第1位vsシェリー
「父さん…じゃれあいはここまでだ……俺は今からアンタをボロボロに破壊して……血を吸い尽くす…そのあとは後ろの2人もな」
「ほう」
そしてミユキが、俺へ向かってダッシュしてきた。その瞬間にミユキの頭が消え、ミユキは吹っ飛んでいた。
「…………」
「…最初からそうしておけば良かったものを…」
「すまんね」
ミユキは壁に激突して、気絶していた。少し頭を冷やしてな、ミユキ。
「一体…いつ殴ったんだ……見えなかった…」
樹一郎は、ミユキを見ながら思わず声を漏らしていた。
「……暴走してはいたが…リミッターはレベルⅠのままだ…」
「暴走していながら…リミッターはレベルⅠに抑えるとはな……」
「…………血を欲するあまりハイになってたけど……父さんがリミッターをレベルⅠに抑えておけって言ってたからさ……少し残っていた理性で…必死に抑えてたんだ…」
ミユキが、ゆっくりと俺達へ話した。
「ごめんなさい…迷惑をおかけしたようで……何か血を見てたら…無性に欲しくなっちゃった……」
「ホントだよ…」
俺はミユキの横へ立つと、川畑と樹一郎へと言った。
「お前らは残りの奴等探してこい…俺は賢者タイムのミユキを見とくからさ…!」
「…分かった」
「それじゃあ…残りの奴を捕まえたら連絡する」
そう言って川畑と、樹一郎は部屋から出ていった。俺はそれを確認して、ミユキの隣へ座った。
「……大丈夫か?…ミユキ」
「…うん」
「俺がいるから…安心して休め…!」
そして、ミユキは俺にもたれかかってきた。
「そうさせてもらうよ…」
『こういう事してくれるから…僕は父さんが大好き…!』
……
「……慎重にいこう…」
「…そうだな……」
第1位達は慎重にゆっくりと歩き、城の中で王を捜索していた。
「………地下へ続く階段か…………よし…ここは俺と狂夜で調べる…楽織と土方はこの階を…」
「了解…」
江頭と狂夜は、先の暗い階段をゆっくりと降りて、地下へと進んだ。
「あ…来たね……第1位抵士官…」
「シェリー…ッ!!」
少ない明かりの中、シェリーの姿を見た2人はすぐさま構えた。
「…シェリー……吸血鬼系悪魔の始祖…つまり一番最初に生まれた吸血鬼系悪魔だ……そして…始祖は大抵が強力な力を持つ…」
「そして…神喰らいの力を持つ可能性もある……」
「あぁ…僕は持ってないから大丈夫だよ…」
「……どうだかな…」
そして、狂夜がシェリーとの間合いを詰めて、思い切り突きを繰り出した。
【ユニコーン】狂夜
レベルⅠ〜Ⅹの悪魔、天使、業人の撃破数484体
レジアル『U-18』
「…ッ……」
しかしシェリーの姿は無かった、狂夜が一瞬動揺すると、江頭が狂夜へ叫んだ。
「後ろだ!!」
「……ッ!!」
いつのまにか、狂夜の背中にシェリーの姿があった。狂夜は、シェリーに首を締められている。
「怖がる必要は無いよ……ちょっと血を吸い尽くして殺すだけだから」
「狂夜!!」
江頭が、銃でシェリーの眉間を撃ち抜いた、シェリーの力が緩んだスキに、狂夜はすかさず脱出した。
「…………助かった」
「ちょっと効いたよ」
シェリーは銃弾を眉間から抜いて、指で弾いた。それは銃で発砲した時の速度と、全く変わらなかった。
「…チッ……!」
江頭が避けると、弾丸は頬をかすめて壁へめり込んだ。
「……あ…外した…」
「…………やはり…一筋縄で捕獲できる強さではないな…」
銃を変形させて剣にすると、江頭はシェリーへと斬りかかった。
「ほい…ッ」
「うぐ…ッ……がッ…!?」
「江頭…!」
「よそ見してて大丈夫?」
「…ッ!」
江頭と狂夜は、シェリーに斬りかかった筈が、いつのまにか攻撃を受けて地面に膝をついていた。
「第1位も…この程度か…」
「…く……ッ…………うぉぉぉぉ!!」
「ん?」
シェリーに江頭が斬りかかった、しかし、江頭は斬ると見せかけて思い切り回転蹴りを食らわせた。
「……!」
「…ッ!!」
蹴りを食らい、一瞬怯んだシェリーを狂夜が、槍で突いた。シェリーの胸に刃が突き刺さり、血が吹き出す。そこへ江頭も、剣を突き刺す。
「血が出た…」
「おお!!」
「おりゃ」
力を入れて、深くまで槍を突き刺す狂夜はシェリーの前蹴りを食らって、吹き飛んだ。
「うぐ…ッ!!」
「狂夜…!」
「いつまで刺してんの?」
「が…ッ…」
江頭はシェリーの頭突きを食らって少し吹き飛んだ、その時に、浅く刺さっていた剣は抜けたが、深くまで刺さっていた狂夜の槍は突き刺さったままだった。
「……よい…しょっと…」
シェリーは槍を抜いて、地面へ捨てた。
「もっと本気でやろうよ……」
「…シェリー…ッ……」
しかし、2人は危機も絶望も感じる事はなく至って冷静で、目には希望があった。
「舐めるなよ…シェリー……」
「その余裕……もしかして秘策でもあるの?」
「フン…さぁな……」




