ヤバイ悪魔と天使達
「知らねぇよ」
「…いやいや……お前協力してたんだろ?」
「アイツはいつもあの防護服着てっから…顔が分かんねぇんだよ!…名前も知らねぇよ!」
「嘘はついてないね」
壁にもたれかかるミユキが、マイケルへと言った。
「クソ……手掛かり無しか…」
「あっ…いや………」
「何だ」
「……3日前に少し気になる事を言ってたな…」
そう呟くサラマンダーへ、マイケルが尋ねた。
「…言ってみろ」
「……SdSは3日後…つまり今日潰すって…」
「なに…?」
すると本部内へ、アナウンスが流れた。
[危険度Ⅹの悪魔4体が世界各地へ出現した!…抵士官達は直ちに…集会所へ集合してください!]
「…マジかよ」
「行こう!」
マイケルとミユキは、サラマンダーの牢から飛び出した。
「……4体の悪魔…レベルⅩ………もしやあの野郎…俺以外のアイツらも味方につけやがったのか……?」
……
「…よし…それでは部隊別に討伐へ向かえ!」
「「はい!」」
七海はそれぞれの部隊の討伐対象と、その対象のいる場所を伝えて、部隊を悪魔の討伐に向かわせた。
「……狙ってたのかもな…」
「…いや…狙ってるとしか思えないだろ」
悪魔が現れる数時間前、シゲキとマサミ、タケヲとトシジは、別世界に現れた業人の討伐へ向かっていた。
「……お爺ちゃん達や…父さんがいない今…僕達がやるしかないね」
「だな……ちゃっちゃと片付けるぞ!!」
ヤタガラス達も、急いで討伐へと向かった。それを見て、七海はレジアルを握る。
「……準備はできたか?」
「ああ」
「…………」
「よし……俺達も向かうぞ」
……
アメリカにて……
「…王を差し出せ……死にたくはないだろう?」
「くッ…」
一人の悪魔を前に、王の護衛達は壊滅状態だった。
「……!」
すると悪魔が、その場から離れた。その瞬間、地面へ亀裂を作り、二人の青年が降り立った。
「おーおー…ヤベー状況じゃねぇか!」
「…さっさとブチ殺すぞ!」
「斬仁と…宇川……」
ロシアにて……
「樹一郎…」
「…なんだ」
「……やれそうか?…俺は助けてやれないぞ?」
川畑が地上を破壊しながら闊歩する、巨大な天使を指差しながら言った。
「フン……あの程度の天使に負けるか」
中国にて……
「なんて…巨大な……!」
「…!……アンタらは…!」
「離れておけ……巻き込まれたくないならな…」
目の前で暴れる天使の前にして、七海と乖理が立ちはだかった。
イギリスにて……
「……僕達…二人で戦う事が多い気がするなぁ…」
投げナイフを人間失格の力で生み出しながら、ミユキはマイケルへ言った。
「…単なる偶然だろ……」
マイケルは手袋をはめて、近くの鉄パイプを手に取った。
「あっ…それ使うんだ…」
「…ああ」
「君なら素手で倒せんじゃないの?…あの程度…」
ミユキは少し遠くに立つ、悪魔を見ながら言った。
「……念の為だ」
「…にしても鉄パイプかぁ〜…懐かしいなぁ〜……街中で襲ってきたヤンキー君が鉄パイプ持ってたよ」
「ほぅ」
「まぁ…鉄パイプなんて僕にとっては……ポッキーみたいなものだけどね」
そしてミユキは、殺意の投げナイフを、悪魔に向かって投擲した。
「…ッ!」
悪魔は何かを察したように、投げナイフを躱した。
「……ミユキか」
「お?」
「そこだな」
「…この距離でバレるんだ」
そして、悪魔はミユキとマイケルのいるビルの屋上へと、一瞬で移動した。
「サリヴァン…だったか?」
「…まさかそちらから来てくれるとは……こちらから行く手間が省けた」
すると突然、サリヴァンは天空を指差した。その瞬間、空から光の槍が降り注いだ。マイケルは受け流し、ミユキは最小限の動きで躱す。
「……ミユキ…あの時の借りは返させてもらう」
「借り…?……ごめんね!…君みたいなモブの事なんて覚えてないや!」
「相変わらずふざけた奴だ」
そしてサリヴァンは、ノーモーションで蹴りを繰り出した。
「フンッ!」
そこへマイケルが、蹴りを受け流しながら鉄パイプを、身体へ叩きつけた。
「…ッ……何だお前…」
「!!」
「モブはすっこんでろ」
サリヴァンは、一瞬怯んだがすぐにマイケルへ、ローキックを食らわせた。
「……モブじゃねぇよ」
マイケルはサリヴァンの蹴りを、鉄パイプで受け流した。
「…なるほど……鉄パイプは武器ではなく…受け流しの道具として使ってるのか……」
「昔……ある天パ野郎に教えてもらったんだよ」
「……ナオトか…」
サリヴァンはその受け流しを見て、怒りを抑えながら呟いた。
「忌々しい…」
「あ…?」
「…もう見る事は無いと思っていたが……クソが」
するとサリヴァンは、腕を広げた。
「……お?」




