久々のテオロン
「…ん?」
するとその瞬間、壁からトゲが飛び出し、ヤタガラス達を押し潰す形で迫った。
「随分…古典的な罠だな」
「こんな…ゲームでしか出ないような罠で…俺達を殺せるか!」
宇川が迫りくる壁をブン殴った、壁はボロボロに崩れた。
「…奴はどこから出やがった…」
「ここに隠し扉があるよ!」
ミユキが壁の瓦礫をどかし、隠し扉を開けた。
「でかしたミユキ!」
「早く追うぞ…まだ間に合う筈だ」
ヤタガラス達が隠し扉の先へ向かうと、地上へと出た。
「…地上には抵士官がいる……恐らくサラマンダーは…あの人間…即ちハカセを呼び…テレポートで逃げるつもりだろう」
「ここのどこかへ隠れてるってわけか!」
「手分けして探すぞ」
そしてヤタガラス達は散らばり、辺りを捜索した。
……
「…ンだよ……地上には抵士官共がいるじゃねぇか…」
『こうなれば……ヤツを呼んで…テレポートで逃げるしかねぇ…』
サラマンダーはハカセに連絡し、ハカセへ状況を伝えた。すると者の数秒で、ハカセはやって来た。
「……来たか…!」
「…アレは手に入れたか?」
「あ…ああ…!……コレだろ?…カイトの戦闘データ…」
「よし」
「あっ!…こんな所にいたんだ!……しかもハカセも一緒じゃん!」
ハカセとサラマンダーの元へ、ミユキが歩いて来た。
「お…おい!…早く行こうぜ!」
「…………」
「なぁ!」
「データは手に入った……もうお前に用は無い」
「…は…?」
その瞬間、ハカセの背後へフードの男が現れた。
「お前は今から…ミユキと一緒に他の世界へ行ってもらう……」
「な…なんだと!?」
「ついさっきアレが完成したのでな……ミユキを別の世界へ送れば…少しの間は時間稼ぎできるだろう…」
「ふ…ふざけr」
フードの男が、サラマンダーの目の前にワームホールを出現させた、サラマンダーはワームホールへ吸い込まれる。
「あっ!…大事な手掛かりが!」
ミユキは、その後を追ってワームホールの中へと飛び込んでいった。
「…よし……行くぞ」
……
「……さっきの事をまとめると…そんな感じだね」
「クッソ…アイツら……わけわからん世界へ飛ばしやがって…」
森の中で焚き火をしながら、ミユキとサラマンダーは話していた。すると、ミユキが何かを思い出したかのように、少し笑った。
「…ンだよ」
「……いや…何か……君の兄も…昔…味方に裏切られてたからさ!……兄弟揃って味方に裏切られてるのが…マジで草」
「腹立つなお前…」
そしてミユキは立ち上がり、焚き火を消すとサラマンダーへ言った。
「とりあえず…この世界から出ないとね……」
ミユキがスマホを確認して、天界へ向かおうとしたが、何故かテレポートができない。
「…天界へテレポートできないね」
「……ハカセは…何か変な機械を作ってた……もしかしたら…その機械の影響かもな…」
「うわー…厄介な事してくれちゃってるねー…」
するとミユキは、立ち上がって焚き火を消した。
「……それじゃあ…あの方法を使おうか」
「…あの方法?」
「うん」
「何だそれは…」
サラマンダーが尋ねると、ミユキは説明し始めた。
「世界には…出入り口があるんだ」
「出入り口?」
「…ゴッドカンパニーは…世界を創る時に…万が一に備えて…出入り口を作るんだ……何かあっても…世界に入れるようにね………どんな事が起ころうとも…その出入り口からは世界へ出入りする事ができる」
「……それじゃあ…その出入り口が何処にあるかを探せば…この世界から出られるってわけか!」
「そゆこと!」
そして少し歩くと、森を抜けて平原に出た。その平原を見て、ミユキは思わず驚いた。
「ははッ!…こんな偶然が…!」
「どうした!?」
「……ここ…テオロンだ…」
「テオロン……確か悪神が色々としてた世界か…」
ミユキは平原の向こうにある山々を見て、サラマンダーへ言った。
「探す手間が省けたよ……この世界の出入り口は…この世界にある僕の館にあるから」
「おっ!…マジか!」
「…しかも…ここから割と近い……さっさと行こ!」
そしてミユキとサラマンダーは、ミユキの館のある方角へと、歩いていった。
「……赤い大地…」
「レッドゾーンって名前の大地さ」
ミユキとサラマンダーが、赤い大地の上を歩いていると、目の前に黒い龍が降り立った。
「モンスターか…何か懐かしく感じるなぁ…」
その龍を、ミユキはいともたやすく切り裂いた。龍は切り裂かれ、地面に魔素が落ちた。
「行こうか」
「あ…ああ」
『………待てよ…今からもしかしたら……不意を突いてミユキを倒せるんじゃ…』
サラマンダーが拳を握り、ミユキの方を見ると、ミユキが殺意の眼差しで、サラマンダーを見つめていた。
「どうかしたの…?」
「…な……何でもありましぇん…」




