サラマンダー
「…………………………………言いまひゅ…」
「ん?」
「言いましゅから!…きょれ以上は…ッ…」
歯が抜け鼻が潰れた悪魔が、怯えるようにしてミユキへ言った。
「うんうん!…言った方が良いよ!」
ミユキはそれを聞いて、ボロ雑巾になった悪魔を治癒した。
「………サラマンダー様に命令されたので…人間に化けて本部に潜り込んでいました…」
「それは分かるよ……目的を話して」
「…詳しくは聞いていませんが…総特達を見て来いと……あっ…サラマンダー様は…北極にある隠れ家にいる筈です!…スマホの中へ…その座標はメモしてあります!」
ミユキは悪魔のスマホを確認した、スマホ内のメモには、確かに座標が書かれていた。
「……ふーん…分かった」
悪魔の後頭部を蹴り、気絶させるとミユキはトイレから出ていった。
……
「………そんで…俺達は北極に飛ばされたわけか…」
ヤタガラス達と抵士官は、北極にあるサラマンダーの隠れ家近くまで、歩いてきていた。
「…ここからはヤタガラスと…マイケルだけで潜入してくれ……俺達は勘付かれないように…周りを包囲しておく」
「あいよ」
そしてヤタガラスとマイケルは、隠れ家へと向かっていった。
「……気配を消そう」
「だな」
ヤタガラス達は自身の気配を消し、マイケルはポケットの中にある機器の電源を入れた。
「うぉぉ…凄いねそれ…」
「…透明になる事ができる…最新鋭の機器だ……まぁ…お前らには視えるだろうがな」
「……逆に…こっちの事も視えるんだね…結構気配消してるのだけど…」
「フン…悪魔舐めるなよ?」
そうこうしながら歩くと、座標の位置まで到着した。しかし、そこには何も無い。
「…ここの筈だが…」
「……おっ」
ミユキが地面の氷を、コンコンと叩いた。
「この地面…氷じゃないね」
「ほぅ?」
そして、ミユキが氷の地面の一部分を触ると、丁度指が引っかかるくらいの取っ手が飛び出した。
「ここが入り口か」
「開けるよ」
ミユキはゆっくりと、氷の扉を開けた。扉の奥には、鉄の梯子と氷の壁が続いている。
「北極にこんなもん作んな」
ヤタガラス一行は、梯子を降りていった。梯子を降りると、鉄のトンネルが続いていた。
「よくこんな建物作れるよな…」
薄暗いトンネルの先には、エレベーターがあった。
「エレベーター?」
「更に下へ…」
ヤタガラス達はエレベーターに乗り、更なる深みへと、入っていった。
「……は…?」
エレベーターが止まり扉が開くと、そこは草原だった。草木が、淡く光って辺りを照らしていた。
「地底世界というやつか」
「この世界にも地底世界があんだな!!」
「興味深いね……」
「とりあえず探索しようぜ」
「…もしこの地底世界が地球と同じくらいに広ければ…隠れ家を探すのは骨が折れるぞ」
ヤタガラス達は草原に踏み込み、少し歩いて先へ進んだ。
「……この草や木…蛍と同じ原理で光ってるね」
「少し持ち帰るとしようか…」
マイケルは近くの草や木などの植物を、小瓶に入れポケットへしまった。
「…そういえば…サラマンダーって【五つの災厄】の一人だったよな!」
「ああ」
「どのくれー強ぇのか…楽しみで仕方ねぇ!!」
「……お前はホント戦いが好きだな」
ヤタガラス達が会話しながら歩くと、目の前に館が見えてきた。
「おっ!…隠れ家らしきもの発見!」
「…侵入してみよう」
館へ歩いていき、ヤタガラス達は窓を覗いた。
「……クッソー…何だよコイツ……地味に強いな…」
「…………ゲームしてるぞ」
「呑気な野郎だ…」
必死にゲームをするサラマンダーを見て、宇川が壁をぶち破った。
「おい!」
「何だァ!?」
「こんちわサラマンダー!」
「お…お前は……宇川!?」
宇川に続き、ヤタガラスとマイケルも、館の中へ入る。
「…お前の兄さんも…警戒心の無ぇ悪魔だったな…!!」
「どうしてここが……つーかヤタガラスオールスターじゃねぇか!…クッソ……」
サラマンダーは、少し焦った様子で後退りした。
「さっさと捕まえて帰ろうぜ!」
「抵抗しなければ……痛い思いはしなくて済むよ…?」
「……く…ッ」
するとその瞬間、サラマンダーは近くにある雑誌を投げ付けて、逃走した。
「あっ…!」
「逃すか!」
「セ…セキュリティ!…セキュリティ!!」
サラマンダーが叫ぶと廊下の奥から、スーツ姿の悪魔が現れた。
「フン…護衛に頼って逃げるか……兄にソックリだな…!」
「さっさと追うぞ」
川畑は護衛を簡単に無力化した、そしてヤタガラスは、サラマンダーを追い、地下へと向かった。
「…ッ!」
地下へ入った瞬間、地上へ続く階段の前にシャッターが降りた。
「ンだよ!」




