蛇喰い
「…ッたく……」
マイケルはスーツを脱いだ、下には海パンを履いている。
「海パンを履いておけば…いつでも水中で行動できる」
「……学習したんだね」
ミユキも服を脱いで、包丁を握った。するとそこへ、七海達がやってきた。
「七海…」
「お前ら…何で海パンなんだ…」
「海の中に楽織がいるからさ…」
「…ミユキ…行くぞ」
マイケルとミユキは海へ歩いていき、水中へ潜っていった。
「水中か…」
「…海パン用意しとけば良かった…」
水中へ潜ると、マイケルはGPSの方向へと泳いでいった。マイケルはミユキを見て、水中スレートに何かを書いた。
『海の中でゴーグル無しとはな』
『これくらいはできるよ』
ミユキはマイケルから手渡された水中スレートへそう書いた、そして少し泳ぐとマイケルが何かを手に取った。
『GPSがあった、近くへいる筈だ』
するとその時、サメのような形をした何かが、マイケルへ喰らい付いた。
「…ッ!!」
それはサメの形をした楽織だった、ミユキが急いでマイケルと楽織を追いかける。
「バロロロ!」
マイケルが楽織を殴ると楽織は、マイケルから離れた。
『大丈夫!?』
『大丈夫だ』
楽織が、マイケルとミユキをジッと見つめる。まるで、獲物を見るサメのような目で。
『俺が気を引いてる隙に、お前が斬れ』
『了解!』
マイケルとミユキは武器を交換して、楽織の方を見た。
「ボロロロロロッ!」
楽織が水中で咆哮し、突進をしてくると、マイケルが包丁を握り、楽織へ思い切り突き刺した。
「ゴロララッ!!」
包丁がサメの肉体に突き刺さり、楽織は暴れ回る。そして、ミユキの方は向かっていった。
「…ッ!!」
ミユキは水中で振っているとは思えない程のスピードで、業斬を振り、楽織を一刀両断した。
「ギョロゴゴゴゴゴ…ッ」
そして、楽織を包み込む業の部分が淡く溶け始め、楽織の肉体が露わになってきた。
「…ッ!?」
するとその時だった、溶け始めていた業が、段々と集まって何かを形成し始めた。
『ヤバそうだね』
『ああ』
そして、楽織を包んでいた業は膨れ上がり、巨大な蛇となった。巨大な蛇と化した業は、海上へその姿を露わにする。
『まるでリヴァイアサンだな』
『一旦、陸へ戻ろう!、楽織も安全な場所へ運ばないとだし!』
『そうだな』
マイケルとミユキは、気絶している楽織と共に、陸上へと戻ってきた。
「楽織!?」
「救出できたのだな!」
「ああ…だが……」
楽織を七海へ預けてマイケルは、海から頭を覗かせる蛇を見た。
「…アイツか……」
「ヤツは何だ?…突如現れたが…」
「楽織を包んでいた業が…形を成して誕生した奴だ…」
「クソ…マジか……応援を呼ぶ必要がありそうだな…」
抵士官達が蛇へ向かって構えると、オロチが歩いてきた。
「俺に任せろガキ共ォ…」
「オロチ!?」
「…俺も活躍させろ」
「……一人でやれるのか…?」
乖理が尋ねると、オロチの後ろにいるケイトが言った。
「大丈夫だにゃ…オロチはあんな奴…瞬殺しちゃうにゃ」
「…マジかよ」
「そんじゃ……いいとこ貰ってくよ…ミユキちゃん!」
ミユキは笑顔で蛇の討伐権を、譲り渡した。それを確認して、オロチは海の上を走り、蛇へ向かっていった。
「オロチ…か」
そしてオロチが、蛇に向かっていってから数秒経ったその瞬間、蛇の頭が突如現れた怪物に喰われ、消失した。
「うげぇぇ!?」
「ヤバ…」
頭を失った蛇は、ゆっくりと崩れ落ち、海の底へと消えた。
「…共喰いした気分だ」
口元へ大量の血が付着したオロチが、ミユキ達の元へと戻ってきた。
「毎回見てて思うんだけど…真の姿がグロテスクだね」
「うるせぇな」
「…ともかく…これで楽織の捜索は完了したわけだな」
七海が、地面に横たわる楽織を見ながら言った。
……
「……まぁ…目は覚さないんだけどな」
「…………」
「重要な手掛かりを持つ奴はいつも昏睡状態だ!」
宇川が、病室で眠っているリコと楽織を見ながら言った。
「…まぁな……」
「いい加減…手掛かりって呼べる手掛かりが見つからないもんかね!!」
そんな中、ミユキは一人、部屋から出て行った。そしてトイレへ行くと、七海の姿があった。
「ミユキか…」
「……………」
「…何だ…?……そんな目でおr」
「七海じゃないね」
ミユキは七海の声に被せるようにして、七海へ言った。
「……は…?……何言ってんだよ…」
「姿形は完全に七海だ……だけど…完全に七海へはなりきっていない」
「何を…」
「癖…息遣い…匂いとかが違う……まぁ…まだまだ違うところはあるけど…」
「…なに馬鹿な事を…」
そしてミユキは、七海が腕を変形させて繰り出した攻撃を、すかさず躱した。
「……ついさっき…七海は他の県の悪魔の捕獲に向かった…だからここにいるのはおかしいんだ…」
「………バレたら仕方ねぇか…」




