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ラウンドハウスキック



「…ハイランド王国から出たな」

「ええ」


俺たちはハイランド王国を後にして、国の外へ出た。そこからはずっと平原が広がっている。


「…お前武器どうするの?」

「………ここから10km先にあるアルトリアという国に偉大なる三大鍛冶屋の内の一人がいます…その方に頼みます」

「……その間にモンスターに出会ったらどうすんの?」

「…………その時は…」


十郎が何かを言おうとした瞬間に目の前に目が四個程ある赤い犬が現れた。


「…モンスターか!?」

「……ゴブリンドッグ…危険度Eのモンスターらしいです」


[ゴブリンドッグ]


危険度E

主に集団で行動する。単体ではそこまで危険ではないが、群で行動している時の危険度はD。


早速出やがったな。だが、集団で行動するだと?…一匹しかいないが…そんな時に十郎が言った。


「…梅岡さん、後ろに五匹いますよ」

「うおっと!」


俺は後ろで飛びかかってきたゴブリンドッグを回し蹴りで沈めた。俺が空手を教えてもらっている時に森で襲われた狼よりも脆いようだ。そしてゴブリンドッグはちりのように消えた。


「…俺に剣は必要ねぇ!」

「……やりますね」


その瞬間に俺の方を向いた十郎の頭上に十匹のゴブリンドッグが飛びかかっていた。


「危ない!」


その瞬間に十郎は最初は横に薙ぎ払うように回し蹴りをして七匹を落とし、そのまま飛び上がって少し上から飛びかかっていた三匹のゴブリンドッグに再び回転蹴りをした。そして三匹のゴブリンドッグも地面に落ちて消えた。


「………それで…何が危ないのですか?」

「…いや…何でもない…」


十郎…回し蹴りの完成度も俺より遥かに上だ。これだとあの時止めようとして戦っても瞬殺は免れなかっただろうな…


「…じゃあ行きましょうか」


俺たちは再び歩き出して先へ進んだ。そんな時に大きなカバンを背負った人が見えた。


「…旅商人か?」


目の前の分かれ道の右側の道を行こうとした時にすれ違った旅商人に声をかけられた。


「…旅の人!…右の道を行くの?」

「そうですけど」

「右の道、今は通行止めらしいよ!」

「え?」


俺たちは旅商人に訳を聞いた。旅商人曰く、右の道はサイガ山に続いている。そこまでは俺たちも知っていた、しかし、その山に危険度Bのモンスターが発生し、民間人は立ち入り禁止らしい。基本的に危険度Cから上になると周辺に住む民間人は避難しないとならない。だからCとなると手強いモンスターだが…


「危険度Cのモンスターがなんですか?…邪魔になるようなら倒すだけですし…」

「…危険度Cだよ!?…数十人の騎士でやっと制圧できる強さのモンスターだよ!?…見た感じ君は鎧も着てないし…武器も持ってないし……騎士にも見えないし…殺されるよ!?」


旅商人は俺たちの身を案じてくれているようだ。実際武器持ってないし俺はホントに殺されるかもな。モンスターは動物よりも強いし…


「……心配していただきありがとうございます…しかしこの先に進まないといけないので」


そう言い残して十郎はスタスタと歩いていった。俺も「ヤバそうなら逃げるので大丈夫っす!」と言って十郎についていった。


「…どの道…騎士に止められるか…」



……



「…ここから先は危険なので立ち入り禁止だ」

「知ってますよ」


俺たちは鎧を着た騎士たちに立ち塞がれていた。


「……なら尚更入れることはできん」

「それじゃあどうすればいいですか?」

「………騎士と同等の強さを誇るギルドハンターを連れてくるか…それか隊長からの許可が必要だ」

「……分かりました」


十郎は隊長と呼ばれている男の元へ向かって歩いていった。十郎の向かう先には野営の為のキャンプが設置されており、豪華な装飾のされた鎧を着ている男が騎士たちと話していた。


「…数時間前にモンスター討伐に向かった騎士たちの無線連絡が途絶えました……」

「……うーむ…」


キャンプには無線機やラジオが置かれている。どうやらそこそこの技術はあるようだ。


「…無線機などはあるんだな」

「……そこそこ技術が発展しているようですね」


そして十郎は隊長の元へ向かい、隊長が十郎の方を向くと十郎が隊長に言った。


「…僕と勝負してください…そして僕が勝てばこの中へ入ることへの許可をください」

「……何を言ってる…」

「僕たちはこの山を通らなければならないのです」

「…向こうからも行けるぞ」


すると十郎は山を見ながら言った。


「……そうですが、この山の中には危険なモンスターがいるのですよね?…僕が通るついでに倒してきます…もしかしたら山から降りて近くを通る人を襲うかもしれないので」

「………君が?…無理に決まってる…数十人の大人でも勝てないのだから…君みたいな子供が勝てるはずがないじゃないか」


騎士たちが軽くあしらうと隊長が机の上にある資料をどかして言った。


「…よし…それじゃあこうしよう。私に腕相撲で勝てばこの山へ入ることを許可しよう」

「隊長!?」

「……」


隊長は騎士をなだめると十郎「来なさい」と言った、十郎は目を丸くしてキョトンとしている。


「………そんな事でいいのなら…」












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