ナオトvsカイト
今度は、宇川がカザナミへ向かって、突進していった。カザナミは身構えると、宇川は地面を蹴って頭からイザナクへ突っ込んだ。
「バゥゥッ!!」
「てゃんでぇいッ!!…犬ッころ!!」
そしてカザナミの背に回ると、首に腕を回して思い切り締めた。
「グルァァァ!!」
カザナミは宇川を振り落とそうと、身体を振りながら暴れ回った。しかし宇川は、全く力を緩めず、それどころか更に強めた。
「ウゥゥグァア!!」
すると、カザナミは背中を地面に叩き付けた。だが、宇川はまるでカザナミの身体の一部かのように離れない。
「このまま〆て終わりだ!…犬ッころッ!!」
カザナミは、そのまま少し暴れるとぐったりとして倒れた。宇川がそれを見て、力を緩めた瞬間、カザナミは宇川から離れた。
「ア゛ッ!!」
「…この野郎がァァァ…ッ!!」
地面を蹴って、カザナミは宇川へ向かっていった。
「しゃらくせぇッたらッアァ!!」
宇川は、カザナミへ、タイミングよく完璧にアッパーを食らわせた。
「ガフッ…!!」
「舐めんなッ!!」
そのまま、腕をブンブンと振り回した。カザナミは、アッパーを食らって怯んでいる。
「決めるぜッ!!」
そして腕を振り回しながら、カザナミへ突進すると、力任せにストレートパンチを食らわせた。
「ブ……………ッ!!」
カザナミの頭が大きく凹み、カザナミは突風にさらされたように、吹き飛んでいった。
「へへッ!…数年ぶりに打つ…サヨナラホームランだぜ…ッ!!」
倒れ込むカザナミの胸を掴み、宇川は顔を近付けると、声をキメて言った。
「喧嘩売った奴を…間違えたな…ッ!!」
「………あ…ッ?」
「一度…決め台詞を言ってみたかったんだ…!!」
「…………ン…だよ……テメェ…」
カザナミは、獣の姿から人間の姿に戻り、意識を失った。
「…俺の仕事は終いだな…!!……あと残ってんのは…」
「ナオトだけだ」
服がボロボロになっている宇川の元へ、川畑が歩いてきながら言った。
「そうか…!」
「…見に行きたいのか?」
「ああ!!」
「………なら…行くぞ」
宇川は川畑の顔を見て、笑みを浮かべた。
「おっしゃああッ!!…行くか!!」
「…ホワイト…ブラック……そこの2人は頼んだ…」
「う…うん!」
……
「………………」
「…ダークヒーロー……あの名で呼ばれた君は…もう堕ちて消えてしまったんだね…」
ナオトはSdS本部の屋上で、カイトを前にし倒れていた。
「……お前をブッ倒したいのは山々なんだが…」
「ん?」
「…手が……動かねぇ…」
倒れながら、ナオトは自分の掌を見つめていた。
「……なんでだろうね?」
「…もしかしたら……かつて親友だったお前を殴るのを…身体が拒絶してんのかもな…」
起き上がってナオトは、カイトの目を真っ直ぐと見つめていた。
「……これから戦うって相手に…こんなこと言うのは何だが………俺の拳…一緒に握ってくれよ」
「…仕方ないなぁ……まぁいいよ」
カイトが、敵意無く近付いてくる。カイトは、至近距離まで来て、ナオトの右手を掴んだ。
「ほら…ゆっくり力入れて……」
「…すまん……嘘ついた」
ナオトは左手で拳を握り、カイトへ殴りかかった。カイトは、すぐさま反応してその攻撃を避けた。
「……ホント…抜け目がないなぁ………だけど…そういうことしてくれるから…僕は君が好きなんだ…!」
「…クッソー……不意打ちしたかったのに…ッ!!」
そして、今度は両手を握ってラッシュした。カイトは、そのラッシュを避けて、カウンターの蹴りを食らわせた。
「うわ…ッ!」
ナオトは全く怯まず、カウンターを食らわせるカイトへ、更にカウンターを食らわせた。
「…怯まないなんて…ホント……バケモノだね!!」
「……フン」
「前よりも…強くなったんだね……硬すぎて…まるで岩を殴ってるみたいだよ」
すると、カイトは右手の拳を思い切り握り、構えを取った。
「…まぁ……僕の拳は…その岩をも破壊するのだけどね…!」
「……ッ!!」
そしてその刹那、カイトの正拳突きが飛んできた。ナオトは間一髪ガードしたが、屋上の端まで吹き飛ばされた。
「重っも…ッ…」
「僕も成長してるんだよ……なんと言っても…封印中にずっとイメトレしてたから…!」
するとその刹那、ナオトのストレートパンチが飛んできた。カイトは間一髪ガードしたが、その爆発的な威力により、ガードしていてなお大ダメージを食らった。
「ヤバいね…ホント…」
「…イメトレしていたんだろ?……なら…ヤタガラスがどれだけヤベーか…分かってる筈だろ?」
「……予想以上だよ…」
傷だらけのカイトとナオトは、お互いの目を見て構えた。
「…考えてる事は……」
「…同じなようだ……」




