喧嘩の勝敗
「…くぅ!!」
「!!」
そして、マイケルの拳を額で受け止め、思い切り腹パンした。
「うぉらぁ!!」
「ぐくッ!!」
マイケルが怯んだスキに、宇川はマイケルの襟を掴み、投げ飛ばした。
「がッ…は…ッ…」
「まだまだァァ!!」
宇川はそのまま、マイケルを思い切り蹴り飛ばした。しかし、マイケルは宇川の足を掴んでいた為、宇川は体勢を崩して倒れた。
「うぉ…ッ!?」
「ぉおおお!!」
そしてマイケルは宇川に馬乗りになり、何度もブン殴った。5発目で宇川は拳を掴み、マイケルを蹴った。
「ぐふ…ッ…」
「へへ……こっからは俺の番!!」
拳を掴んだまま、宇川はマイケルを何度もブン殴った。普通は吹き飛ぶ程のその打撃だが、掴まれている為、マイケルはサンドバッグ状態になっていた。
「…この…ッ」
マイケルは掴まれている拳を、自分の方へ引っ張っり、前のめりになった宇川を、思い切りブン殴った。
「……ッ…!」
そしてボクシングのようなスピードと、戦車のような破壊力でラッシュした。
「へへッ…!……ラッシュ対決か!!」
宇川も負けじと、ラッシュで対抗する。2人は、嵐のようなラッシュをし続けている。
「…く…」
すると、マイケルが宇川に押され、思わず後退りする。
「はははははははッ!!」
「……バケモノめが…ッ!!」
マイケルは全身から血が吹き出るが、ラッシュのスピードをぐんと上げた。
「…加速しやがった…!」
「うおおおらぁぁああッ!!」
「はーい…終了!」
その声を聞いて、2人のラッシュは止まった。声のする方を見ると、ミユキがスマホを持って立っている。
「ンだよミユキィ!!…邪魔してんじゃねぇよぉ!!」
「みんなが来てくれってさ」
「ならしょうがねぇな……おい…喧嘩の決着は…また今度つけるぞ」
「………チッ…そうかよ…」
そして、3人は何も無かったかのようにして、本部へ戻っていった。山は、まるで恐竜が暴れたかのように、荒れていた。
……
「…うわッ!…ボロボロじゃん!」
「治療しに行った方がいいのではないか…?」
「大丈夫だ!…なぁ!」
「…ああ」
ボロボロになっている宇川とマイケルを見て、ストレンジャーと抵士官は、驚いている。
「……それなら…いいのだが…」
「それで…来てくれって言ってたらしいが…」
「あぁ…今から話そう」
宇川とマイケルは席に座ると、七海が話し始めた。
「…お前達が喧嘩してる間……ここにリコがやって来たんだ…」
「ほぅ…」
「へぇ…!」
「……恐らく…黒幕かカイトに命令されたのか…偵察にな…」
そしてパソコンを開き、マイケルと宇川に見せた。
「…リコは気付いていないが……リコに気付かれず…発信器を付けておいた……だから今から…リコを捕獲しに行こうと思ってな…」
「なるほどな!!」
七海は、部屋にいるストレンジャーと抵士官を見て、少しの沈黙のあとに言った。
「……捕獲に行くのは…マイケルとミユキ…そしてミノルだ」
「…………………」
「ミノルなら…リコの事を知っているだろうからな……それ以外は…付近で待機だ」
「いつ行くんだ?」
「今だろ」
宇川が狙ったかのように尋ねると、七海は期待を裏切らずに答えた。
……
「……ここだな…」
「やっと着いたか…」
「…ッたく……何で毎回毎回…遠くに行く事になんのかな゛!!」
宇川が富士山の麓で叫んだ、鳥が飛び去り、川畑が注意する。
「静かにしろ!…気付かれて逃げられたらどうする!?」
「おっ!…そうだな!」
「よし……それでは…3人は富士山の頂上へ向かってくれ……そこにリコはいる筈だ……俺達も…少ししたら頂上より少し下で待機しておく」
「りょーかい!」
そして、マイケルとミユキ、ミノルは富士山へ登り始めた。
「……ミノル君」
「…何だよミユキさん…」
「……気を許しちゃ駄目だよ…親友が相手でも…」
「フッ…言われなくとも分かってるさ…」
そう言うミノルを、ミユキはジッと見ていた。
「……………なら言いけど…」
そして頂上近くまで歩き、少しするとマイケルが山道を登りながら呟いた。
「しかし…富士山というのは……こんな高かったか…」
「……山というのは…自分の足で登っていると…高く感じるものだ…」
「だけど……この高さはおかしいよね…」
ミユキは下を見ながら言った、ミノルもそう言われて不審に感じていた。
「……言われてみれば…確かに長すぎるな…」
「…もしかして」
するとミユキは、地面に絵を描いた。
「どうした?」
「さぁ…頂上へ行こう」
そのあと少し歩くと、地面にミユキの描いた絵があった。それを見て、3人は立ち止まった。
「……やっぱり……ループしてる…」
「クソ…一体何だ…!?」
「…リコか…それ以外の奴の攻撃か……」




