ハカセの正体
エレベーターの中で、ヤタガラス達は悔しそうに言った。そして、エレベーターが止まり、扉が開くとヤタガラス達は驚いた。
「うぉ!?」
「…地下世界……南極にもあったのか…」
目の前には、北極とは違う地下世界が広がっていた。
「……まぁ…北極にあって…南極に無いわけないか…」
ヤタガラス達は、地下世界へと足を踏み入れた。
「もし出入り口がここしか無かったら…ここの何処かへいるって事か…」
「そうだな」
「分かれて探すか?」
「とりあえず進んでみよう」
草原を歩き、地下世界を進んでいると、目の前に半壊した砦が見えてきた。砦には植物が侵食しており、苔むしている。
「……かつてここで栄えた文明…的な?」
「まぁ…そう考えるのが妥当だな」
「ここの事を考古学者へ話したら…大喜びしそうだな」
砦の目の前まで来たヤタガラス達は、ゆっくりと砦の中へと入った。
「砦を通り抜けないとね」
「…植物が邪魔だ」
目の前の植物をかき分けながら、砦の中を進んでいくと、半壊している砦の中央へと出た。
「ボッロボロだな!」
「ん?」
砦の真ん中には不自然な程、植物に侵食されていない鉄の塊があった。
「……鉄塊があるぞ?」
[…ターゲット確認…戦闘モードへ移行]
機械音声がすると同時に、鉄の塊は人の形へと変化していった。
「はッ!?」
「コイツは…」
人の形へ変化した鉄塊を見て、ヤタガラス達は身構えたと同時に、動揺した。
「オメガとシグマみてーだな…!!」
「アレは試作機…!」
「試作機だと?」
「…オメガやシグマのような戦闘アンドロイドの…試作機だ……保管してあったが何者かに盗まれていたんだ…」
「まさか…ハカセが盗んでいたとは…」
試作機は、レジアルを作り出して襲いかかってきた。七海が、試作機の攻撃を防ぐ。
「…ッ!!」
「以前の試作機に…ここまでの破壊力は無かった……ハカセ…試作機を改造したな…?」
七海は試作機を蹴り飛ばし、レジアルで突いた。しかし、試作機は七海のレジアルを掴んでいた。
「な…ッ!?」
そしてそのまま七海を投げ飛ばし、再び身体を変化させた。
[敵のレベル…推定Ⅹ……対レベルⅩ形態へ変化します]
「おいおい…」
試作機の身体は徐々に巨大化し、3m程の強固な鎧へと変化した。
[形態変化完了……レベルⅩの抹殺開始]
そしてチェーンソーのようなレジアルを、ヤタガラス達に向かって振り回した。
「物騒なもん振り回してんな゛!!」
チェーンソーは、地面を切り裂きながら斬撃の嵐を作り出している。すると、ミユキが人間失格で殺意のチェーンソーを作り出した。
「…馬力なら…僕の方が上だよ…!」
2人のチェーンソーが交わった瞬間、凄まじい火花が散った。
「フ…ッ……!」
ミユキが試作機のチェーンソーを跳ね飛ばし、そのまま試作機を切り裂いた。
[身体の97%が破損……ご…ァら…]
試作機は、電子音と金属の軋む音を発しながら、その場に倒れた。
「ナイス!」
「イェイ!」
宇川とミユキが、ハイタッチをした。乖理は、破壊された試作機を見ながら言った。
「試作機は回収して修理しないとな」
「まぁ…ともかくこれで…先へ進めるな」
「…行こう」
ヤタガラス達が砦を抜け、先へ進むと目の前には、そこら中に朽ちた剣の刺さっている、戦場の跡が広がっていた。
「……砦…そして戦場跡…この世界では争いが起きていたようだな…」
「これで滅びたのか?」
「まぁ…それを判断するのは学者の仕事だ…」
戦場跡を通り抜けて、少し歩くと民家が見えてきた。窓からは、光が漏れている。
「…誰かいるのか…?」
「ハカセだとは思うが…」
ヤタガラス達は合図を出して、民家へと突入した。
「…ッ!!」
「ハカセ…ッ!!」
「はや…」
その時、ハカセは大蛇に絡みつかれる感触がした。よく見ると、ミユキがハカセへ絡みついて、裸絞をしていた。
「変な事したら折るよ」
「く…ッ…」
そして、ミユキがハカセの着ている防護服の、頭を破った。
「…お前…!」
「……ッ…クソ…」
「知ってんのか…!?」
「………榊…レジアルの開発者だった奴だ…」
七海がハカセの顔を、まじまじと見ながら答えた。
「数年前に行方不明になっていたが……まさか敵側にいたとはな…」
「…何してんだお前?…悪魔やらと仲間になり腐りやがってからに!」
「は…はは……最強の兵器の研究の為だよ……SdSに入ったのも…兵器を作りたかったからだ…」
ハカセは七海達抵士官へ、話し始めた。
「最強の兵器を作りたいが為に…SdSに入ったものの……俺には合わなかった…そうしたら…神が降りてきて言ったんだ………『俺達の仲間になれば、お前の研究の手助けをしてやる』…とな」
「…クソだな」
「この世界で死人の蘇生が不可になったのも…俺の作成した兵器の効力だ……はは…神の側について良かったよ…!……良い兵器の開発ができたからな!」




