怪獣討伐
「…樹一郎……行くぞ」
「ああ」
川畑と樹一郎は巨大な天使の元へ、向かっていった。
「クソ…どうすりゃあいいんだ…」
ロシアの抵士官達は、必死に足を攻撃するが、全く歯が立たない。
「まるで怪獣映画だぜ…」
「脆弱ダナ…人間ハ…」
「ッ!…来るぞ!!」
天使が、抵士官達を踏みつけようとした時、天使の太い足はへし折れた。天使はバランスを崩し、膝をつく。
「イタタ……」
「相変わらず怪獣映画が好きなようだな……またあの時みたいに破壊してやろうか?……メルハンド」
「…カワバタ……?」
巨大な天使の胸が破裂し、中から美しい天使が出てきた。
「……川畑だ!…おひさー!」
「……………」
「久々に会えて嬉しいよー…!……ふふ!」
そしてメルハンドは腕を変形させ、川畑へ殴りかかった。川畑は初めから攻撃してくるのを、知っていたかのようにして躱した。
「ぐっちゃ…ぐちゃに引き裂いて殺すから覚悟しろよテメー…」
「……やれるものならやってみな」
それを見て、抵士官達はレジアルを握り、メルハンドへ向かっていった。
「小さくなった今ならやれるぞ!」
「待て…来るな!」
その瞬間、抵士官達は変形し、鞭のようになった天使の腕の薙ぎ払いを食らって倒れた。
「うっせーよ雑魚共」
「…ッ!」
すると樹一郎はそのスキに、メルハンドの後頭部へ思い切り振りかぶったハンマーを食らわせた。
「ッ!!…痛って!……テメーブッ殺すぞガキ!!」
「ガキじゃねぇ…もうハタチだ」
「十分ガキじゃねぇか!…ンのヤロォ!!」
メルハンドの薙ぎ払いを躱し、樹一郎はカウンターで、メルハンドを切り裂いた。
「…ッ……」
「まだだ!!」
そのまま、斬撃の嵐をメルハンドへ食らわせた。するとメルハンドも負けじと、反撃する。
「ゴラァ!!」
「…ぅお!」
川畑が樹一郎の襟を引っ張り、少し反応の遅れた樹一郎を、メルハンドの反撃から守った。
「……川畑ァ…」
「来いよチビ」
その言葉を聞いて、メルハンドはキレ気味に川畑へ迫った。
「テメーよりかはチビじゃねーよッ!!」
「…フッ……」
「ゴハッ…バ…ッ…!」
向かってきたメルハンドへ、川畑は冷静に攻撃した。メルハンドはそれを食らって、思わず後退りする。
「……こンの…ッ!」
「遅いな…」
いつのまにか背後に回っていた川畑の方へ、メルハンドは振り返るが、そのまま顎へストレートを食らった。
「…ッ…クソが!!」
「つまらないな…お前……」
「ンだとテメェ……」
跪いていたメルハンドは、ノーモーションで川畑へ向かって、回転蹴りを繰り出した。
「舐めんじゃねーッ!!」
そして、地面の巨大な天使の抜け殻へ、指を食い込ませた。
「…生身でブチ殺そうと思ったが……仕方ねぇ!!」
「!!」
川畑と樹一郎は、巨大な天使の抜け殻から飛び降りた。すると、抜け殻はメルハンドと融合し、巨大な竜となった。
「コノ体デ捻リ潰シテヤルッ!!」
「はぁ…またソレか…」
竜となったメルハンドは、口から白色の雷と炎のブレスを吐き出した。
「フン…ッ!!」
そのブレスを、樹一郎は逆境返しで、メルハンドへ返した。
「そっくりそのままお返しするぜ!!」
「小癪ナ……ッ!」
メルハンドは、その返された自身のブレスを吸い込んだ。
「フッ!」
そして天空へ吹き出すと、青空が突如曇り始めた。それを見て、樹一郎と川畑も身構える。
「くるぞ…川畑さん…」
「ああ…」
その瞬間、空から大量の雷の雨が降り注いだ。樹一郎は、剣を両手で握り、空へ掲げた。
「なに…?」
樹一郎の持つ剣から飛び出す雷が、周りの雷を集め巨大な刃を形成した。
「…フッ!」
「……ッ!!」
そしてその雷の刃を、メルハンドめがけて振った。巨大な雷の斬撃が、メルハンドへ向かっていく。
メルハンドは対抗してブレスを吐くが、雷の刃はそのブレスごとメルハンドを両断した。
「くぅ!!」
斬撃を食い、メルハンドが地上へ落下すると、川畑がすかさず追撃した。
「がァ!!」
竜ではなく虎へと姿を変え、メルハンドは川畑に馬乗りになった。
「川畑さん!」
樹一郎が近付くと、川畑がメルハンドを持ち上げて、地面に投げた。メルハンドは、気絶している。
「……腹がガラ空きだったので…少しラッシュを食らわせただけだ」
「………じゃあこれで…終わりかか…」
虎の姿から、通常の姿へとメルハンドは戻った。
「…ああ……そうだな」
「アイツらは大丈夫かな」
「フン……大丈夫だろ…」
……
「斬仁と…宇川……」
「コイツぶっ倒せばいいんだよな!」
「ああ!」
すると宇川が、悪魔へ向かって走っていった。近付いてくる宇川へ、悪魔が拳を振り下ろし地面へ叩きつけた。
「ゴァ!」
「……宇川…強いと聞いていたが……この程度とは」
「痛ってーなァ…クソが!…いきなりだな!…この野郎!!」




