妖怪横丁
「……向こうに道があるけど…この地底湖泳がないと駄目だね…」
「うぉぉ…マジか…」
「総特に支給されるこのコートは防水だから問題ない」
「俺と十郎も…テオロンで防水にしてもらったから……」
そして3人は、ミユキとマイケルの方を見た。
「…僕の服は防水じゃないね」
「俺もだ」
「………まぁ…仕方ない…か……」
すると突然ミユキは服を脱ぎ始めた、それを見て梅岡が動揺する。
「え…ええ!?……いやいや…いくらなんでも…裸は…」
「裸じゃないよ」
服を脱いだミユキは、海パンを履いていた。
「師匠がさ…常にパンツは海パンにしとけって……海パンだったら…水陸問わずに戦えるからって…!」
ミユキは、髪をくくりながら説明した。
「はぇ〜……なるほど…」
「今度から僕もそうしましょうかね…」
マイケルはそれを見ると、服を脱いでパンツだけになった。
「結構…良い身体してるね…」
「エロい事言うな」
そして近くに生えていた大きな葉っぱを毟り、上手くパンツを脱いで陰部へと張り付けた。
「ええ!?」
「…よし……これでいい」
マイケルはその後、スーツを畳み平然とミユキと会話している。
「服はここに置いておこうか…また戻ってくるだろうしな」
「だね」
「いやいや!…ちょっと待て!!」
梅岡が、思わずマイケルに突っ込んだ。
「駄目だろそれじゃあ…!……絶対泳いだあと…いつのまにか取れてるって…!……つーかどうやってくっつけたんだよ!?」
「大丈夫だ…問題ない…」
「……梅岡さん…行きましょう……もしも取れたら…その時はその時です…」
「諦めてんじゃねぇよ十郎…」
ζグループは一悶着あったが、地底湖を泳いで先へと進んだ。
「…案外取れないんだな……」
「だから言っただろ?」
「……しかし…地底湖の奥にあったのですね……研究所…」
地底湖の先の空洞に研究所はあった、そして研究所の前には鳥居が建てられている。
「何だよ…この鳥居……」
「鳥居というのは……神社みたいな神域と…人の住む俗世界との境界を表すものだね……だからこれは…」
「…研究所を…神域としてるってわけか…」
「研究所が神域ですか…」
その神域と呼ぶには、あまりにも不気味な雰囲気の研究所にζグループは、2人を除いて警戒していた。
「……まぁ…とりあえず入ろう」
「…ああ」
ζグループが研究所に入ると、先頭にいたマイケルとミユキの足元が崩れ、2人は下の方の階へと落ちていった。
「うぉ!?」
「うわ!」
「マイケル!…ミユキ!」
3人は穴を覗くが、かなり深く降りる事ができなかった。
「クソ……俺達も別のルートから…下へ向かうぞ…」
「ああ!」
……
「いてて…」
「…痛いという割には…身体に傷一つ付いてないな…」
瓦礫の中から、素肌だというにもかかわらず、無傷のミユキとマイケルが出てきた。
「……まぁ…ゲームとかでダメージ食らうと『痛い』って言ってしまう…アレだよ!」
「…そうか」
上を見上げながら、マイケルは言った。
「…ここから登るのは…地味に大変だな……登っている最中に…研究所そのものが崩れる可能性がある」
「じゃあ…こっちから行くしかないね」
「ああ…」
ミユキは目の前の廊下を見ながら、マイケルへ言った、そして2人はその廊下を、進んでいった。
「……ん?」
すると、ロッカールームと書かれた部屋があった。
「…さすがに裸よりかは…服を着ていた方がいい…」
「……だね」
「…服の一つや二つあるだろ……」
2人はロッカールームへと入り、ロッカーを開けていった。
「おっ!…あった!」
「…こっちもだ」
マイケルのロッカーには研究員の、ミユキのロッカーには病院患者の服が入っていた。
「……服ゲッチュ!」
「…よし……3人を探そう」
ミユキとマイケルは3人を探す為、ロッカールームから出た。
「…………それにしても暗いなぁ…」
「……ああ…」
そして少し歩いていると、半透明な黒い壁があった。
「なにこれ」
その黒い壁を擦り抜けて進むと、目の前には奇妙な商店街が並んでいた。
「…異空間?」
「……のようだな…」
「…恐らく業人の仕業だろうね……」
商店街を少し歩くと、目の前で妖怪が歩いていた。
「うわー!…妖怪だぁ!」
「…………」
その小さな妖怪は、ミユキとマイケルを見た途端に飛びかかってきた。
「わっ!」
ミユキは飛びかかってきた妖怪を、ぬいぐるみのように抱いた。
「…あ」
そしてそのまま、妖怪をぺしゃんこにした。ミユキに、妖怪の返り血が付着する。
「……力入れすぎた」
「…先へ進むぞ……こんなふざけた場所からさっさと出て…3人を見つけるぞ」
マイケルとミユキは、奇妙な商店街を早足で歩いていった。
「ブッフゥゥゥゥン……ッ!」
「……やれやれ…めんどくさそうなのが出てきたな…」
その時、目の前に牛のような鬼が降って道を塞いだ。
「…やるぞ」
「うん!」




