私達が選ばれたの?」

「君達は若くして死んでしまったから……気の毒で……居ても立っても居られなくなったんだ……」

『…まただ……』


青年Aはその時、時が巻き戻された事を理解した。巻き戻されるとその巻き戻された時間の記憶を高校生たちは失っていたのだが、青年Aは何故自分だけが記憶が残っていたのかは分からなかった。


「……かと言って…俺達を転生させて…どうするつもり……ですか…?」

「…………気の毒な君達には第二の人生を楽しんで欲しい…それだけさ」


それを聞いてその場にいた高校生は、泣く者もいれば、感謝する者もいれば、喜ぶ者もいた。イビアは良心で高校生たちを救済する風な事を言っていた。


しかしそんな中、青年Aだけは悪神の良心を疑っていた。青年Aは一度、悪神が人間を殺害している所を見ていたからだ。


『……隠し事…しているな…』

「それじゃあ…今から転生するから……スキルを配布するね!」

「やっぱスキルもあんのか!」


スキルとはいわば神の力の一部であり、大抵が一国を滅ぼしかねない危険な力である。


「……なんか…ステータスバーみたいなのが出てきた」

「それはスマコっていう便利なものさ!」


スマコとは、持ち物を出し入れできたり、世界の情報を把握できたり、スマコ同士でメールもできるものである。


「ここに書かれてるのが…スキルか!」

「みんなはどんなスキルだ!?」


高校生達はスキルを見せ合ったりしている。高校生達は凄いスキルを持っているが、青年Aは何一つ貰っていなかった。


『……何も書かれていない…?』


何度見返してもスキルの項目には何一つ書かれていなかった、青年Aはそれを見て困惑していた。


「それでは…異世界へ転生させるよ!」

「よっしゃあ!」

「ありがとうございます!」

『………俺は…どうすれば…』


そうして、青年Aと高校生達は異世界転生をした。いわゆるトラベラーの集団、青年Aはその中で唯一何の能力も持たない者だった。

















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