南極に聳え立つ城
「なるほど……黒幕の事は?」
「さぁな…それは知らん……奴等はハカセとかいう人間を通してコンタクトを取っていたからな」
「…ハカセね……」
川畑は、話し終えたサリヴァンへ尋ねた。
「ハカセの居場所は…?」
「……………南極」
……
「南極に秘密基地なんて建ててんじゃねぇよ…」
「……………」
ヤタガラス達とマイケルは、南極の氷の上を歩きながら、話していた。
「……まぁ…仕方ねぇけどよ!」
「…大人数で行けば逃げられるかもしれないからな」
「まぁ…北極のサラマンダーみたいに捕まえたらいいでしょ」
そうして少し歩いていると、目の前から白銀の吹雪が吹き荒れてきた。
「ブリザードか…」
「クッソー…視界が……」
そして視界が白く染まり、ヤタガラスが目を細めながら歩いていると、ヤタガラスは何かを察知して立ち止まった。
「……何だァ!?」
「…何か来る」
ヤタガラスが立ち止まると、目の前のブリザードの中から、白銀の龍が歩いてきた。
「ファンタジーかっつーの…」
白銀の龍は、ヤタガラス達の姿を見て、咆哮した。そしてブレスを吐き出そうとした刹那、その首は地面へと落ちた。
「…南極だと近くに人も建物も無いから…安心して戦えるね!」
「おっ!…そうだな!……そんじゃあ力を半分くらい解除しとくか!?」
「駄目だ……この南極がぶっ壊れるだろ…」
倒れている白銀の龍は消滅し、ヤタガラス達は再び歩み始めた。
「…暇だな……何かしようぜ!」
「何かって…何だよ…」
「例えば…しりとりとかさ!」
「…しりとりの『り』からな……リード」
川畑がそう言うと、宇川は張り切った様子で答えた。
「よし!…『ど』だな!…どー…どー……ドラム缶!!」
「はいしゅうりょー…」
「あっ……」
「お前はしりとりやめとけ」
すると宇川が、何か思い出したかのように、ミユキへと尋ねた。
「そーいやぁ…お前って童貞じゃねーよな」
「うん」
「S◯Xってどんな感じなんだ?…気持ちーのか?」
宇さんが尋ねると、ミユキは少しの沈黙のあとに答えた。
「気持ちーんじゃない?…僕は正直…気持ちよさとか分かんないけど」
「え?…けどお前…女相手でも男相手でもS◯Xの時にめちゃくちゃ喘いでんじゃん」
「あんなの演技に決まってるじゃん!」
「何て会話してるんだお前ら…」
そんな会話をしながら歩いていると、目の前に何か黒いものが見えてきた。
「…なんだ?」
ヤタガラス達は近付き、思わず驚いて立ち止まっていた。
「うぉぉ…!」
「スゲ…」
それは、大きく聳え立つ城だった。目の前の巨大な城を見て、ヤタガラス達は立ち止まったのだ。
「ブッ壊しがいのありそーな城だな!」
「…城の周りに結界が施されている……だから今まで気付かれなったのだな……」
「兎に角…中へ入ろーゼ!!」
ヤタガラス達は、城の裏口の方から、こっそりと気付かれないようにして、中へ入った。
「……ハカセを見つけて拘束…だろ?」
「ああ」
城の内部へ侵入し、ヤタガラス達は自身の解像度を限りなく下げた。
「…へへ……これでバレないな」
「ハカセはどこにいるんだろう」
ヤタガラス達が城を探索していると、廊下の奥から鉄の擦れる音が聞こえた。
「何だ?」
待っていると、廊下の奥からロボットが歩いてきた。ロボットは、ヤタガラス達へ見向きもせずに、通り過ぎていった。
「アイツは……」
「SdSの本部にある…俺達が戦った戦闘用ロボット…」
「どういう事だ?…何であのロボットが……」
「それは…ハカセを捕まえて聞いてみよう」
巡回するロボット達を通り過ぎて、奥へ進むと豪華な装飾のされた階段があった。
「何か…雰囲気変わったな」
「降りてみよう」
ヤタガラス達はゆっくりと、階段を降りていった。壁には、高そうな絵画が飾ってある。
「……何だよこの絵…裸じゃねーか!」
「…静かにしろ」
「股を髪で隠してたぜ!…さっきの絵!…しかも乳見えた!」
「ガキかよ」
そして階段を降りると、そこには透明なカプセルに入っている業人が沢山いた。
「あの廃研究所みてーだな」
「…あの研究所はハカセが…かつて使っていた場所だったのか……」
「今はここで研究してるって所だな」
その大部屋の奥に、防護服を見に纏った男の姿がある。
「……よぉ!…ハカセ…!!」
「…ッ!?」
宇川が声をかけると、慌てた様子でハカセは振り返った。
「お…お前ら……」
「来ちゃったよハカセ〜!…君の研究所に…!」
「いつの間に…ッ……警備は!?」
「全く気付かれなかったよ!…ステルス!…ノーアラート!」
するとハカセは、少しの沈黙のあとに薬品を投げつけた。
「うぉ!」
「駄目だよそんな事したら!…理科の先生に怒られちゃうよ!」
ミユキが殺意の投げナイフを投擲すると、それはハカセの肩へ命中した。
「くッ…」
ハカセは何とか近くにあったエレベーターへ乗り込んだ、ヤタガラス達も追うが、エレベーターは動き出してしまった。
「クソ…」
「……とりあえず…エレベーターが戻ってくるまで応援を呼ぼうか」




