表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
423/457

ハカセの花




「…ふむ…これが本来の道か…」

「よし!…行こう!」


マイケル達は、頂上へ向けて再び歩き始めた。すると今度は、突如身体が重くなった、地面に吸い寄せられるように、ミノルが膝をつく。


「ッ…く…!?」

「これは……またトラップだね…」


ミユキとマイケルは平然と立ち、頂上を見ていた。


『…へ…平気なのか…ッ!?』

「……ミノル君…大丈夫?」

「!」


ミノルはその言葉を聞いて、無理やり立ち上がった。


「…問題無い…ッ!」

「……そう…じゃあ行こう」

『こんな所で立ち止まってる場合じゃねぇ…』


そして、マイケルとミユキは普段通りの速度で、ミノルは少し遅く頂上を目指した。


「……少しペース落とそう…か…?」


ミユキがミノルへそう言おうとした時、マイケルがミユキの口元へ手を出した。


「…あの目をした奴に…()()は言わない方がいい……」

「……ハァ…ッ…ハァ…ッ…」

「………そうだね…」

「…行くぞ」


後ろの方で歩くミノルを無視して、2人は頂上を目指した。


「…クソ……ッ!!」

『俺は…リコを……ッ!!』

「……こんな場所で止まるわけにはいかねぇ…ッ!」


地面を重々しく蹴り、2人へ追いついた。


「悪い…遅れてて……ちょっと転んでた…」

「…フン」


そして歩き始めてから数分後、3人は頂上へと辿り着いた。


「……富士山の…火口だ…」

「…ここが目的地か……」


3人は火口を覗き込んだ、火口の中心には、大きな花が咲いていた。


「…花の元へ行こう」

「……ああ」


火口の中心へ降りて、3人が花を見上げると、花の中心にリコの姿があった。


「リコ!」

「…ふむ……このような姿となるとは…予想外だな……業の力は…まだまだ研究する必要がありそうだ…」


ミノルが声のする方を見ると、そこには顔の見えない防護服に身を包んだ男が立っていた。


「……お前がリコを…」

「ああ…SdSの情報を持ち帰ってきてくれたからな……褒美に業の実験台にしたのだ」

「テメェ…ッ!!」


するとさっきまでとは比べ物にならない重さが、ミノルへ襲いかかり、ミノルは地面に倒れた。


「ぐ…ッ…う……」

「この状態でも…知能はあるようだ……私を守るとは…」

「…君は誰?…カイトを復活させた人?」

「……私は…まぁ……博士(ハカセ)とでも名乗っておくか…」

「ハカセ…」


ミノルは身体から、血を吹き出しながら立ち上がった。


「あっ…大丈夫…?」

「ああ…それよりも……テメェがリコをこんなにしたのか…ッ!」

「うむ…リコはもういらないんでな……最後にこの富士山を中心に…業を広める爆弾の役割を果たしてほしかったのだ……」


それを聞いたミノルは、目の色が変わりハカセへ斬りかかった。


「おっと…遅い遅い……戦闘能力を持たない私でも躱せるぞ」

「くッ…」


身体にとてつもない重さが伸し掛かり、ミノルは上手く剣を振るう事ができない。


「うぉぉッ!」

「…!」


しかしミノルは、剣を振ると見せかけて、剣を投げ飛ばした。剣はハカセに命中し、ハカセの防護服に少し傷が付いた。


「ま…マズイ…」


ハカセは走って逃げようとするが、途中で苦しそうに声を上げて、地面に転んだ。


「逃さないよ」

「…ッ……」


ミユキがハカセの腕を掴むが、ハカセはその場で消えた。


「……テレポートか…」

「…仕方ない……今はリコを何とかしよう」

「……そうだね…」


3人は、花の中心へいるリコを見た。


「…業を広める爆弾……という事は…このまま放っとくと…リコは爆散してこの周辺区域を…九州や北海道のように業による汚染区域にするのか…ッ!」

「……止めないとね…」


ミユキは花の茎を触りながら、包丁へメメントモリを宿した。


「…茎を切って…リコ君を花から引き剥がそう」

「……切って大丈夫か…?」

「多分」


そしてリコは、花の茎を斬った。花はメキメキと音を立てて、地面に倒れた。


「リコ…!」


3人は、倒れた花の中心にいるリコへ駆け寄った。


「大丈夫か!?」

「……………」


リコは返事をしない、ミノルがリコを花から引き剥がそうと、引っ張る。


「3人でやろう」

「…ああ」


3人はリコを掴み、321の掛け声と共に、引っ張った。リコはべリベリと花から引き剥がされ、もう一度引っ張ると完全に花から剥がれた。


「……おっ…!」

「…身体が軽い……重みが無くなった…」

「よし…一旦リコを安全な場所へ…」

「花はどうするの?…リコ君を引き剥がしたけど……花にはまだ業が渦巻いてる…」


するとマイケルが、ミユキとミノルへ言った。


「花は爆発しないよう…俺が何とかする……お前らは先に降りてろ」

「え?…マイケルが?」

「ああ……さっさと行け…」

「……分かった…行くよ…ミノル君」

「あ…ああ」


2人はマイケルをその場に残し、リコを担ぎながら火口を登った。


「…さて……やるか…」















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ