透明業人
「…よし……これより…各研究所の捜査を開始する……」
「……これで手掛かりを掴めればいいのだが…」
それぞれグループに分かれ、ストレンジャーと抵士官はPhoeniXへと乗り込んだ。
[ポイントαに向け…発進致します]
「…タケさんって…婆ちゃんと血の繋がり無いんだよな」
「……まぁな…」
「その割には…めちゃくちゃ顔とか…雰囲気似てるよなぁ…」
キイチローはタケヲの顔を、まじまじと見ながら言った。するとタケヲが、光Pへ尋ねた。
「おい…この銃は持ち帰っていいのか?」
「あ…はい!…多分大丈夫だと思います…!」
「お前……そんなもの持ち帰ってどうするんだよ…」
するとトシジが目を輝かせながら、銃を見るタケヲに尋ねた。
「家に飾る…カッコいいから……」
「…あいも変わらず…武器オタクのようだな……」
「タケさんって武器オタクだったんだな…最初は元暗殺者とかだから…家に沢山武器があるのかと思ったけど…」
キイチローがそう言うと、タケヲの目がマジになって言った。
「大体は観賞用で…実戦で使えないものだ…」
「あっ…そうなんだ…」
「…まぁ…仕事に使ってたのも…何個かはあるけどな……黒いシミのあるものがあったろう?…それは仕事で使ってたものだ…」
「怖い事言ってる」
そしてキイチロー達が話していると、PhoeniXは海岸へ着地した。
「……ここから少し先にある洞窟の中に…研究所があるらしい…」
「よし…早速行くか」
キイチロー達は、海辺にある洞窟の中へと進んでいった。
「……マジか」
「うぉぉ…」
洞窟の中を少し進むと、下へ続く道に海水が溜まっていた。
「……ウェットスーツを持ってこないとな…」
「その必要は無い」
ジークがそう言って、地面に触れた。その瞬間、αグループを囲むようにして、地面に光の線ができた。
「……俺はこの世界でも…唯一魔法を使う事ができる……そして…この魔法はこの囲いの中へ水を入らせない潜水用の魔法だ…」
「囲いから出ずに…ついてきて」
αグループがジークについていくと、囲いの中にだけ水が入ってこなかった。
「これは凄い…!」
「便利だな」
「さぁ…進もう」
水の中を進んでいると、目の前に錆びた鉄の門が見えてきた。
「…あれが研究所の入り口だろうな……」
αグループは、その鉄の門を通り抜けて、研究所の中へと入った。
「……ふむ…研究所内部は浸水していないようだな」
「しかし…かなり荒れてるな……瓦礫で道が塞がってる…」
「遠回りして進もう」
瓦礫で塞がれた廊下の、隣の廊下から先へ進んだ。廊下を歩いていると、研究所全体の軋む音が響く。
「……そこら中が劣化している…いつ崩れてもおかしくない…」
「…戦闘になったら…研究所を壊さないように気を付けないとな……」
そして慎重に先へ進んでいると、少し広めの研究室へ着いた。その途端、奇妙な音が響き渡り、それと同時に目の前にあったフラスコやビーカーが、不自然に床へ落ちた。
「…何かいるな……」
「超能力か…はたまた……透明か…」
タケヲは冷静に推測していた、そして次の瞬間、タケヲは目の前の空間に向けて銃を発砲した。
「グリェア…ァ…」
「…ビンゴ…か」
すると何も無かった空間へ、二足歩行の海洋生物が現れて、倒れた。
「……透明の…業人か…」
「気を付けろ…まだ何体かいるぞ…」
「…クソ……透明化って…」
光Pは、周囲を見ながら焦った様子で言った。
「……自分の攻撃で…この研究所が崩れてしまったら…って事を考えると…下手に攻撃できないな…」
「…それに…透明化とこの暗さのせいで…近くに来てくれないと…何処にいるか分からないな…」
キイチローはそんな中、目を瞑って刀を構えた。
「…………………そこか…!」
そして透明化している業人を、的確に一文字で斬り伏せた。それを見て、ジークや光Pは思わず呟いていた。
「凄いな…気配で業人を索敵した的な…?」
「…カッコよ……」
「……その若さで…その境地に達しているとはな……」
トシジは他の業人を斬って、刀を鞘に納めた。
「梅岡から聞いたが……その太刀筋…確か『無喰流』…だったか……ワシも会得してみようか…」
「今度…教えてあげるよ…トシさん…!」
そして、業人達を片付けると、αグループは手掛かりの探索を始めた。
「全滅させた事だし…手掛かりを探そう」
「ああ」
ジークは荒れた研究室で、研究室を見回していた。
「…どんな実験してたんだろ……まさか…この透明化する業人を造る実験とか…?」
「……信じたくはないが…その可能性はあるな……」
「相手は業人を生み出せるんだろう?…なら……業人を造る実験をしていた可能性も…充分あり得るな……」
「…恐ろしい事やってら……」




