楽織との再会
『日記か……俺より以前にここに入れられていた奴の…』
朗報だ、なんと棒ヤスリを盗む事に成功した。
これで鉄格子を破壊して、脱出する事ができるかも。
これから目を盗んで、鉄格子を破壊してやる。
『ほう…』
削り始めてから、何日経っただろうか、ついに
鉄格子の破壊に成功した、あとは見つからずに
出るだけだ。
鉄格子を外し、その隙間から抜け出す。
俺は必ず、この地獄からで
『…ここから先は書かれていないな……しかし…鉄格子を破壊しただと?』
メモを読み、楽織は鉄格子を一本一本確認した。すると、一番右側の鉄格子が、外れる事が分かった。
『このメモを書いた奴は出られたのだろうか……いや…書きかけなのと…鉄格子が修理されてないのを見ると…その可能性は低いな……脱走者が出たのなら…この牢獄を調べる筈だし…』
楽織は音を立てずに、ゆっくりと鉄格子を外すと、牢獄の外へ出た。
『よし…あとは見つからずに外へ出られたらいいのだが……この場所の見取り図が必要だな…』
鉄格子を直し、楽織はゆっくり屈んで廊下を進んだ。
『…とりあえず……装備もあれば回収しないとな…』
廊下を進んでいくと、声が聞こえてきた。その声を聞いて、楽織は急いで隠れた。
「……ああ…研究は進んでいる………フン…言われなくとも分かっている…」
『…俺をさらった奴…!』
誰かと電話をしているハカセが、楽織の隠れている廊下を通り過ぎた。
『……変な薬を投与か…調べてみるか…』
ゆっくりと、楽織はハカセを追っていった。
『…俺を気絶させる程の強さ……やり合っても勝てるか分からない……下手に動かないようにしないとな…』
そして少しつけていくと、ある部屋へ入っていった。楽織はその部屋に入り、思わず絶句した。
『な…んだ……これ…』
そこには、透明なカプセルに入った大量の業人の姿があった。
「凄いだろう?…コイツらは私が品種改良した業人だ……従来の業人とは訳が違うぞ…?」
「は…ッ!?」
楽織の肩をポンと叩いて、ハカセは言った。
「逃げられると思っていたのか?」
「くッ…!」
近くの薬品を床に落として、楽織は走った。
「…フン」
『……何としてもここから出る!…ここの事を伝えないと!』
楽織はただ、ひたすら走った。出口がある事を信じて、ただガムシャラに走った。
「うお…!?」
そして、走っていると何かにぶつかった。
「…は…何で……何で…コレが…ッ!?」
「……全く…逃げ足が早いな……」
「ッ…!」
「昔から変わらんな……弱い所は…」
それを聞いて、楽織は目を丸くした。
「……お前…まさか…ッ!!」
「…フン」
……
「……楽織の場所は未だ掴めず…か…」
「見つからないもんだな」
マイケルと七海が街を歩いていると、電話が鳴った。
「…何だ」
[業の瘴気を帯びた飛行物体が突如出現し…ついさっき観測したッ!]
「業だと?」
[お前達の真上にいる!…早くそこから逃げろォ!!]
「何だって…!?」
その瞬間、マイケルと七海の目の前に黒い物体が落下した。
「……業だと?」
「…こいつが…」
黒い物体の中からは、鬼のような業人が飛び出してきた。
「早く倒さなければ…街が汚染される!」
「突如出現ってのが気になるな…」
2人は、業人の前で構えた。業人は、獣のような動きで、2人へと迫った。
「…ッ!」
七海はすぐさまレジアルを起動して、業人の攻撃をガードした。
「こんな業人…見た事が無い……新種か…!?」
「…………」
マイケルは業人へ向かって、思い切り蹴りを食らわせた。その蹴りは喉に命中し、業人はその場でのたうちまわった。
「…む……」
「どうした…?」
怯む業人の顔面を、マイケルは剥ぎ取った。すると、黒い皮が剥がれ楽織の顔が現れた。
「楽織…!?」
「……ハカセとやらに何かされたな…」
「クソ……あの野郎…」
すると楽織は、叫び声を上げると獣のようにビルの壁を登り、逃走した。
「…七海……みんなへ連絡しろ…」
「マイケル…!?」
「俺は…奴を追う…!」
そしてマイケルも、ビルをよじ登って楽織を追っていった。
「……本部…」
[大丈夫だったか!?]
「ああ…俺は大丈夫だ………とりあえず…今から至急…抵士官達へ招集命令を出してくれ…50人程でいい…」
……
「楽織…」
「…グガウ…ル…」
「……聞こえねぇか」
マイケルはビルからビルへ、飛び移りながら楽織を追っていた。
「ガァ!!」
「…危ねぇ…」
攻撃を避けながら、楽織を追っていると、後ろへミユキがついてきていた。
「…ミユキ」
「よっ!……実はついさっき七海君から…マイケルが業人になった楽織を追ってるって聞いてさ!」
ミユキは、背中の業キラー武器を抜いて言った。
「急いでコレを持ってきたんだ」
「うむ…ナイスだ」




